日本は「幸せな敗戦国」だった。第1次大戦の過酷な断罪が第2次大戦をまねいたという教訓から、戦勝国は賠償請求を放棄した。冷戦が始まり、日本の戦略的価値が高まったことも一役買った。最小限の代償が、戦犯裁判だった。太平洋戦争の死者は3000万人に達する。この恐るべき犯罪の責任を取って死刑になったA級戦犯は、7人にすぎなかった。
そんな日本が、何が悔しいのか、裁判を検証するという。「『平和に対する罪』という、戦後に作られた法律で断罪したのだから無罪」と叫びたいようだ。形式をとがめて本質を隠そうとするもので、失笑しか出てこない。周とキッシンジャーが言う通り「島国集団だから考えが狭い」のか。本当に「奔馬」が「ビンのふた」を取って飛び出そうとしているのか。韓中日が過去史で衝突する度いつも日本をひいきしてきた、米国の胸中が気になる。「ジャップは最悪」と、また怒っているのだろうか。