■表象だけに熱狂
「クッポン」とされる表現は、歴史分野で初めて用いられるようになった。ネット掲示板「DCインサイド」の歴史カテゴリーでは「檀君(伝説上の古朝鮮の王)が登場する前の韓民族(朝鮮民族)が、世界四大文明の地の一つであるメソポタミア地域(現在のイラク)にシュメール王国を立てた」といった、「桓檀古記」などの検証されていない主張を信じたり、「明の初代皇帝・朱元璋ですら朝鮮の軍事力を恐れた」などとして韓国史を美化したりする人たちを「クッポン」として非難するようになった。高麗大学HK韓国文化研究団のパク・ホンホ教授は「韓半島(朝鮮半島)で金属活字が発明されたということを教えるだけでは『クッポン』にすぎず、当時の韓半島の人々がグーテンベルク(活版印刷技術を考案したドイツの金属加工職人)のように『本の大衆化』に貢献できなかったという限界についても論じることで客観性を保てる」と指摘した。成功した部分だけでなく、その影の部分についても省察してこそ、文化先進国だというわけだ。
一方、「クッポン」に反発する現象も登場している。インターネットのコミュニティーサイトで「韓国はソマリアよりもひどい失敗国家だ」といった、悪意に満ちた表現で韓国をけなすネットユーザーも現れた。これについてパク・ホンホ教授は「客観性を失ったという点で、『クッポン』と同じく、正常な状態とはいえない」と指摘した。
「クッポン」という蔑称が急速に広まる中、孫興民(ソン・フンミン)や柳賢振(リュ・ヒョンジン)のように海外で活躍するスポーツ選手を応援したり、「太極旗(韓国国旗)を大切に扱おう」という意見を述べたりすることにまで非難を浴びせる動きも出てきた。これについて、ソウル大心理学科の郭錦珠(クァク・クムジュ)教授は「『クッポン』のような現象のため、純粋な意味での愛国心を表現できないようなムードが生まれれば、社会的な問題になりかねない」と指摘している。