昨年7月、フランス・米国・カナダなどに住むユダヤ人約900人がイスラエルに永久帰国した。多くがもともと将来的には帰国を考えていたが、イスラエルとレバノンの間の戦争が激化したことで、帰国時期を早めたという。そして彼らは「われわれが恐れていないことを世界に示す必要がある」と語った。
1967年に起きた第3次中東戦争(6日間戦争)の際も「祖国のために戦う志願兵が必要だ」という国防長官の訴えに、海外に留学中だったイスラエルの若者たちが大挙帰国した。2003年に米国がイラクを攻撃し始めたとのニュースが伝えられると、ヨルダンのアンマンにあるバスターミナルには帰国しようとするイラク人たちが多く集まった。またシリアやアルジェリアに住んでいたイラク人たちも「わが国、わが家族を守るため、戦わなければならない」とし、バスに乗り込んだ。中には、テレビでイラク戦争の開戦を耳にして着の身着のまま飛び出した若者たちもいた。これを受け、近隣国家のイラク大使館では写真2枚にパスポートさえあればすぐに入国ビザを発行するという措置を取った。
一方、1919年の3・1運動の際、359人にのぼる在日韓国人留学生が帰国し、独立運動に参加した。当時日本に留学していた韓国人の総数が約800人だったことを考えると、半数近い留学生が帰国したことになる。韓国戦争(朝鮮戦争)が始まった直後にも日本に留学していた若者や在日韓国人の若者ら641人が参戦した。そのうち仁川上陸作戦に加わった280人を称えるため、仁川に「在日学徒義勇軍参戦碑」が建てられた。
本紙が韓国戦争57周年に際し行った世論調査で、「海外滞在中に韓半島で戦争が起きたら帰国するか」という質問に対し、帰国するという回答が全体の48.7%にとどまった。2002年末の同じ調査では53.6%だったことからすると、5%も減ったことになる。「戦争が起きても帰国しない」と答えた人の割合は、5年前の31%から45%にまで拡大した。またその割合は20代では57.1%にのぼり、最も高くなった。30代では51.8%、40代でも45%が帰国しないと答えた。
1789年に起きたフランス革命を経て、戦争はそれまでとは違う性格を帯びるようになった。これを機に一般国民が国に対し「自分の国」という意識を持つようになり、祖国に対する献身や敵に対する憎悪心が戦争の勝敗を左右する大きな要因となりはじめた。国を守る上で愛国心が大きな影響力を持つようになったのだ。
今回の調査結果を見ると、特に若者たちの国に対する意識には失望するよりほかない。これは国家レベルの大きな危機を経験したことのない世代に特有の現象と言えるかもしれない。あるいは「国を失う悲しみ」など想像したことすらないのだろうか。いざ実際に国が困難に見舞われ、彼らの献身が必要になったときには、まったく違う反応が返ってくるものと信じたいものだ。
姜仁仙(カン・インソン)論説委員