名古屋大総長に聞く「地方大は研究に不利では?」

インタビュー:「ノーベル賞製造工場」名古屋大の浜口総長
「受賞者の共通点は挫折しない粘り強さと鈍感力」
「論文掲載本数ではなくどれだけ独創的かで教授を評価」

-名古屋大は産学連携が活発なのか。

 「名古屋大のキャンパスには壁がない。物理的な壁がないだけでなく、産学間・学問間の壁もない。最近の研究において物理、化学、医学といった区分は無意味だ。融合、共同研究が活発で、積極的に研究に挑戦するため、教授1人当たりの外部研究支援金が全国の大学で1位になった」

-教授の採用に原則があるのか。

 「教授委員会が面接して選抜しているが、『ネイチャー』や『サイエンス』など著名な科学誌への論文掲載本数で評価することはない。教授らが候補者との面接で、どれだけ独創的な研究ができるかを評価する。名古屋大の出身者らは国内の学会誌に掲載した論文でノーベル賞を受賞した」

-名古屋大のノーベル賞受賞者は受賞にあたり必ず師匠に言及することで知られる。

 「名古屋大の師弟関係は水平的だ。教え子2人がノーベル賞を受賞した坂田昌一・元教授(1911-70年)は教え子たちに『先生』と呼ばせなかった。研究においては誰もが同等だとの理由からだった。ノーベル賞受賞者の下村脩教授の師匠である平田義正・元教授(1915-2000年)は、月給を費やして教え子の実験準備を手助けするほど献身的だった。教え子たちの才能を見いだし、能力を発揮できるよう手助けするのが師匠の役目だ」

-就職率はどうか。

 「就職率は98%を超え、日本の大学では最高水準だ。学生が大企業にばかり固執しないので就職率が高い。半分ほどは中小企業を選ぶ。東京の大企業に内定しても、地方の企業を選ぶ学生も珍しくない。中小企業の方がはるかに責任感を持ち、自分の能力を発揮できるためだ。自分の適性に合った、能力を発揮できる企業を選ぶことが重要だ」

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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