▲文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁判所長権限代行。2025.04.04/写真=NEWSIS
国会の弾劾訴追のやり方やプロセスは適法ではないという尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領側の主張に対し、憲法裁判所は4日、「全て問題ない」という結論を下して弾劾を認容した。憲法裁は「内乱罪撤回」、検察調書の証拠能力、非常戒厳宣布に対する司法審査など、手続き的な争点に関して何ら瑕疵(かし)はないと結論付けた。
【図】弾劾裁判の適法性、憲法裁判所の判断は
■中心的な弾劾事由「内乱罪」を省いてやった憲法裁
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▲文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁判所長権限代行。2025.04.04/写真=NEWSIS
国会の弾劾訴追のやり方やプロセスは適法ではないという尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領側の主張に対し、憲法裁判所は4日、「全て問題ない」という結論を下して弾劾を認容した。憲法裁は「内乱罪撤回」、検察調書の証拠能力、非常戒厳宣布に対する司法審査など、手続き的な争点に関して何ら瑕疵(かし)はないと結論付けた。
【図】弾劾裁判の適法性、憲法裁判所の判断は
■中心的な弾劾事由「内乱罪」を省いてやった憲法裁
憲法裁は4日、尹大統領を弾劾する際に内乱罪に該当するかどうかは判断しなかった。国会の弾劾訴追書には「刑法上の内乱罪」が弾劾事由として明示されているが、これを省略して憲法と戒厳法への違反のみを問いただしたのだ。先に国会側は、迅速な裁判のために内乱罪の撤回を要求し、憲法裁は立場を全く明らかにしなかったが、宣告に当たって国会側の主張を受け入れた。
憲法裁は「国会が刑法上の内乱罪撤回を要求するのは、基本的な事実関係は同一に維持しつつ適用法条文を撤回・変更することにすぎない」「特別な手続きを経なくても許容される」とした。また、弾劾訴追書に刑法違反が明示されていても憲法裁が任意に取り除いて判断できる、とも結論付けた。
尹大統領側は「内乱罪がなかったら弾劾案は国会を通過しなかっただろう」と主張したが、憲法裁は「客観的根拠がない仮定的な主張にすぎない」として受け入れなかった。
■軍人らの「検察調書」も証拠として認定
尹大統領と李鎮遇(イ・ジンウ)前首都防衛司令官、呂寅兄(ヨ・インヒョン)前防諜(ぼうちょう)司令官などが憲法裁の審判廷で否認した検察の調書や起訴状の内容も、証拠として認定した。尹大統領側は「当事者が同意しない検察調書は証拠能力がない」という2020年改正刑事訴訟法を根拠に挙げて反発したが、憲法裁は受け入れなかった。「刑事裁判と憲法裁判は性格が異なる」という理由で、弾劾審判が準用する刑事訴訟法には従わないとする従来の立場を固守したのだ。
憲法裁は、決定文でも「供述の過程が映像で録画されたり、供述の過程に弁護士が立ち会って問題ないと確認した調書なので、証拠として採択する上で問題はない」と表明した。
これについて、憲法裁のある関係者は「検察の調書や国会の会議録にのみ出てくる内容は決定文に盛り込まなかった」とし、「証人が法廷で証言した部分だけ証拠能力を認めて決定文に入れた」と伝えた。
■「政治的決断の戒厳も司法審査の対象」
尹大統領側は「大統領の非常戒厳宣布は高度な統治行為であって司法審査の対象ではない」として弾劾却下を主張した。大統領だけが把握できるさまざまな情報を基に必要だと判断して下した政治的決断であって、起訴や裁判の対象になり得ない、というのだ。
これに対し憲法裁は「高位公職者の憲法および法律違反から憲法秩序を守護する弾劾審判の趣旨等を考慮すると、戒厳宣布が高度の政治的決断を要する行為であるとしても違憲・違法であるかどうかを審査できる」と述べた。また「戒厳の宣布に関しては憲法および戒厳法で要件や手続き、事後の統制などについて定めている」として、「戒厳宣布権は、重大な危機の状況に備えて憲法が重大な例外として認めた非常手段なので、憲法が定めた発動要件と事後統制等が厳格に順守されるべき」と指摘した。
■「たかだか2時間の内乱でも既に弾劾事由は発生」
昨年12月3日の非常戒厳は、国会の解除要求に基づき、わずか6時間後の翌日早朝に、特に被害もなく解除された。この点を巡って尹大統領は「たかだか2時間の内乱がどこにあるか」と述べ、野党の横暴を国民に知らせ、国会に警告するために実施した「警告性・平和的戒厳」だと主張した。
しかし憲法裁は4日の宣告で「戒厳が解除されたとしても、既に弾劾事由は発生した」とし、「大統領に対して弾劾するかどうかを審判する利益は認められる」という立場を取った。違憲・違法の戒厳宣布や布告令1号の発令、国会封鎖などの弾劾事由が戒厳解除前に既に発生した、と判断したのだ。
■「弾劾案の連続発議…会期が違っていれば適法」
尹大統領側は、国会が昨年12月7日に一度は否決された弾劾案を再度発議して通過させたのは誤りだと主張した。一度否決された案件は会期中に再提出できないという国会法上の「一事不再議」原則に背いたという主張だ。大統領に対する弾劾案は最初の否決から1週間後の昨年12月14日に国会を通過した。
しかし憲法裁は、2件の弾劾案はそれぞれ別の会期に発議・提出され、問題はないとみなした。憲法裁は「大統領に対する1回目の弾劾案は418回国会で投票が不成立となり、2回目の弾劾案は419回国会で発議されて票決が行われた」と説明して「国会法に違反しない」と判断した。また「大統領に対する弾劾訴追要件が厳格という理由だけで弾劾案の発議回数を1回に制限するのは困難」とも述べた。
パン・グクリョル記者、ユ・ヒゴン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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