昨年4月に発生した旅客船「セウォル号」沈没事故当時、沈みゆく船を見捨てて脱出した船長の行為は、殺人罪として処罰すべきという大法院(日本の最高裁判所に相当)の判決が下った。
大法院大法廷(金昭伶〈キム・ソヨン〉裁判長)は12日、裁判官13人の全員一致により、セウォル号のイ・ジュンソク船長(70)の行為について「船長として当然行うべき救助の責任を放棄した『不作為による殺人罪』に該当する」として無期懲役を言い渡した二審の判決を支持する判決を下した。
大規模な人的被害を出す事故を起こした者に対し、大法院が過失致死罪ではなく殺人罪を認めたのは今回が初めてだ。一方、大法院はイ被告と同時に起訴された乗務員14人に対し、二審と同じく懲役1年6月-12年の判決を下した。
大法院は「セウォル号の運航や安全に責任を負うべき船長が、事故が発生したにもかかわらず、何ら措置を講じず一人で脱出したことにより、乗客たちが脱出できなくなる結果を招いた。これは積極的に乗客たちを海に沈め溺死させたのに等しい行為だ」と説明した。
イ被告はセウォル号沈没事故当時、乗客たちに退船命令を出さないまま、海洋警察の警備艇で脱出した罪(殺人など)で逮捕・起訴された。一審は「故意ではなかった」として、殺人罪ではなく遺棄致死罪などを適用し、懲役36年を言い渡した。だが二審は殺人罪を適用し、無期懲役を言い渡していた。