「渤海人も犬肉を好んだことを知っていますか?」

「渤海人も犬肉を好んだことを知っていますか?」

ロシアの発掘現場と考古学の物語
『踊る渤海人』を執筆したカン・インドク教授
「渤海の遺跡から犬の骨が出てきた」
「沃沮人はアヘンを薬に…」
「北方には渤海だけがあったわけではなく…」
「当時の交流など大きな流れを理解してこそ、東北工程に合理的に対応できる」


 「シベリアの夏、森の中で発掘を行うということがどういうことか、分かりますか? 養蜂場のハチの群よろしく飛んでくる蚊を追い払い、いちいち手で作業していると、昼間は灼熱の太陽で、夜は厳しい寒さで疲れ果てるんです。それでも、幸せです。遺物がわたしに言葉をかけてきますから」

 12月29日午後、ソウル市光化門のカフェで向かい合わせに座ったカン・インドク釜慶大教授(考古学)=39歳=は、目を輝かせて語った。15年間、ロシアの発掘現場で「熱い」夏を過ごしているカン教授は、これまでの発掘経験を中心として、ロシア・中国の古文献資料も合わせて編集した『踊る渤海人』(周留城)を発行した。先史時代から渤海、近代の間島に至る北方地域の考古学的事実と歴史物語が、興味深く織り込まれている。

 中でも、渤海人の生活文化を垣間見ることができる遺物の話が目を引きつける。「踏鎚」と記録されている渤海の踊りは、人々が手をつないで一緒に踊るというもの。そんな渤海人の踊りを示す実物資料が、発掘現場で発見された。2008年、ロシア沿海州コクシャロフカの渤海城址から出てきた土器には、チマを着た人物が手をつないで踊っている場面が描かれていた。

 2003年には、沿海州ブロチカ遺跡の沃沮の住居跡から、アヘンの材料であるケシの実が発見された。「紀元前1世紀中盤ですから、沃沮人が東アジアで一番最初にアヘンを食べたわけです。当時、沃沮人にとってケシは薬草であり、また食物でした。寒い沿海州の平原で沃沮という巨大な勢力を作った東夷族の知恵が溶け込んでいる遺物です」

 渤海遺跡のあちこちで発見される犬の骨から、渤海人が犬の肉を好んだという食文化を編み出し、古代北方民族であるウブル人が寒さに耐えるため部屋の中で排せつ物を処理し、ラードを塗ったという話も聞かせてくれる。中国・ロシアの国境紛争地域であるウスリースク島から出土した高句麗系の金銅仏像、沃沮人が発明したオンドルの話、パルチザン川の青銅の魚、櫛目文土器の起源…。一般人の視線に合わせて書かれた考古学の話は平易で、かつ面白い。

 カン教授は、「最近韓国で、渤海は中国との歴史紛争の過程で文化アイコンとなったが、沿海州や延辺に渤海だけがあったわけではない」と強調した。「北方地域はわたしたちの歴史とつながっている場所ですが、渤海ばかりが強調される余り、より大きな歴史の流れを見逃しています。中国だけでなく、沿海州・間島地域との交流も明らかにし、わたしたちの文化が多様な地域との交流を通じ形成されたことを明らかにすることが、東北工程に対する合理的な対応となり得ます」。

 ソウル大考古美術史学科と大学院を卒業し、ロシア・シベリア科学院考古民族学研究所で博士学位を取ったカン教授は、韓国では「ロシア考古学専門」で通っている人物。本書を手始めに全4巻の北方歴史紀行シリーズを出す計画だというカン教授は、「韓国を軸に、東北アジアの巨大な文化圏をつなげたい。巨大な枠の中で、韓国を見つめたい」と語った。

許允僖(ホ・ユンヒ)記者
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