「ベストよりパーフェクトを」 京セラ創業者からのアドバイス

【新刊】稲盛和夫著、シン・ジョンギル訳『なぜ働くのか』(ソドル)
 京セラは創業10年足らずして、IBMから従来のファインセラミック製品より性能が優れた製品を作ってほしいという注文を受けた。京セラの開発チームは20万個の部品を作ってIBMに送ったが、全量不良品の判定を受け、廃棄処分せざるを得なかった。失意の社員が泣き出しそうなのを見た創業者の稲盛和夫氏はこう尋ねた。「この製品を開発するとき神にお祈りしたか」。いぶかしく思った社員はすぐに「初めからやり直す」といって情熱的に取り組み、ついに製品開発に成功し、2000万個の追加注文を受けた。稲盛氏の質問には、「後は天の答えを待つだけと言えるほど全力を尽くし、努力したか」という意味が隠れていた。

 「生ける経営の神」と呼ばれる稲盛氏が、「働く人の望ましい姿勢」について書いた本だ。希望とは違う職場で働いていた著者は「今していることを楽しもう」という悟りのおかげで、暗い現実から抜け出したという。「好きなことを追求するよりは、与えられた仕事を好きになることから始めよ」「ベストよりはパーフェクトを追求せよ」-。陳腐のようにも思われるが、決して無視できない著者のアドバイスが胸に響く。216ページ、1万3000ウォン(約1040円)。原題は『働き方 「なぜ働くのか」「いかに働くのか」』。

クァク・アラム記者
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