▲グラフィック=宋允慧(ソン・ユンヘ)
ソウル中央地裁が7日に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の勾留取り消し決定を下したことを受け「尹大統領の弾劾審判も弁論を再開すべきだ」との声も高まっており、これに憲法裁判所も当惑しているという。表向きは「勾留取り消しと弾劾審判に関連性はない」としているが、宣告のみ残す憲法裁判所としては想定外の変数が生じた形だ。法曹界からは「弁論再開までは実現せずとも、宣告は先送りされる可能性が高まった」との見方も..
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▲グラフィック=宋允慧(ソン・ユンヘ)
ソウル中央地裁が7日に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の勾留取り消し決定を下したことを受け「尹大統領の弾劾審判も弁論を再開すべきだ」との声も高まっており、これに憲法裁判所も当惑しているという。表向きは「勾留取り消しと弾劾審判に関連性はない」としているが、宣告のみ残す憲法裁判所としては想定外の変数が生じた形だ。法曹界からは「弁論再開までは実現せずとも、宣告は先送りされる可能性が高まった」との見方も相次いでいる。
憲法裁判所は2月25日に尹大統領弾劾審判の弁論を終結し、その後はほぼ毎日評議を行い事件について検討を続けている。過去の盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領や朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領の弾劾審判では弁論終結から約2週間後の金曜日に宣告が下された。そのため憲法裁判所周辺では尹大統領の宣告日について「3月14日」が有力視されてきた。
■「公捜処の捜査記録は証拠から排除すべき」
裁判所が尹大統領の勾留取り消しを決めた主な理由は「捜査と起訴の過程で適法な手続きが守られなかった」というもの。しかし憲法裁判所は裁判所が「問題あり」と判断した捜査記録を証拠として採択し検討している。与党・国民の力の朱晋佑(チュ・ジンウ)議員は同日「大統領弾劾審判も弁論を再開し、公捜処の不法な捜査に基づく証拠を除く作業をすべきだ」と主張した。
これまで尹大統領の弾劾審判を進めてきた憲法裁判所が手続き上の問題を複数起こしたことも改めて注目されている。憲法裁判所に対しては、検察調書の証拠採択と証人尋問時間の制限、尹大統領の直接尋問禁止、選別的証人採択など、裁判手続きを巡る批判の声が今も絶えない。
中でも韓悳洙(ハン・ドクス)首相の弾劾審判など、先に終結した事件を後回しにし、大統領弾劾の結論を急ぐかのような動きには尹大統領の弁護団や与党などが強く反発している。ある大手弁護士事務所所属の弁護士は「宣告が多少遅れたとしても、憲法裁判所は弁論を再開し、手続き上の問題を解消することが望ましい」「内乱行為で大統領を弾劾しておきながら、後から裁判所で控訴棄却や無罪が宣告されれば、憲法裁判所はどう責任を取れるのか」と指摘した。
これに対して今回の勾留取り消しが弾劾審判に大きな影響はないとの見方も根強い。かつて憲法研究官を務めたある弁護士は「勾留取り消しは弾劾に決定的な影響を及ぼす理由にはならない」との見方を示した。
■「郭種根・前司令官の通話録音ファイル」の証拠調査も変数に
先日公開された郭種根(クァク・ジョングン)前陸軍特殊戦司令官の録音ファイルも大統領弾劾審判の新たな変数となった。郭種根・前司令官は戒厳当時「尹大統領が国会議員を引きずり出せと指示した」と証言した重要な証人だが、野党が郭種根・前司令官を懐柔し脅迫したことを示す証言が出ているのだ。尹大統領の弁護団が郭種根・前司令官の録音記録を追加の資料として提出し、弁論再開を申請するか検討中とも伝えられている。
郭種根・前司令官は戒厳令直後の12月5日、20年来の知人との電話で「生き残るために良心宣言をしろと言われた」「(やらなければ)内乱罪で告発するそうだ」と話していた。通話した相手はTV朝鮮とのインタビューで「良心宣言を要求した人物」について「国民の力の側ではないだろう」と述べた。
尹大統領の弁護団は今月7日、憲法裁判所に憲法学者の意見を集約した意見書を提出したが、その中で慶煕大学の許営(ホ・ヨン)碩座(せきざ)教授=寄付金によって研究活動を行えるように大学の指定を受けた教授=は「郭種根・前司令官の陳述は汚染され一貫性がない。憲法裁判所はこのような争いの余地がある証拠(郭種根・前司令官の陳述)を採択すべきではない」と主張した。
元高等裁判所部長のある弁護士も「弁論終結後、後になって郭種根・前司令官の肉声が公開され、幾つかの隠れた内容を国民が知るようになった」「(郭種根・前司令官の証言は)いわゆる『内乱罪』フレームの糸口になったため、憲法裁判所は弁論を再開し、1-2回の期日で集中審理を行い疑問を解消すべきだ」と述べた。
これに対して「憲法裁判所は弁論を再開せず、宣告日を先送りするだけだろう」との見方もある。韓国外国語大学のイ・チャンヒョン教授は「(尹大統領の)勾留取り消しで世論の対立が激しくなっており、憲法裁判所としても直ちに宣告するよりも一定の時間を置く必要が出てきた」との見方を示した。
キム・ヒレ記者、パク・ヘヨン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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