▲ソウル市竜山区の大統領官邸を後にする際、警護車両の窓を開け支持者らに手を振りながら挨拶する尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領/キム・ジホ記者
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領は11日、ソウル市漢南洞の大統領官邸を去り、江南区瑞草洞の自宅に戻った。尹前大統領は「国と国民のために新たな道を模索する」とのコメントを残した。尹前大統領が「新たな道」に言及したことを受け、「『私邸政治』などの方法で(旧与党)国民の力の大統領選挙候補者決定などに影響力を行使する意欲を示した」との見方が政界内で語られている。
【写真】支持者たちと握手する尹錫悦・前大..
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▲ソウル市竜山区の大統領官邸を後にする際、警護車両の窓を開け支持者らに手を振りながら挨拶する尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領/キム・ジホ記者
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領は11日、ソウル市漢南洞の大統領官邸を去り、江南区瑞草洞の自宅に戻った。尹前大統領は「国と国民のために新たな道を模索する」とのコメントを残した。尹前大統領が「新たな道」に言及したことを受け、「『私邸政治』などの方法で(旧与党)国民の力の大統領選挙候補者決定などに影響力を行使する意欲を示した」との見方が政界内で語られている。
【写真】支持者たちと握手する尹錫悦・前大統領
韓国大統領府関係者によると、尹前大統領は同日午後に漢南洞の大統領官邸で鄭鎮碩(チョン・ジンソク)大統領秘書室長、成太胤(ソン・テユン)政策室長、申源湜(シン・ウォンシク)国家安保室長ら大統領府首席秘書官らスタッフと20分以上にわたり別れの挨拶を交わした。この席で尹前大統領は「任期を全うできなかったのは残念だ」として「皆さんご苦労された。本当に申し訳ないし、これまでのことに感謝したい」と述べた。尹前大統領を見送るため休暇を取って官邸にやって来た200人以上の大統領府職員には「国の発展のため、自由民主主義市場経済と社会の発展のために頑張ってくれた」「感情を鎮め、自由と繁栄のため一層力を尽くしてほしい」と言葉をかけた。また昨年自らの支持を表明した一部の若い世代を念頭に「非常措置後、未来の世代が今の厳しい現状を悟り、自由と主権価値の大切さを認識してくれたのは幸いだ」と呼び掛けた。
尹前大統領は弁護団を通じて国民にメッセージを出し「これまで2年半にわたりわが国の国益と安全保障を守るため努力した瞬間瞬間が走馬灯のように過ぎ去っている」「前の冬には多くの国民や若い人たちが自由と主権を守るという一心で昼夜に関係なく漢南洞の官邸前を守ってくれた。寒さまで溶かしたあの熱い情熱を今も胸に深く刻んでいる」「これから私は大韓民国国民の一人に戻り、国と国民のために新たな道を模索したい。自由と繁栄の大韓民国のため微力ではあるが努力を惜しまない」などの考えを伝えた。
尹前大統領は金建希(キム・ゴンヒ)夫人と共に警護車両に乗り込んで官邸を後にする際、正門前で一度車を降り、支持者らに手を振ってあいさつした。官邸の正門前道路の両側には2000人以上(警察の非公式推計)の支持者が集まっていた。支持者らは太極旗(韓国の国旗)を手に「尹アゲイン」「弾劾無効」などと叫んだ。尹前大統領は大学野球部のジャンパーを着た若い支持者らとハグし、握手して背中を叩き激励した。ある支持者は「大統領、すみませんでした」と泣きながら叫んだ。尹前大統領は支持者が手渡した赤い帽子をかぶった。帽子には米国のトランプ大統領の選挙スローガンである「米国を再び偉大に(MAGA)」から取った「韓国を再び偉大に(MKGA)」と表記されていた。尹前大統領は午後5時13分に再び車に乗り込んだが、その後も窓を開け支持者らに拳を示しながら挨拶した。
尹前大統領が乗った車は午後5時29分に自宅のあるソウル市江南区瑞草洞のアクロビスタ前に到着した。建物の前とロビーには500人以上の支持者と国民の力の尹相炫(ユン・サンヒョン)議員、金碩基(キム・ソッキ)議員、姜升圭(カン・スンギュ)議員、姜明求(カン・ミョング)議員、朴成訓(パク・ソンフン)議員、林鍾得(イム・ジョンドク)議員に加え、弁護団を務めた石東炫(ソク・ドンヒョン)弁護士、キム・ゲリ弁護士や韓国史講師のチョン・ハンギル氏らが集まっていた。車から降りた尹前大統領は支持者らと握手し、金建希夫人は花束を受け取った。尹前大統領夫妻は警護官の警護を受けながら自宅に入った。2022年11月7日に自宅から官邸に移って以来886日ぶり、罷免から一週間が過ぎていた。
尹前大統領夫妻は官邸で飼っていたペットの犬と11匹の猫を全て連れていた。ただし今回ペットの姿は見られなかった。
野党・共に民主党の趙承来(チョ・スンレ)首席報道官は「国民と国会、憲法により罷免された尹錫悦は最後まで一言の謝罪や反省もなかった。一見すると任期を全うし名誉の退任をする大統領に見えるだろう」とコメントした。国民の力は公式のコメントは出さなかった。ただし旧与党系の一部関係者からは「尹前大統領は政治的な影響力の行使を自制すべきだ」との声も聞こえてくる。国民の力のある関係者は「戒厳令後、弾劾の賛成反対で分裂した党内の混乱を何とか収めているところだ。大統領選挙に集中しなければ共に民主党に全ての権力を奪われかねない状況だ」「党内の政治家は『尹心』と距離を置くべきで、尹前大統領も当分は現実の政治から距離を置かねばならない」と指摘した。別の幹部も「尹前大統領との距離などとは関係なく、選挙局面での得失を戦略的に考えるべきだろう」と述べた。
金耿必(キム・ギョンピル)記者、イ・セヨン記者、キム・ドギュン記者、キム・ヘミン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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