証人たちに鋭い質問でしつこく食い下がる鄭亨植・憲法裁判官、尹大統領弾劾審判の変数になるか-Chosun Online 朝鮮日報

証人たちに鋭い質問でしつこく食い下がる鄭亨植・憲法裁判官、尹大統領弾劾審判の変数になるか

2025/02/08 11:25

鋭い質問で事件の実体を掘り下げる

　尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領の弾劾審判で主審を務める鄭亨植（チョン・ヒョンシク）憲法裁判官の「錐（きり）で穿（うが）つような質問」が注目を集めている。12・3非常戒厳事態の中心的加担者である証人らに鋭い質問や指摘を行い、この事件の実体を把握する上で大きな役割を果たしているという評価が法曹界から出ている。

【写真】弾劾政局を左右する重要証言　「検挙要請」と記したメモ

■「議員を引っ張り出せ」証言の..

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【写真】弾劾政局を左右する重要証言　「検挙要請」と記したメモ

■「議員を引っ張り出せ」証言の信ぴょう性を掘り下げ

　鄭裁判官は6日に開かれた尹大統領の弾劾審判で、証人として出廷した郭種根（クァク・チョングン）元特殊戦司令官を相手に、およそ6分間にわたって質問を浴びせた。戒厳が進行中だった昨年12月4日午前0時30分ごろ、尹大統領から電話がかかって来たとき、郭・元司令官は正確にはどんな言葉を聞いたのか－と問いただした。「引っ張り出せ」の対象が国会議員なのか「要員（軍人）」なのかが論争になったからだ。

　郭・元司令官は戒厳直後から、野党議員のユーチューブチャンネルや、国会の非常戒厳国政調査特別委などに出て「『国会議員を引っ張り出せ』という指示を受けた」と主張していた。この日の裁判でも国会側の「議員を引っ張り出せと言ったのは確実か」という質問に「正確にそうだ」と答えた。

　しかし鄭裁判官は「最初は『人』だと言っていて後で『議員』だと言い、『連れて出て来い』だと語っていたのに『引っ張り出せ』と言ったという。証言が混在している」とし、「考えや解釈を排して（大統領から）聞いたことだけを正確に言いなさい」と指摘した。郭・元司令官が「自主書にそのように（国会議員だと）書かなかった」と答えると、鄭裁判官は再び「聞いたことを尋ねている。国会議員とは言わなかったのか」と追及した。すると郭・元司令官は「尹大統領が『まだ議決定足数は満たしていないようだ。早く国会のドアを壊して入って、中にいる“人員”を外に引っ張り出せ』と言った」と答えた。結局、「議員」を「人員」に訂正したのだ。

　鄭裁判官は「法律家は、言葉が変わることによって証言の信ぴょう性を判断することになる」と語った。

■弾劾の火元となった「洪壮源メモ」の検証も

　今月4日には、洪壮源（ホン・ジャンウォン）元国家情報院（韓国の情報機関）第1次長が作成したという、政治家「逮捕リスト」メモについて執拗に検証した。このメモには、洪・元次長が当時の呂寅兄（ヨ・インヒョン）防諜（ぼうちょう）司令官から伝え聞いた逮捕対象者や「検挙要請（位置追跡）」等の文言が記されている。鄭裁判官は、大審判廷のスクリーンにメモを映し出した後、「検挙要請」と記した理由を尋ねた。

　鄭裁判官は「メモでは位置追跡より検挙を要請したことの方に主眼点を置いているが、検挙してほしいと呂・元司令官がことさら言う必要はない。既に検挙しに行っているのに…」としつつ、「国情院に（政治家などを）逮捕する人員や余力はあるのか」と尋ねた。しかし洪・元次長は「逮捕権限はないが、支援はできる」と答えた。これに鄭裁判官は「（要請ではなく）『検挙支援』だと書くべきだったのではないか」と指摘し、洪・元次長は「多少合理的ではない形で書いていたことを認める」と述べた。

　鄭裁判官はまた、洪・元次長の別のメモの内容についても数回にわたって「理解できない」と指摘し、洪・元次長は「正確に記載できず申し訳ない」と述べた。

■「動態把握がなぜ逮捕に変わったのか」

　鄭裁判官は1月23日、弾劾審判の最初の証人だった金竜顕（キム・ヨンヒョン）前国防相に「布告令違反の危険が高い人物の動態を把握せよと指示したというが、ほかの人々は『逮捕を指示した』という趣旨で語っている」とし、「その言葉がなぜ逮捕に変わったのか。布告令に違反したら逮捕すべきだと言ったのではないか」と尋ねた。

　すると金・元長官は「動静を確認していると、（布告令）違反の懸念があるため予防の次元から遮断しなければならない」とし、「最初から容疑もないが…ある程度経過して初めて、逮捕班が運営されるので…」と口ごもった。

　一方、金炯枓（キム・ヒョンドゥ）裁判官は、証人の証言を引き出そうと努めている様子だ。李鎮遇（イ・ジンウ）元首都防衛司令官が事実上答弁を拒否すると、金裁判官は「指示に従ったのに起訴されてとても悔しいだろう」「証人が間違っていたと問い詰めようとしているわけではない」と説得した。裁判長の文炯培（ムン・ヒョンベ）憲法裁判所長権限代行など他の裁判官6人は相対的に、質問するよりも聞く方に集中している。

パン・グクリョル記者、パク・ヘヨン記者

朝鮮日報／朝鮮日報日本語版