▲イラスト=イ・チョルウォン
アイルランドは700年以上もの間、英国の植民地支配を受けていた。アイルランドの若者たちは仕事を求めて英国に向かった。アイルランドを代する小説家のジョナサン・スウィフト、オスカー・ワイルド、ジョージ・バーナード・ショーは、英国で社会経歴を積んだ。1840年代にアイルランドを襲った大飢饉(ききん)の際は、数百万人のアイルランド人が英国に渡った。産業革命で人手が足りなかった英国は、アイルランド人をこき..
続き読む
▲イラスト=イ・チョルウォン
アイルランドは700年以上もの間、英国の植民地支配を受けていた。アイルランドの若者たちは仕事を求めて英国に向かった。アイルランドを代する小説家のジョナサン・スウィフト、オスカー・ワイルド、ジョージ・バーナード・ショーは、英国で社会経歴を積んだ。1840年代にアイルランドを襲った大飢饉(ききん)の際は、数百万人のアイルランド人が英国に渡った。産業革命で人手が足りなかった英国は、アイルランド人をこき使い、「白い黒人」(white negro)と蔑視した。
1949年に独立国となったアイルランドが、50年の歳月を経て国民所得で英国を追い抜いた。英国のネルソン記念塔を撤去した場所に、高さ120メートルの記念塔(ダブリンの尖塔〈せんとう〉)を建てるほど、その喜びは大きかった。グーグル、アップル、フェイスブックなど世界的なIT企業が欧州本部を置くダブリンは、欧州のシリコンバレーと呼ばれている。過去とは反対に英国の青年たちが働き口を求めてアイルランドに集結している。
日本の植民地時代、朝鮮の青年たちは働き口を求めて日本へと向かった。強制徴用を含めて350万人以上が日本企業で働いた。植民地支配からの解放後も日本行きの就職移住の波は続いた。一部の韓国人女性が3-4倍に上る賃金格差を狙って、日本の風俗店へと集まった。当時、日本に入国しようとする若い韓国人女性たちは、日本の空港の入国審査で風俗店への不法就職と疑われ、多くの恥をかいた。
日本経済の「失われた30年」を通じて、韓日の経済力格差が縮まった。日本の国民所得は2012年に5万ドル(約790万円)をマークして以来、引き続き下降線をたどっている。一方、韓国は1995年に1万ドル(約160万円)、2007年に2万ドル(約320万円)、14年に3万ドル(約470万円)を超え、昨年は3万6194ドル(約570万円)と、日本(3万5793ドル=約560万円)を上回った。最低賃金も日本を追い越した。今や日本は深刻な低賃金国だ。今は日本の青年たちが金を稼ぐために韓国にやって来るのが普通になった。韓流ブームは韓国での就職の魅力を高める要素となっている。最近、飲食店やアパレル業界などでアルバイトをしている日本人の若者をよく見掛ける。お年寄りが見れば、時代の移り変わりをしみじみと実感することだろう。
加盟国間の就職や移住が自由に行える欧州連合(EU)を見ると、優秀なブレーンは高所得国家へと集中したことで、富める者はより富を手にし、貧しい者はより貧しくなるという貧富の格差が拡大している。中世時代、雇い兵輸出で延命していたスイスは、世界最高の金融業、機械工業、製薬産業を育て上げたことで、欧州での最高級人材が就職を希望する第1希望国としてのし上がった。韓国も国家の魅力をさらに高め、外国人人材が就職し住んでみたい国へと変化していかなければならない。これにより、人口減少問題を解決し、国家競争力も高めていくことができるだろう。
金洪秀(キム・ホンス)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com