また、菅首相は当初、2万人の自衛隊員を被災地へ派遣する方針を決めたが、これを5万人、さらに10万人まで増やし、それでも人手が足りないため、予備自衛官6400人を招集した。これは自衛隊史上初めてのことだ。インフラ設備が崩壊した被災地では、独自の機動力を持つ軍事組織や警察でなければ、十分や救援活動を行うのは困難だ。これに対し自衛隊は「危険な地域に派遣することはできない」と反発したが、自衛隊を指揮する防衛相は「無条件で派遣せよ」と指示するという、まれに見る事態が起こった。軍事組織である自衛隊は、汚染された地域だろうと、悪天候の中だろうと、作戦を遂行しなければならないのではないか。
これとは対照的に、日本の一般国民は何時間も列を作り、驚くほどの自制力を発揮している。東京で伝え聞いた、ある元外交官の話は印象的だった。この元外交官は「このように素直で従順な国民を指揮できないというのは、結局のところ、政治的なリーダーシップの問題ではないのか。災難に遭った人たちに苦言を呈するのは申し訳ないが、旧日本軍は兵士や下士官が優秀だったにもかかわらず、将校、特に将官の判断力や指揮能力に問題があったといわれている。そのことを今また思い知らされた」と語った。
日本政府の指導者たちが、最悪の状況を迎えるのではないかとおびえている様子を見ていると、哨戒艦「天安」撃沈事件の際、右往左往するだけだった韓国政府と重なる印象を受ける。今回の大地震で、日本の指導者たちは阪神・淡路大震災の教訓を生かせなかったが、もし韓国で大災害や緊急事態が発生した場合、韓国政府は強いリーダーシップを発揮できるのだろうか。
鄭権鉉(チョン・グォンヒョン)記者(社会部長)
【ニュース特集】東日本巨大地震