▲(左から)金善択・高麗大学教授、韓尚熙・建国大学名誉教授、方勝柱・漢陽大学教授、李仁皓・中央大学教授、張永洙・高麗大学教授、チ・ソンウ成均館大学教授
憲法裁判所が4日午前11時に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾審判の宣告を行う。弾劾を訴追した国会側と尹大統領側は、11回の弁論で証人16人を呼んで尋問を行い、非常戒厳が要件を備えているかどうか、国会封鎖や「政治家逮捕」の指示があったかどうかなどを巡って激しく争った。尹大統領も8回、直接出廷して立場を明らかにした。憲法裁は2月25日の尹大統領の最終陳述を最後に弁論を終結させてからも、1..
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▲(左から)金善択・高麗大学教授、韓尚熙・建国大学名誉教授、方勝柱・漢陽大学教授、李仁皓・中央大学教授、張永洙・高麗大学教授、チ・ソンウ成均館大学教授
憲法裁判所が4日午前11時に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾審判の宣告を行う。弾劾を訴追した国会側と尹大統領側は、11回の弁論で証人16人を呼んで尋問を行い、非常戒厳が要件を備えているかどうか、国会封鎖や「政治家逮捕」の指示があったかどうかなどを巡って激しく争った。尹大統領も8回、直接出廷して立場を明らかにした。憲法裁は2月25日の尹大統領の最終陳述を最後に弁論を終結させてからも、1カ月以上評議を続けてきた。
【尹大統領弾劾審判】3大争点と五つの弾劾訴追事由
宣告を巡って、憲法の専門家らの見方は割れている。「非常戒厳宣布は明白な違憲であって満場一致で罷免されるだろう」という予測がある反面、「大統領を罷免すべきほどに重大な憲法・法律違反はないので棄却または却下」という見方も出ている。
■「棄却」あるいは「却下」という見方を示す憲法専門家たちの見解
今月4日に憲法裁判所は尹錫悦大統領の弾劾審判を棄却・却下するだろう―と見込んでいる法曹関係者や法学者は、尹大統領が非常戒厳の過程で罷免に至るほど重大な憲法違反・法律違反はしなかった、とみている。弾劾審判に提出された検察などの捜査記録は証拠能力を持ち得ないだろう、という見方も出た。
李仁皓(イ・インホ)中央大学教授は「12・3非常戒厳の過程で一部に尹大統領の誤りがあると見ることはできるが、韓国国民の信任に背反するほどの重大な憲法違反には至らなかった」とし「尹大統領は当時、国内の状況は『国家非常事態』に該当すると判断して非常戒厳を宣布し、国会が戒厳解除を要求するとすぐに解除した」「当時の戒厳は、韓国国民に国家的危機の状況を知らせるために大統領の権限を正当な範囲内で使用したものとみるべき」と説明した。さらに「国内の状況が非常戒厳の要件である『国家非常事態』に該当するかどうかはもっぱら大統領の判断領域であって、憲法裁が爾後(じご)に裁断すべき領域ではない」と語った。
戒厳布告令に「一切の政治活動を禁止する」という文言が入っていることについては「戒厳権限の範囲を越えた誤りがある」としつつも、李教授は「当該布告令の内容は実現せず、罪のない人が傷つけられたり、政治家が違法に逮捕されたりすることはなかった」と指摘した。
さらに李教授は「憲法裁は、尹大統領が非常戒厳の背景として挙げた国会の『立法独裁』問題も併せて目を配るべき」「巨大野党の大量弾劾が現在も続いているのを見れば、尹大統領の非常戒厳は国憲紊乱(びんらん)目的というよりも、自由民主主義守護の目的が強かったと見るべき」と述べ「認容と棄却が4対4程度に分かれるだろう」との見方を示した。
張永洙(チャン・ヨンス)高麗大学教授は「検察・警察の捜査記録の証拠能力を認めるかどうかを巡って、裁判官の間にかなり意見の違いがあるようだ」とし「5(認容)、3(棄却)で棄却される可能性が最も高いとみられる」と語った。
張教授は「朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領の弾劾審判のときは、検察・警察の捜査記録が特に異論なく証拠として認められたが、今では刑事裁判でも当事者が否認する検察調書を証拠として使うことはできない」と前置きし「刑事裁判で使用できない証拠を基に事実関係を確定することに、裁判官は負担を感じるだろう」と語った。また「裁判所が尹大統領の勾留を取り消して手続き的な正当性を強調したことも、影響を及ぼしたかもしれない」と分析した。
張教授は「憲法裁の弁論の過程で洪壮源(ホン・ジャンウォン)、郭種根(クァク・チョングン)など中心的な証人の陳述が揺らぐなど、棄却の結論に符合する場面は相当多かった」「弾劾が認容されるほどに尹大統領の内乱意図が立証されたとは見なし難い」とし、さらに「弁論終結後、『洪壮源メモの筆跡問題』『郭種根・前特殊戦司令官への懐柔・圧迫疑惑』などが相次いで提起された」「弾劾が認容された場合、憲法裁がこうした論争を十分に検討しなかったという批判も相当あるはず」と語った。
韓国憲法学会長を務めた経験を持つチ・ソンウ成均館大学教授は「弾劾審判の手続きには重大な瑕疵(かし)が多い」とし「憲法裁が却下の決定を下すのが正しいと思う」と語った。
チ教授はまず、「国会が弾劾訴追理由から内乱罪を外したのは、弾劾審判の核心事由が変更されたということ」「憲法裁は審理を中断して国会に再議決を要求すべきだった」と指摘した。今回の弾劾訴追は適法な要件を備えていない、というわけだ。また「洪壮源、郭種根など中心的な証人の陳述が揺らいだにもかかわらず、憲法裁は急いで弁論を終結させた」「審理が尽くされていない状況で憲法裁が強引に事実関係を確定させた場合、今後、刑事裁判で覆される可能性が高い」と述べた。
チ教授は「憲法裁が検察・警察の捜査記録を無理に証拠として採択したことも憲法裁判所法違反で、却下事由」だとし「尹大統領側は共犯関係にある軍関係者らの調書の内容を否認しているだけに、これらの調書も証拠能力はないとみるべき」と語った。ただし、「現実的には却下よりも棄却の可能性の方が高いと思う」としつつ「少なくとも2人の裁判官は却下の意見を出すだろうと考えられる」と述べた。
兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者、パク・カンヒョン記者、イ・ミンジュン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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