▲グラフィック=鄭仁盛(チョン・インソン)
憲法裁判所が3日、崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行の馬恩赫(マ・ウンヒョク)憲法裁判官候補者任命保留に関連した権限争議・憲法訴願事件の宣告を、当日になって延期した。これを受けて尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の代理人団は「最高憲法解釈機関としての権威と慎重さは見いだし得ない」と批判した。
韓国法曹界からも、憲法裁がこの事件を急いで審理する中で「請求人適格性」問題を手抜きし、「与野党合意」な..
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▲グラフィック=鄭仁盛(チョン・インソン)
憲法裁判所が3日、崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行の馬恩赫(マ・ウンヒョク)憲法裁判官候補者任命保留に関連した権限争議・憲法訴願事件の宣告を、当日になって延期した。これを受けて尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の代理人団は「最高憲法解釈機関としての権威と慎重さは見いだし得ない」と批判した。
韓国法曹界からも、憲法裁がこの事件を急いで審理する中で「請求人適格性」問題を手抜きし、「与野党合意」など中心的な争点をきちんと取り上げなかったことから、宣告が延期されたのだろう-という分析が出ている。
■憲法裁、「請求人適格性」の争点を手抜きか
権限争議事件の請求人適格性問題が宣告延期の重要な理由だった、というのが韓国法曹界の解釈だ。禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は1月3日、崔権限代行が馬候補者を任命しなかったことから、韓国国会を代表して権限争議を請求したが、その際に国会の議決を経ることはなかった。
これに対し崔権限代行側は今月1日、「禹議長単独の審判請求は不適法であって、却下すべき」とする書面を憲法裁に提出した。請求人を「大韓民国国会」としていながら議決を経ていないのは請求人資格に欠ける、というわけだ。国会代理人団は「議決がなくても可能」と主張しているが、憲法裁はこの日、国会側に「6日までに請求人適格性問題についての立場を追加で説明せよ」と要求した。憲法裁上層部の関係者は「きょう宣告することで合意がなされていたが、崔権限代行側の意見書が受理され、追加審理のために弁論を再開した」と語った。
しかし憲法学者らは「憲法裁が、宣告前に当然調べておくべきだった請求人適格性問題を手抜きしたのではないか」と指摘している。李仁皓(イ・インホ)中央大学教授は「禹議長が権限争議審判請求を出せるかどうかは、被請求人側の申請がなくても裁判部の職権で調べておくべきだった事項」だとし「裁判部が、論点を放置していたものとみられる」と語った。なお、憲法裁の関係者は「請求人適格性は裁判部が議論中の問題」とだけコメントした。
■「候補者の『与野党合意』も確認していないらしい」
崔権限代行は昨年12月31日、与野党合意がなされていないことを問題にして馬候補者の任命を保留した。崔権限代行側は「与野党合意があったかどうか確認すべき」として、保守系与党「国民の力」と進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の元・現職院内代表などを証人申請した。しかし憲法裁は1月22日の第1回弁論でこれを棄却し、その2日後に宣告日(2月3日)を決めた。崔権限代行側は「合意があったかどうかをもっと掘り下げるべき」として弁論再開を申請したが、憲法裁はそれすら、わずか3時間で棄却した。
ところが宣告4日前の1月31日、憲法裁は午後1時ごろ突然、崔権限代行側に「与野党が候補者推薦書を国会議長に出した経緯を、きょう中に整理してほしい」と言ってきた。崔権限代行側は「急な要請には応じ難い」として再度、弁論再開を申請した。その後、何の回答もなかったが、結局は宣告当日に弁論再開申請を受け入れたのだ。
部長判事出身のある弁護士は「与野党合意問題は最初から中心的な争点だった。早いうちに証人申請などを認めてやり、審理を充実させるべきだった」とし「憲法裁は、裁判を急ぐあまり、つまらない論争を自ら招いた」と指摘した。
■「裁判部内で意見対立が先鋭化しているようだ」
「政治的偏向」で物議を醸している馬候補者の任命問題を巡って裁判官の間で意見が衝突しているのではないか-という分析も出ている。まず、憲法裁が今回の権限争議審判において「崔権限代行の馬候補者任命保留は誤っている」と宣告しようと思ったら、裁判官の過半数(5人)の賛成が必要だ。また、憲法訴願において「任命保留は違憲」と宣告しようと思ったら6人以上の賛成が必要になる。
ある法曹関係者は「裁判官の一部が宣告に反対したり、中心的な争点についての追加審理が必要と主張したりしたようだ」と語った。黄道洙(ファン・ドス)建国大学教授は「『8人体制』でも十分に大統領弾劾事件の審理と宣告が可能なのに、わざわざ馬候補者任命問題から先に処理すべきなのかという問題を巡って、裁判官の間で意見が分かれていることもあり得る」と語った。
パン・グクリョル記者、キム・ナヨン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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