韓国人窃盗団が2012年、長崎県対馬市から盗んだ仏像の返還問題が韓日間の外交争点になっている中、再び対馬で韓国人の仏像窃盗事件が発生した。
対馬南警察署は24日、同市の寺「梅林寺」から仏像や経典を盗んだ疑いで40-70代の韓国人の男5人を逮捕した。男らは同日午後、対馬南部の厳原港から釜山行きのフェリーに乗ろうとしたところを警察に逮捕された。男らは、梅林寺が同日午前中に「盗まれた」と通報した仏像と経典を持っていた。読売新聞は「うち2人は『日本に仏像を盗みに来た』『日本の仏像は金になる』という趣旨の供述をしている」と報じている。男らは自分たちの職業について住職・警備員・農業・会社員などと自称している。
盗まれた仏像は9世紀の統一新羅時代に銅で作られた高さ11センチの「誕生仏」で、対馬市指定の有形文化財だ。梅林寺の春田勇禅住職は「以前、韓国で天文学的な額の金をやると言われても売らなかった貴重な文化財。両国の友好を象徴する誕生仏が文化財窃盗の対象になって衝撃的だ」と述べた。男らは、14世紀に日本で製作された経典「大般若経」約300冊も盗んだ。
今回の窃盗事件が日本のメディアで報道されたのを受け、インターネット上には「韓国人がまた仏像を盗んだ」など嫌韓感情をあおる書き込みが相次いで寄せられている。日本のネットユーザーたちは2012年に韓国人窃盗団が盗んだ仏像を今も返還しない韓国政府を強く非難している。
韓国人窃盗団は12年10月、対馬の海神神社から「銅造如来立像」、観音寺から「金銅観世音菩薩坐像」を盗み、韓国で翌年逮捕された。韓国の仏教団体は「観音寺の仏像は1330年に浮石寺(忠清南道瑞山市)で作られた記録がある『略奪文化財』なので、本来の所有者である浮石寺に戻さなければならない」と仮処分訴訟を起こした。裁判所は昨年2月、「この文化財(仏像)は略奪された可能性があるため、日本への流出経路が明らかになるまで返還を禁じる」との判断を下した。
ところが、日本側は「韓国が盗んだ文化財を返さないのは国際法違反」と批判、仏像返還問題が両国間の外交争点としてクローズアップされることになった。日本では返還問題を理由に韓国関連の文化財公開行事を中止したほか、対馬市は盗難を防ぐため個人や寺が所有している文化財を保管する博物館の建設を進めている。
問題は、この仏像が「韓国で略奪された文化財」だと立証するのが容易でないことだ。対馬は長年にわたり韓日交流の拠点だったため、韓国の文化財が多い。韓国教員大学のチョン・ヨンホ名誉教授は「対馬には韓国製の仏像だけでも130体以上ある。この中には寄贈または売買された文化財も多いので、略奪された文化財だと立証するのは難しい」と話す。
「訴訟の対象でない銅造如来立像を韓国政府が返還しないために不必要な摩擦を招いている」と指摘する声もある。日本に対する文化財返還運動を展開している著名な僧侶、彗門(ヘムン)師は「浮石寺が所有権を主張する仏像だけでなく、明らかに盗難品である銅造如来立像まで韓国政府が返していないことが批判を招いている。これを口実に(ほかの)略奪された文化財を韓国が取り戻すのに支障が出る可能性もある」と述べた。