▲写真=UTOIMAGE
中国・北京市で2人の子どもを育てるある中国人夫婦は最近、中国の出産奨励政策について、本紙記者にそう語った。国有企業と民間企業でそれぞれ要職に就いている夫婦は、国家が政策と人材を総動員して既婚者の出産を強要していると指摘した。中国は人口急増に対応するため、1978年にいわゆる「一人っ子政策」を導入し、2人以上の子どもを産んだ夫婦には罰金を科したり、中絶を強要したりしたが、今は逆に強圧的に出産を促し..
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中国・北京市で2人の子どもを育てるある中国人夫婦は最近、中国の出産奨励政策について、本紙記者にそう語った。国有企業と民間企業でそれぞれ要職に就いている夫婦は、国家が政策と人材を総動員して既婚者の出産を強要していると指摘した。中国は人口急増に対応するため、1978年にいわゆる「一人っ子政策」を導入し、2人以上の子どもを産んだ夫婦には罰金を科したり、中絶を強要したりしたが、今は逆に強圧的に出産を促しているのだという。中国は2016年に「二人っ子政策」を打ち出したのに続き、2021年には「第3子容認政策」を導入した。
夫婦が語る通り、中国政府は出生率の低下を防ぐため、既婚女性を直接圧迫している。経済誌エコノミストは最近、江蘇省無錫市に住む女性(28)が、公務員から電話で生理周期や妊娠計画について尋ねられたと報じた。北京市密雲区は今年に入り500人の専門チームを設け、妊娠適齢の夫婦と連絡を取り、妊娠を促している。
中国国務院(中央政府)は昨年10月末、大規模な出産奨励政策を発表した。子どもを出産した家庭に対する税額控除、出産休暇・育児休職の拡大、住宅担保ローンの優遇などが含まれた。昨年下半期には全国で3万人を対象に出産政策立案のための意識調査を実施した。教育省は教科書の表紙に描かれた一人っ子家庭の絵を妊婦と2人の子どもが一緒にいる絵に差し替えた。昨年11月に性差別と政府の検閲を扱った低予算映画が公開されたのも異例のことだった。映画業界関係者は「作品には子どもを楽しく育てるシングルマザーが描かれていたためだ」と話した。
2015年まで一人っ子政策を厳格に執行した計画生育協会は一転して「妊娠の広報役」となり、「3人の子どもが満ち足りた人生をもたらす」のようなスローガンを掲げる家庭をモチーフにした彫刻像を設置中だ。中国共産党の組織も婚活支援を開始した。浙江省の中国共産主義青年団が運営する婚活支援プラットフォームには昨年12月初めまでの3カ月で30万人が加入した。このプラットフォームはキャンプなどの活動を通じて青年たちに出会いの場を提供するものだ。
あまりにも宣伝に力を入れる余り、無理も生じている。国家衛生健康委員会系の雑誌は昨年10月、出産のメリットとして妊産婦の知能向上、がんのリスク低下などを挙げ、根拠に乏しいと非難を浴びた。ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ハリー・クルーズ氏は「数十年間続いた一人っ子政策の心理的後遺症と景気低迷が若い世代の結婚・出産忌避につながったことが問題だ」として、「特効薬はない」と指摘した。
世界第2位の経済大国である中国の少子高齢化は深刻だ。中国の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産むと予想される子どもの数)は1.0で、人口維持に必要な2.1に大きく及ばない。米国(1.62)よりはるかに低く、世界最低の韓国(0.72)と比べればやや高い。出生率に直結する結婚件数も2023年第3四半期(7~9月)は475万件で、前年同期を16.6%下回った。中国の人口は2022年と2023年に連続で減少したが、これは大躍進運動に伴う大飢饉以来62年ぶりのことだ。中国政府の統計によると、中国の人口は現在の14億1000万人から2035年には13億9000万人以下に減少する見通しだ。
北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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