▲写真=UTOIMAGE
苦しそうな鳴き声が響き渡り、ほこりの積もった動物の死骸の山へ痩せ細った1匹の犬がよろめきながら近づいてくる。そして、飢えをしのぐために死んだ犬たちに噛み付く。
英紙ザ・サンは16日、モロッコで現在起きている恐ろしい「街の浄化」の状況をこのように描写した。
アフリカ北西部の国モロッコは、欧州のスペイン、ポルトガルと共に、2030年のサッカー・ワールドカップ(W杯)開催国となっている。モロッコはW杯..
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▲写真=UTOIMAGE
苦しそうな鳴き声が響き渡り、ほこりの積もった動物の死骸の山へ痩せ細った1匹の犬がよろめきながら近づいてくる。そして、飢えをしのぐために死んだ犬たちに噛み付く。
英紙ザ・サンは16日、モロッコで現在起きている恐ろしい「街の浄化」の状況をこのように描写した。
アフリカ北西部の国モロッコは、欧州のスペイン、ポルトガルと共に、2030年のサッカー・ワールドカップ(W杯)開催国となっている。モロッコはW杯に向けて、野良犬300万匹を一掃するために大量虐殺を進めている。
国際動物福祉保護連合(IAWPC)は、モロッコで行われている残酷な虐待の動画を公開した。小銃と拳銃で武装したハンターたちは、街で犬たちに向かって銃を撃つ。犬が即死するケースはほとんどなく、負傷して血を流した状態で放置される。
毒劇物入りの注射器を付けた棒で犬を突いたり、毒入りの餌を手で直接食べさせたりもしている。同団体は「どちらの方法も犬に相当な苦痛と苦しみ、そしてゆっくりとした死をもたらす」と説明した。
ほとんどの犬は動物保護施設に捨てられる。しかし、その「保護施設」は犬を助ける場所ではなく、殺すための施設だ。施設の管理者たちは路上で捕まえた犬を投げ込むだけで、餌や水は与えない。唯一与えられるのは毒入りの餌だ。
IAWPCのレス・ウォード会長は「400匹の犬が狭い空間に閉じ込められ、自分たちの排せつ物の中で暮らしている」「病気で死ぬ犬もいれば、飢えで死ぬ犬もいる。飢えに苦しむ犬たちは、しまいに共食いを始める」と話した。さらに「犬たちはすぐには死なず、もがきながら血を流して鳴き叫ぶ。反人倫的で耐えがたい行為だ」と強く非難した。
「犬ハンター」が狙うのは野良犬だけではない。飼い主のいる犬も無差別に捕まえる。これは、飼い主が賄賂を払ってでも愛犬を取り戻しに来ることを知っているからだ。モロッコに住むスコットランド人ルイス・スミスさんは「6歳の娘サルマが飼っている犬を『何度も』お金を払って取り戻した」と語った。
モロッコでも野良犬を残酷な方法で殺すことは明確に違法だ。2022年、モロッコのある州知事が街にいた動物たちを惨殺した際、判事は「野蛮な行為だ」として罰金を科した。しかしIAWPCは、モロッコ政府がサッカーW杯のために大量虐殺を黙認しているとみている。
さらに大きな問題は、国際サッカー連盟(FIFA)がこの事実を知りながら何の対応もしないことだ。FIFAは報告書で「モロッコ政府は動物の権利保護に対する意志を明確に示しており、昨年8月から動物の虐殺は禁止された」と評価した。
活動家たちは「FIFAはモロッコのW杯開催国の地位を剥奪すべきだ」と主張する。映画『炎のランナー』に出演した俳優ピーター・イーガンさんは「ある国が、サッカーの試合のために『街の整頓』という名目で数百万匹もの動物を残酷に殺すというのは想像を絶することだ」として「この状況に驚がくしているし、サッカーを愛する人々も同じ気持ちでいるはずだ」と語った。さらに「美しいサッカーの試合を愛する大多数の人々は、このような残酷な状況を知りながら黙認するW杯を支持することはできないだろう」と非難した。
IAWPCは「モロッコの犬虐殺終息キャンペーン」を展開している。野生のチンパンジーの研究で有名なジェーン・グドール博士もこのキャンペーンに参加した。グドール博士は「FIFAが今すぐ行動を起こさなければ、あなたたちは自らの監督下で行われた恐ろしい野蛮な行為に賛同したことに他ならない」とした上で「サッカーという名の下で行われる残忍な行為という点に、釈明の余地はない」と指摘した。
イ・ガヨン記者
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
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