▲韓国産業銀本店/ニュース1
韓国の国策銀行、韓国産業銀行(KDB)が中国政府主導の陸と海の新シルクロード構想「一帯一路」に関連する投資で、2017年7月に中国の複合企業、海航集団(HNAグループ)に1億3350万ドル(約198億円)を送金したところ、回収不能になっていたことが韓国監査院による監査で7日までに明らかになった。産業銀は2021年、海航集団が破産したことを受け、投資資金を全額損失処理したが、実際には2017年に資..
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▲韓国産業銀本店/ニュース1
韓国の国策銀行、韓国産業銀行(KDB)が中国政府主導の陸と海の新シルクロード構想「一帯一路」に関連する投資で、2017年7月に中国の複合企業、海航集団(HNAグループ)に1億3350万ドル(約198億円)を送金したところ、回収不能になっていたことが韓国監査院による監査で7日までに明らかになった。産業銀は2021年、海航集団が破産したことを受け、投資資金を全額損失処理したが、実際には2017年に資金を一度に送金してすぐに資金に対する管理権を失い、現在は資金の所在も把握できずにいるという。年間100兆ウォン(約10兆円)近い政策資金を供給する国策銀行が中国企業による事実上の詐欺被害に遭った格好だ。
■事実上詐欺に遭った産業銀、誰の責任も問わず
多額の損失が出たにもかかわらず、産業銀は誰の責任も問わず、事故を不問に付していた。監査院は事故発生から長い期間が経過し、関連者の大半が退職しており、産業銀が詐欺に遭ったのか、一部行員が中国側と共謀して金銭を横領したのかを判断する資料は確保できなかったと説明した。
監査院によると、産業銀は16年7月、海航集団と特殊な関係にある主張するIAPという企業から海航集団が推進する海南省海口市の美蘭国際空港拡張プロジェクトに共同参入することを持ちかけられた。産業銀は同年10月、法律コンサルタント会社、会計事務所と共同で現場実態調査を行い、プロジェクト参加を検討し始めた。
17年1月、会計事務所は空港を運営する海南美蘭国際機場公司(美蘭空港公司)の海航集団に対する融資だけで12億8000万元(約262億円)に達するなど、美蘭空港公司のエクスポージャー(リスクにさらされている金額)が67億9000万元に達するという内容の財務実態調査報告書を産業銀に提出した。
それにもかかわらず、産業銀はIAPとプロジェクトに共同参入するための準備を進めた。産業銀は「KDB-IAP一帯一路」という社名の投資会社で8900万ドル規模のファンドを創設し、そのファンドを通じ、英領バージン諸島に設立する特別目的会社(SPC)に出資を行うことを決めた。産業銀は出資とは別にSPCに4450万ドルを融資することにした。SPCは出資分と借入金の合計1億3350万ドルを「HNAファイナンスII」というファンドに出資。海航集団の中間持ち株会社もHNAファイナンスIIに1億3350万ドルを出資した段階で、それを美蘭空港公司に融資する方式でプロジェクト投資が実施される予定だった。
整理すると、産業銀と同行が募った韓国の国内投資家の資金はIAPとの合弁ファンド、SPC、、HNAファイナンスIIという3段階でプロジェクトに投資されることになっていた。
問題はHNAファイナンスIIの議決権は海航集団の中間持ち株会社が全て掌握することになっており、韓国側の投資資金がいったん中国側に渡れば、韓国側はいかなる管理もできない構造だったことだ。当初産業銀とIAPが共同で創設したファンドにIAPが拠出した資金も50万ドルにすぎず、IAPは個人名義の会社だった。それでも産業銀は一連の条件を受け入れる契約を中国側と締結した。
17年6月には、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)が中国の市中銀行に海航集団の負債状況を調査するよう命じた。海航集団は多額の負債を抱えており、信用格付けが下方修正される可能性があるとの報道まで出た。
それでも産業銀は「海航集団の信用格付けには問題がなく、プロジェクトは海航集団のリスクとは関係がない」とする内容の内部報告書を作成した。それに基づき、産業銀は同年7月3日に美蘭空港拡張プロジェクトへの投資を最終決定し、7月13、14日に投資資金と貸付分の1億3350万ドル全額をIAPとの合弁ファンドに送金した。
計画に従えば、資金はSPC経由でHNAファイナンスIIに渡らなければならなかった。しかし、中国側は資金を直接を香港所在のHNAファイナンスIIの口座に送ることを要求し、7月14日にその通りに資金が送金された。
中国側の管理下に入った韓国側の資金は、4日後に美蘭空港公司に貸し付けられた。しかし、その資金がプロジェクトに投入されることは一度もなかった。産業銀が投資の実行を何度も要求したが、中国側はそれを無視したという。
美蘭空港公司は20年4月に利払いを中断し、21年1月には海航集団が破産した。中国の裁判所による決定を受け、韓国側は海航集団や美蘭空港公司などの資産の売却代金からわずか0.3%のみ配分されることが決まった。産業銀は資金回収が現実的に難しいと判断し、出資分と貸出分の全額を損失処理した。産業銀が失った政策資金は6134万ドル(約900億ウォン)に達した。産業銀が募った韓国の国内投資家も損失を被った。
産業銀の美蘭空港へのプロジェクト投資は16年2月から17年9月まで在任した李東杰(イ・ドンゴル)元会長の当時に実行された。氏名が同じ発音である後任の李東傑前会長が在任中の21年7月には、産業銀検査部がこのプロジェクトに問題がなかったか監査した。しかし検査部はプロジェクトの投資決定過程における問題点を見落としたまま、「損失はコロナに伴う美蘭空港公司の営業不振と海航集団の破産が原因」という結論を下し、関係者の責任を問わなかった。
監査院は産業銀に対し、今後の海外投資に際し、リスクの検討に留意するよう促した。産業銀関係者は「21年にすでに損失処理が終わった事件だ。当時投資を担当した実務担当者が全員退職しており、正確な事実関係を確認することは難しい」と話した。
キム・ギョンピル記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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