▲郭種根(クァク・チョングン)陸軍特殊戦司令官。2024年12月10日撮影
韓国政界では24日、12・3非常戒厳時に国会に兵力を投入した郭種根(クァク・チョングン)元特殊戦司令官の主張を巡って攻防が繰り広げられた。郭・元司令官は非常戒厳宣布直後、「金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防相=当時=から、『国会本会議場から議員を引っ張り出せ』という指示を受けた」と言っていたのに、その発言が野党によって汚染された-と与党側が主張し始めたのだ。
この攻防は、今月23日に憲法裁判所の尹錫..
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▲郭種根(クァク・チョングン)陸軍特殊戦司令官。2024年12月10日撮影
韓国政界では24日、12・3非常戒厳時に国会に兵力を投入した郭種根(クァク・チョングン)元特殊戦司令官の主張を巡って攻防が繰り広げられた。郭・元司令官は非常戒厳宣布直後、「金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防相=当時=から、『国会本会議場から議員を引っ張り出せ』という指示を受けた」と言っていたのに、その発言が野党によって汚染された-と与党側が主張し始めたのだ。
この攻防は、今月23日に憲法裁判所の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾審判で出てきた金・元国防相の供述から始まった。金・元国防相は当時「死傷者が生じかねないという判断の下、議員ではなく要員を抜け出させようとしたのを、進歩(革新)系最大野党『共に民主党』の金炳周(キム・ビョンジュ)議員が『議員を引っ張り出せ』にすり替えた」と主張した。これに対し民主党議員らは「議員が要員なのか」として、むしろ金・元国防相と尹大統領側が郭・元司令官の発言を歪曲(わいきょく)している、と反論した。
問題の郭・元司令官の発言は、戒厳宣布から三日後の昨年12月6日、特殊戦司令部を訪れた金炳周議員および朴善源(パク・ソンウォン)議員の質問に答える過程で初めて出た。これは、動画共有サイト「ユーチューブ」に金議員が開設しているチャンネルを通して中継された。ところが動画を見ると、当時の郭司令官は、戒厳当時の国会における兵力配置状況などを説明する中で「本会議場に一部入っていった人員がおり、外に一部の人員がいたが、わたしがその措置をしながら(金竜顕)前長官から国会議事堂内にいる人員を、要員を外にちょっと抜け出させろ(と言われた)」と発言していたことが判明した。すると朴議員はすぐに「議員を引っ張り出せ(と言ったのか)」と言い、金議員も「国会議員を」と合いの手を入れた。すると郭司令官は「はい」と答えた。
郭・元司令官の当時の発言は、戒厳解除要求案議決を妨げるために尹大統領が直接、国会本会議場の議員を引っ張り出せと軍上層部に指示した、という趣旨で大きな波紋を呼んだ。尹大統領が国会の権能の無力化を試みたという内乱容疑を裏付ける決定的端緒、とみなされたのだ。
だが郭・元司令官の最初の発言内容が具体的に分かるにつれ、韓国政界からは「『発言汚染』論争が今後、憲裁の弾劾審判や刑事裁判で争点になるかもしれない」という声が出ている。尹大統領と金・元国防相は、戒厳軍の指揮官らに「議員を引っ張り出せ」と指示したことはない、という立場だ。
郭・元司令官の発言が違っていたという論争はまだある。昨年12月10日、国会国防委員会に出席した郭・元司令官は、午前の会議のときは議員の質問に対し「尹大統領が(戒厳当日に)一度、電話をかけて部隊の移動状況を尋ねた。それが全て」と答弁していた。ところが、途中で朴範界(パク・ボムゲ)民主党議員と会ってから、午後になると立場が変わった。朴議員は、郭・元司令官が自分との対面で「尹大統領が二度電話をして、議決定足数はだめだからドアを壊して入っていって議員を引っ張り出せと指示した」という趣旨で陳述したと伝えた。
郭・元司令官は当時、朴議員と対面して「公益通報」をすると決めたことが分かった。与党側では「郭・元司令官は野党の責任追及が怖くて陳述を変えたのではないか」と疑問を提起した。郭・元司令官は、検察が起訴状で尹大統領が「扉を斧で壊してでも全員引っ張り出せ」と指示したと適示したことに関連して、今月14日に国会国政調査特別委に出席して「斧関連の部分は記憶にない」とも述べた。
ただし「国会議員を引き出せ」という趣旨の尹大統領の指示があったという陳述は、李鎮遇(イ・ジンウ)元首都防衛司令官も検察で行っていることが分かった。検察の李・元司令官の起訴状を見ると、尹大統領が戒厳当時、李司令官に秘話フォンで「銃を撃ってドアを壊して入り、議員を引き出せ」「本会議場に入って4人が1人ずつ抱えて、背負って出て来い」と指示したことになっている。
李・元司令官が国会などで関連の陳述をしたことはない。李・元司令官は昨年12月6日、ユーチューブの金炳周議員のチャンネルで「4日未明に尹大統領が電話で状況を尋ね、『非常に複雑で、わが方の人員が移動できない』と答えた」とだけ語っていた。法曹界からは「戒厳事態の初期に主な戒厳軍指揮官のデリケートな証言が、国会などを通してそのまま知られ、内乱容疑を既成事実化する方向へと雰囲気が流れていったが、これからは一つ一つ検証する曲面へと向かうだろう」という見方が出た。
梁昇植(ヤン・スンシク)記者、キム・ジョンファン記者、ヤン・ジホ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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