安倍首相が談話を準備してきたのは、韓国にとっては光復(日本の植民地支配からの解放)70年、日本にとっては敗戦70年を迎え、過去を振り返って未来を期するためだった。ところが、談話のガイドラインといえる今回の資料には、日本と安倍政権の誤りについてはひと言の言及もなく、韓日関係悪化の全ての責任を韓国側に押し付けている。
懇談会は、1910年の韓日併合についても一切言及しなかった。その代わり、当時西欧列強の間で、アジアの植民地侵奪戦が展開されていたという状況説明がくどくどとなされている。西欧列強に対抗して日本が乗り出したという、日本の右翼の主張が下敷きになっている。植民支配36年についても、その間に朝鮮の経済成長が実現したと強調した後に、「ただし1930年代後半以降、過酷になった」と、たったひと言付け足した。
安倍談話は、今月14日ごろに出るという。今回の起草資料に盛り込まれた内容そのままならば、韓日関係の未来は暗くならざるを得ないだろう。安倍談話に対する期待はやめて、「談話後」の対日戦略を考慮するのが賢明な道だ。