▲写真=UTOIMAGE
2011年の東日本大震災時に発生した東京電力福島第1原発事故で、全町避難が続いた福島県双葉町。その双葉町に中国人観光客が押し寄せているとの報道があった。双葉町が中国人観光客の人気を集めているのは、最悪の原発事故で被災した同町が「ダークツーリズム」の名所として注目されているからだ。
共同通信によると、2023年1月-8月の訪日客数を2019年同期と比べた伸び率で、双葉町は日本全国の市町村で3位だっ..
続き読む
▲写真=UTOIMAGE
2011年の東日本大震災時に発生した東京電力福島第1原発事故で、全町避難が続いた福島県双葉町。その双葉町に中国人観光客が押し寄せているとの報道があった。双葉町が中国人観光客の人気を集めているのは、最悪の原発事故で被災した同町が「ダークツーリズム」の名所として注目されているからだ。
共同通信によると、2023年1月-8月の訪日客数を2019年同期と比べた伸び率で、双葉町は日本全国の市町村で3位だったという。2020年に同町に開館した「東日本大震災・原子力災害伝承館」には昨年、約4000人の外国人観光客が訪れた。報道によると、そのうちの約 3 分の 1 が中国人観光客だったと推定されるとのことだ。観光客の急増を受け、同町の観光案内所には中国語や英語を駆使する支援員が駐在しているという。
そこで双葉町では、観光客が住民の個人所有地や公共施設などに立ち入らないよう、警察と協力している。共同通信によると、昨年、ある外国人観光客が双葉町にある小学校の建物内に侵入する動画が拡散され、物議を醸したとのことだ。
双葉町に多くの訪日客が訪れているのは、福島原発事故に対する関心によるもので、ダークツーリズムの一形態だと分析されている。ダークツーリズムとは戦争・災害・虐殺など歴史上の悲劇的な事件が発生した場所を訪れる旅行のことで、ポーランドのアウシュビッツ強制収容所やウクライナのチョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故地域などが代表的な例だ。報道によると、一部の観光客は原発事故の影響を直接確認しようと、立ち入りが制限されている双葉町内の帰還困難区域に入ったり、放射線数値の測定を要求したりしたという。
一時、約7000人の住民が暮らしていた双葉町では、2011年の東日本大震災と津波の影響で原子炉が崩壊する事故が発生した。このため放射能物質が大量に漏れ、日本政府はこの一帯を人が立ち入れない帰還困難区域に指定し、全住民を避難させた。それから9年後の2020年に政府の避難命令が初めて解除され、2022年には一部地域に住民たちが再び戻ってきて、暮らせるようになった。しかし、同町の約80%はまだ放射能汚染により人が住めない状態のままとなっている。
一方、最近、日本を訪れる中国人観光客が増えている。日本政府観光局(JNTO)によると、2024年の訪日中国人数は合計698万人で、2023年の3倍に達したとのことだ。また、2024年の年間の訪日中国人旅行消費額は約1兆7300億円に達した。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは「今年の旧正月連休期間中に中国人観光客が最も多く訪れた旅行地は日本で、観光客数は前年同期の約2倍と推定される」と報道した。
こうした現象は、円安が続いていることや、両国関係の改善が影響しているものと受け止められている。外信によると、昨年11月に中国の習近平国家主席と日本の石破茂首相はペルーのリマで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で会談し、二国間会談を行った。その後、中国は同月22日から日本人短期滞在ビザの免除を再開した。新型コロナウイルス感染症の世界的大流行で査証(ビザ)免除政策を停止してから4年を経ての再開だ。これを受け、日本政府も中国人観光客のビザ発給要件を緩和した。
イ・ウニョン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com