(4)かさ上げされていた地盤は30センチしか取り除かず
文化財庁は、発掘の結果に基づいて、後からかさ上げされた土を全て取り去り、朝鮮王朝時代中・後期の地盤面に合わせるという原則を打ち出したが、施工上の便宜のため、30センチしか土を除去していなかったことが判明した。その結果、陸上部分は朝鮮王朝時代中・後期の地盤面より10-30センチ高く施工され、虹霓(こうげい。アーチ)の下部には現代の土が少なくとも43センチ残るなど、ずさんな形で復元され、一部再施行が必要と監査院は指摘した。
(5)木材の亀裂は安全上問題なし
当初問題になっていた崇礼門上層の柱の亀裂は、構造的安全性の面で問題はない、と結論付けられた。崇礼門が昨年復旧した後、マツの柱のうち1本に幅1.6センチのひびが入り「総体的な手抜き工事」と批判された。監査院は「崇礼門総合点検団で、昨年10月から11月にかけて、崇礼門2階にある『高柱』など4本の柱の亀裂を測定した結果、これ以上ひびが広がることはなく、それぞれの柱にできたひびの幅は最大13ミリから20ミリで、『文化財修理標準仕様書』上の木材規格(60ミリ未満)に適合しているとの結論を下した」と発表した。
(6)慶州の瞻星台は毎年1ミリずつ傾斜
既存の文化財の管理にも問題が多かった。慶尚北道慶州市にある瞻星台(国宝第31号)は、地盤沈下のため、毎年1ミリずつ傾いていることが09年に確認されている。慶州市は昨年末に安全診断を行ったが、さらなる沈下の可能性や沈下の原因確認などに必要な地盤の状態の調査は行わなかったという。
監査院は「丹青は、徹底した考証を経て合理的なやり方で再施行し、地盤は、残っている現代の土をさらに取り除き、瓦は、火災前の規格に交換すべき」と文化財庁に通知した。また監査院は、工事の管理を十分に行わなかった崇礼門復旧団長など5人について懲戒を要求し、丹青匠については、今年3月に警察へ捜査を要請した。