▲BIGHIT MUSIC、YGエンターテインメント、JYPエンターテインメント
「端境(はざかい)期に入った」。最近、K-POP市場にこんな不安が広がっている。韓流ブームに乗って増加し続けてきたK-POPのCD輸出・販売枚数が昨年、10年ぶりに横ばいとなったのだ。韓国関税庁の輸出入貿易統計(1月19日基準)によると、昨年1年間で実物CDの輸出額は約4238億ウォン(約458億円)で、前年(4215億ウォン)に比べ0.55%の伸びにとどまった。輸出額は2015年から増加を続け..
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▲BIGHIT MUSIC、YGエンターテインメント、JYPエンターテインメント
「端境(はざかい)期に入った」。最近、K-POP市場にこんな不安が広がっている。韓流ブームに乗って増加し続けてきたK-POPのCD輸出・販売枚数が昨年、10年ぶりに横ばいとなったのだ。韓国関税庁の輸出入貿易統計(1月19日基準)によると、昨年1年間で実物CDの輸出額は約4238億ウォン(約458億円)で、前年(4215億ウォン)に比べ0.55%の伸びにとどまった。輸出額は2015年から増加を続けていたが、ここに来て成長に陰りが見え始めたのだ。
国別統計では、日本への輸出額が1303億ウォンで前年比24.7%の減少となった。日本は米国(875億ウォン)、中国(868億ウォン)と並び、K-POPの輸出額全体の72.8%を占める「輸出国トップ3」に入っている。それでも、限韓令(韓流禁止令)によって2023年に急減していた中国への輸出額が昨年は76.4%増加したため、輸出額全体の大幅な減少は免れたと分析されている。
■1年ぶりに崩れた「K-POP1億枚」神話
23年に初めて扉が開かれた「K-POPの1億枚時代」もわずか1年で終わった。韓国音盤コンテンツ協会が運営する音楽チャート「サークルチャート」によると、昨年1-12月はK-POPの実物CDの販売枚数は9890万枚で、前年(1億2020万枚)に比べ17.7%減少した。
韓国の歌謡界では、市場をけん引する超人気グループの不在と不振を販売減の最大の理由に挙げる。ボーイズグループBTS(防弾少年団)やガールズグループBLACKPINK(ブラックピンク)などK-POPの世界的注目度を上げたグループが空白期に入る中、その後を担うグループのCD販売量が減少傾向にあるのだ。23年にK-POPで初めてCDの年間総販売枚数1600万枚を達成したボーイズグループSEVENTEEN(セブンティーン)は、昨年は896万枚にとどまった。単一のアルバムの販売枚数が300万枚以上だったグループも23年には11組あったが、昨年は7組で、100万枚以上は26組から24組に減少した。500万枚以上のグループはなかった。
世界的なメガヒット曲も誕生しなかった。昨年までに音楽配信サービス「Spotify(スポティファイ)」でのグローバル累積ストリーミング回数の上位2500曲にランクインしたK-POPの25曲は、今もBTS(16曲)とBLACKPINK(9曲)のグループ曲とソロ曲だけだ。
人気ガールズグループNewJeans(ニュージーンズ)を巡る事務所の内紛もCD販売枚数の不振に影響を及ぼしたと分析されている。NewJeansを巡っては、所属事務所ADORのミン・ヒジン前代表と親会社HYBEの経営陣が対立し、大きな騒動になった。あるエンターテインメント会社の関係者は「両サイドの暴露合戦の過程で、激しい『初動(第1週の販売枚数)競争』や、サイン会の権利を得るためのファンによるCD大量購入、中間流通業者に大量にCDを扱わせるなどの問題点が明らかになった」「積極的なCD販売マーケティングを控えざるを得ない状況だった」と指摘した。
K-POPのストリーミング回数は伸びたものの、いわゆる「4大芸能事務所」と呼ばれる大手エンターテインメント会社の営業利益は縮小した。一般的に、ストリーミングの収益よりもアルバム販売による収益の方が2倍以上高いからだ。HYBEは昨年第4四半期(10-12月期)、自社アーティストの合計日間ストリーミング回数が126億回で前年同期比10.5%増だったが、営業利益は前年比で6.1%減少する見通しだ。
■「超人気グループの活動再開」と「世代交代」、ツートラックで巻き返しを図れるか
韓国の歌謡界は積極的な追加投資によって危機の打開を模索している。大手エンターテインメント各社は年初から相次いで新人のデビュー計画を発表した。SMエンターテインメントは来月、新人ガールズグループ「Hearts2Hearts(ハーツ・トゥ・ハーツ)」と英国ローカライズのボーイズグループ「dearALICE(ディアアリス)」を正式にデビューさせる。JYPエンターテインメントは20日に新人ボーイズグループ「KickFlip(キックフリップ)」を送り出し、HYBEは年内にオーディション番組を通じてラテンアメリカでローカライズグループをお目見えする計画だ。YGエンターテインメントは昨年ガールズグループ「BABYMONSTER(ベイビーモンスター)」を正式デビューさせたのに続き、今年も新人グループ「NEXT MONSTER(ネクストモンスター)」(仮称)のデビューを準備している。
下半期に予定されているBTSとBLACKPINKの活動再開も、K-POP市場の成長を再びけん引し、回復のきっかけを作るとみられている。BTSは6月までにメンバー全員が除隊し、軍服務による空白期間が終わる。年内には完全体での活動を再開する見通しだ。BLACKPINKは今年下半期に完全体での海外ツアーを再開する計画だ。証券業界では、BTSが活動を再開すれば、来年上半期までの1年間でHYBEの売り上げの半分に相当する約1.87兆ウォンの収益を上げるとの見方が出ている。
K-POPの大型ライブ公演の需要も、市場回復のポジティブな兆候だ。現代車証券によると、25年のK-POP公演の観客動員数は1700万人に達し、前年比で27%と大幅に増加する見通しだ。個々のグループの観客動員数や公演回数も増加を続けている。3万-5万席規模のスタジアム公演を開催するグループは、23年のBTS、BLACKPINK、TWICE(トゥワイス)に続き、昨年はStray Kids(ストレイキッズ)、TOMORROW X TOGETHER(トゥモロー・バイ・トゥギャザー)、ATEEZ(エイティーズ)などが新たに加わった。また、1万-3万席規模のアリーナ公演を開催するグループも、23年の6組から昨年は17組に増えた。
サークルチャートのキム・ジンウ首席委員は「新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の時期には公演が開催できず、ファンの支出がアルバム購入に集中したが、今は公演の方にも消費が分散している」とした上で「財布を積極的に開いていたコアなファンダム(熱狂的なファン集団)の成長が鈍化したとも考えられる。大衆的な需要を増やし、ファンダムの規模自体を拡大していくのが打開策になるだろう」と話した。
ユン・スジョン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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