専門家たちも、安全規定の対象となっていない構造物が市民の安全を脅かしていると指摘する。建国大建築学科のアン・ヒョンジュン教授は「初めから人が上に上がれないように設計するとか、周辺にフェンスを設置して接近できないようにすべきだった。安全基準を余裕でクリアできるように構造物を設計するのが、こうした大規模事故を防ぐ近道だ」と指摘した。
主催者側の安易な安全対策も問題だった。コンサート中には司会者が、換気口に上がっていた観客に対し「下りてください」と何度も注意を呼び掛けていたが、換気口上の観客を引っ張り下ろしたり制止したりする警備員はいなかった、と現場にいた人たちは話した。
東園科学技術大消防安全管理学科のチョン・ソンギュン教授は「コンサート会場は完全に開放された空間だった上、金曜午後の退勤時間帯に無料で開催するということで、どれほどの観客が押し寄せるのか主催者側も正確な予測が難しい状況だった。今回のように観客が殺到する場合は、仮設物や換気口など、人が上がることが予想される場所には規制用フェンスを設置して接近できないようにすべき」と指摘した。
一方、韓国人の「安全不感症」を指摘する声もある。旅客船「セウォル号」沈没事故、京畿道高陽市の高陽総合バスターミナル火災、全羅南道長城郡の療養型病院火災など、大規模事故のニュースに相次いで接したにもかかわらず、韓国人の安全に対する意識は依然として低いというわけだ。
慶北大建築学部・都市環境設備研究室のホン・ウォンファ教授は「さまざまな原因があると思うが、結局は安全というのは自分自身で守らなければならないもの。20人以上が上がれば壊れる恐れもあると判断して下りるべきだったのに、何も考えずに危険な行動を取ったのが問題だ。多くの人が集まる場所では常に緊張感を持ち、事故に遭わないよう国民一人一人が努力すべき」と指摘した。