▲光州広域市の姜琪正市長。2024年12月31日撮影。/聯合ニュース
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の逮捕状執行が試みられた今月3日、光州市は米バージニア州の州旗を掲揚した。昨年11月に同市を訪れた米バージニア州代表団から贈られたものだ。ところがこの旗は、その歴史的背景から「奴隷制度賛成」という意味に解釈されかねないとの指摘が5日になって提起された。
問題の青い旗には「シク・センペル・ティラニス(Sic Semper Tyrannis、暴君は常にかくのごとし)」..
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▲光州広域市の姜琪正市長。2024年12月31日撮影。/聯合ニュース
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の逮捕状執行が試みられた今月3日、光州市は米バージニア州の州旗を掲揚した。昨年11月に同市を訪れた米バージニア州代表団から贈られたものだ。ところがこの旗は、その歴史的背景から「奴隷制度賛成」という意味に解釈されかねないとの指摘が5日になって提起された。
問題の青い旗には「シク・センペル・ティラニス(Sic Semper Tyrannis、暴君は常にかくのごとし)」というバージニア州のスローガンがラテン語で書かれている。古代ローマ神話の徳の女神ウィルトゥス(Virtus)が独裁の神を殺してその上に立つ絵も描かれている。姜琪正(カン・ギジョン)光州市長は3日、尹大統領を「暴君」と呼び「旗に書かれた文言が意味深長だ」「権力を乱用する者は必ず破滅するというのは東西古今の真理だ」と述べた。
旗に刻まれたラテン語の文言は、1865年に米国のリンカーン大統領を暗殺したジョン・ウィルクス・ブースが犯行直後に叫んだ言葉として知られている。西洋史では非常に有名なフレーズだ。紀元前509年、古代ローマで王政を打倒した共和主義者ルキウス・ユニウス・ブルートゥスが発した言葉だという説や、紀元前44年にユリウス・カエサルを暗殺したマルクス・ユニウス・ブルートゥスが口にしたという説がある。
旗のデザインを巡る歴史的背景も複雑だ。1861年の南北戦争当時、奴隷制度の存続にこだわったバージニア州が連邦を脱退し、いわゆる「南部連合」に加わった際に採用されたものである。ここで言う「暴君」とは、地域経済を支える奴隷制度の存続を支持していた南部10州以上の意思に反し、奴隷解放を推し進めたエイブラハム・リンカーン大統領(1861-65年在職)と連邦政府を指す。米紙ワシントン・ポスト(WP)は2023年10月、この旗を白人至上主義と関連する7州の象徴の一つとして紹介し「1861年に米国が暴君化し、バージニアがそれを打ち負かすという新たな意味が付与された」と報じた。
南北戦争に対する米国政府の公式の立場は「反逆者たちが起こした戦争(The War of the Rebellion)」だ。連邦政府の立場から見れば、奴隷制度の存続を主張して連邦を脱退したバージニアが「憲法に反して内乱を起こした反逆者」と見なされるからだ。ただし、この戦争は米国史上最も多くの犠牲者を出した戦争であり、150年が過ぎた現在では、南北間の地域感情を不必要にあおることを避けるため、「州の間の戦争(War between the States)」や「内戦(Civil War)」といった表現も併記されている。ワシントンの消息筋は「米連邦政府の立場から見ると、『奴隷制度賛成』『反逆者たちのもの』といった意味が込められた象徴物を尹大統領に対する抵抗の意味で使ったようなものなので、やや不自然だ」と述べた。
光州市の関係者は「リンカーン大統領の暗殺だけに注目したのではなく、権力を乱用した暴君は破滅に至るという東西古今の真理に注目したものだ」と説明した。
ワシントン=キム・ウンジュン特派員、光州広域市=チン・チャンイル記者
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
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