▲写真=UTOIMAGE
3月28日に起きたミャンマー大地震の当時、タイ・バンコクのチャトゥチャック市場付近に建設中だった30階建ての会計検査院新庁舎の建物が崩壊したことで、タイの世論が沸き立っています。中国中鉄工程グループの中鉄十局が建設していたこの建物は、骨格の工事が終わった状態で内・外装の工事に着手していましたが、地震の揺れで砂上の楼閣のように崩れ落ちました。
【写真】3月28日のミャンマー大地震で崩壊したタイ・バン..
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▲写真=UTOIMAGE
3月28日に起きたミャンマー大地震の当時、タイ・バンコクのチャトゥチャック市場付近に建設中だった30階建ての会計検査院新庁舎の建物が崩壊したことで、タイの世論が沸き立っています。中国中鉄工程グループの中鉄十局が建設していたこの建物は、骨格の工事が終わった状態で内・外装の工事に着手していましたが、地震の揺れで砂上の楼閣のように崩れ落ちました。
【写真】3月28日のミャンマー大地震で崩壊したタイ・バンコクの会計検査院新庁舎
バンコクには高層ビルが立ち並んでいますが、建物全体の95%は今回の地震に耐え、残りの建物も部分的な被害に受けたにとどまりました。地震の規模はマグニチュード7.7でしたが、バンコクは震源から1000キロ離れていて、震度は3~4程度と軽微だったからだそうです。建物全体が崩れ落ちたのは、中国企業が建てていたこの建物が唯一でした。
■一帯一路の尖兵
中鉄十局は中国の国有企業で、一帯一路の尖兵の役割を果たしてきました。タイが2017年に一帯一路に参加すると、2018年にタイに進出し、インフラ施設や官公庁など13件の政府発注工事を受注したということです。
一帯一路プロジェクトで海外に進出した中国国有企業は、何度も手抜き工事で問題になりました。昨年11月にはセルビアの鉄道駅でコンクリート製の屋根が崩壊し、16人が死亡。2017年にはケニアで施工中だった橋が崩れ、20人余りが負傷しました。2016年に南米エクアドルに建設した水力発電所は1万7000カ所以上の亀裂が生じ、エクアドル政府が施工業者を提訴しました。一帯一路は手抜き工事を輸出しているとまで言われています。
ミャンマー大地震で倒壊した会計検査院新庁舎の建物は30階建て(高さ137メートル)で、2020年に着工されたそうです。中鉄十局がタイ現地企業との合弁で入札に参加し、契約を勝ち取りました。受注金額は900億ウォン(約90億円)ほどだそうです。昨年3月末に骨格工事が終わり、内・外装の工事が行われていましたが、進ちょく率は30%だったということです。
崩壊当時、地元住民らが撮った映像を見ると、地震で揺れていたこの建物はわずか5秒足らずで崩れ落ちました。建物の中では約90人の労働者が作業中でしたが、4月2日現在、15人が死亡し、72人ががれきに閉じ込められているといいます。
事故直後、タイのペートンタン首相は許認可、設計、資材の品質など全面的な調査を各省庁に指示しました。手抜き工事の議論が出るたびに中国企業を擁護してきた中国政府も在タイ中国大使館の声明を通じ、「タイ政府の調査に積極的に協力する」と表明しました。
■鋼材も中国系企業が納入
タイ現地では骨格に使われた鋼材に問題があったという報道が出ています。崩壊現場で鋼材標本を回収して調べた結果、2点の標本が品質基準をも満たしていなかったということです。
鋼材を納品した業者はタイ現地企業ですが、大株主が中国人だそうです。タイ工業省は昨年末、同社工場で起きた火災事故を調査する過程で、同社が生産するコンクリート補強用棒鋼などが品質基準に満たないことを確認し、2441トンの不良品を押収したということです。この業者は一帯一路プロジェクトで、中国が建設した中国・ラオス高速鉄道の工事現場にも納品しているそうです。
建物崩壊直後、現地の中国人職員4人が現場事務室に入り、ファイル32点を持ち出したことも議論を呼んでいます。資材納品台帳などを盗もうとしたということです。タイ警察は彼らを検挙し、問題の書類も押収しました。
建物が数秒で崩壊したことを巡っては、構造設計に問題があったのではないかという分析も示されています。2023年に韓国のマンション新築現場の地下駐車場で天井が崩れた当時、議論になったフラットスラブ構造で施工された可能性があるということです。フラットスラブ構造構造は荷重を支える梁(はり)がなく、柱と天井を直接繋ぐする方式です。北京首都工程出身の建築技師は、中華圏のメディアのインタビューに対し、「タイ政府の耐震設計基準は震度6~7の地震に耐えられるように求めるものだったが、震度3~4程度で崩れたのは理解不能だ。構造設計に問題があった可能性がある」としました。
■セルビア、エクアドルでも手抜き工事疑惑
一帯一路を巡る手抜き工事論争は今回が初めてではありません。昨年11月にはセルビア北部の都市ノビサドの鉄道駅で長さ48メートルのコンクリート製屋根が崩れました。中鉄国際と中国交通建設が合弁で古い駅を改装する工期3年の工事を進めましたが、工事終了から5カ月で事故が起きました。セルビアは東欧の代表的な親中国家です。中国側は崩れた屋根は改装の対象ではなかったと主張しましたが、セルビアでは反中世論が高まりました。
2017年には中国海外工程がケニア西部ブシアに建設していたシギリ橋が崩れ、20人余りが負傷しました。この会社も国有企業である中鉄グループの系列でした。
中国の国有企業が建設したエクアドルのコカコドシンクレア水力発電所とパキスタンのニールムジェルム発電所はタービンに水を供給するトンネル式水路に亀裂が多く見つかり、論議を呼びました。エクアドルは2021年、施工業者である中国水利水電建設をチリ・サンティアゴ国際商事仲裁委員会に提訴し、係争中です。2016年の竣工式当時、習近平主席が自ら出席したこのダムは、2023年までに確認された亀裂だけで1万7499カ所に達し、ダムの沈澱物除去システムも
崔有植(チェ・ユシク)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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