既に議論になっているTHAADの問題だけでなく、ロシアの戦勝記念式出席問題でも朴大統領は、不参加の機運を広めようとする米国の側に快く立とうとはしていない。日本の全方位的な対米外交と米国に取り入ろうとする大攻勢は、韓国の微温的態度とは対照的だ。米国の駐日大使がケネディ元大統領の娘、キャロライン・ケネディ氏で、駐韓大使が外交的には無名なマーク・リッパート氏だという点、そして韓国の駐米大使が外務次官クラスなのに対し、駐中大使は大統領府(青瓦台)の安保室長を経た閣僚クラスだという点は、その「格」を象徴している。オバマ大統領のミシェル夫人が日本だけを訪問したのもすっきりしない。大統領の外交・安全保障ラインにも、米国を理解し、韓米同盟や対米外交の重要性を代弁し得る人物を見いだすことはできない。
韓国側から見れば、朴槿恵大統領の対米政策がどういう方向で、どれくらいの深みを持って進められているのか、確信が持てない。朴大統領は、機会があるたびに韓米同盟の重要性を取り上げてきたが、率直に言って、朴大統領が本気だと実感できたことはない。周辺国の事情や韓国国内のさまざまな世論を意識したせいなのか、朴大統領は自ら親米的だとか、強い対米依存度を明らかにしようとはしないらしい。米国がそれを感知しないはずがない。ウェンディ・シャーマン国務次官が今年2月に行った「政治指導者が過去の敵を非難して安っぽい拍手を得るのは難しくない。それは前進ではなく、マヒを招く」という発言は、日本を「非難」して「安っぽい拍手」を得ようとする韓中を意識したものだ。