▲務安空港でのチェジュ航空機事故をきっかけとして、格安航空会社(LCC)の安全性に対する懸念の声が高まっている。写真は2022年9月、台風11号(アジア名・ヒンナムノー)が韓国へと北上し、金浦空港でチェジュ航空の整備士が機体を固定する様子/ニュース1
2023年に韓国の航空会社で国際線を利用した約4720万人のうち、格安航空会社(LCC)の利用客は約2419万人で、レガシーキャリア(大韓航空・アシアナ航空)の利用客(約2300万人)を初めて上回った。国内線ではLCC利用客は既にレガシーキャリアを上回っていたが、レガシーキャリアの牙城だった国際線でもLCCを利用して海外に出かける人が増えた形だ。
LCC利用客は急速に増えているが、「大前提」とな..
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▲務安空港でのチェジュ航空機事故をきっかけとして、格安航空会社(LCC)の安全性に対する懸念の声が高まっている。写真は2022年9月、台風11号(アジア名・ヒンナムノー)が韓国へと北上し、金浦空港でチェジュ航空の整備士が機体を固定する様子/ニュース1
2023年に韓国の航空会社で国際線を利用した約4720万人のうち、格安航空会社(LCC)の利用客は約2419万人で、レガシーキャリア(大韓航空・アシアナ航空)の利用客(約2300万人)を初めて上回った。国内線ではLCC利用客は既にレガシーキャリアを上回っていたが、レガシーキャリアの牙城だった国際線でもLCCを利用して海外に出かける人が増えた形だ。
LCC利用客は急速に増えているが、「大前提」となる安全面の投資では真逆の数字が並ぶ。本紙がこのほど、国土交通部の航空整備士統計を分析した結果、大韓航空とアシアナ航空に所属する整備士が全体の72.6%を占めることが分かった。これに対し、レガシーキャリアより利用客が多いLCC10社(貨物航空会社を含む)の整備士は全体の27.4%にとどまった。「薄利多売」戦略で海外から中古機体を導入し、中・短距離中心に頻繁な運航を続けるLCCが機体整備など安全面への投資を相対的に疎かにしていることを示している。務安空港での惨事をきっかけとして、国民の不安が高まる中、航空専門家からはLCCの安全水準を再チェックすべきだという指摘が出ている。こうした懸念の高まりを受け、チェジュ航空は2025年3月までに運航回数を10~15%減らし、整備士を追加雇用する方針を明らかにした。
■急成長したLCC、安全面の投資は不十分
韓国国土交通部が昨年9月に発表した「2023年航空安全白書」によると、韓国の航空会社12社に所属する整備士5849人(2023年末現在)のうち、レガシーキャリアである大韓航空、アシアナ航空に所属する整備士は4248人だった。一方、チェジュ航空、ジンエアーなどLCC10社の整備士は1601人で、レガシーキャリアの約3分の1(37.7%)にとどまった。これを各社の保有機体数で割ると、レガシーキャリアは1機当たり16~18人なのに対し、LCCは10.6人だった。
こうした数値はこれまでも重ねて指摘されてきたLCCの安全問題が依然として改善されていないことを意味する。2016年にも国土交通部は機内の気圧調節失敗、ドアの故障による引き返しなどLCCの安全事故が相次いだことを受け、「LCC安全強化対策」を発表している。当時政府が真っ先に要求したのが整備士の増員だった。政府が掲げた基準は、1機当たり整備士数12人(当時9~11人)だった。しかし、白書によれば、LCCで最も整備士数が多いチェジュ航空でも1機当たり整備士数は11.2人にとどまった。同社は「政府の統計がまとめた2023年末以降、整備士を増員し、現在は整備士が522人で、1機当たり12.7人に改善した」とし、2025年末までに560人に増員する計画を明らかにした。
■「安全規定守っている」と言うが…
LCC側は安全への懸念が指摘されるたびに「規定の安全指針を漏れなく守っている」と説明している。しかし、ここにも盲点がある。代表的な例が今回務安空港で事故を起こしたボーイング737型機だ。国土交通部が定めた同型機の整備基準を見ると、中間点検時間は「最短でも28分」、項目は胴体、翼、エンジン、着陸装置(ランディングギア)、操縦席など20項目と明記している。しかし、短い時間に20項目をどれだけ徹底的に点検するかは整備士次第だ。
事故機は事故の2日前の12月27日から48時間で8カ所の空港を13回往来する過密飛行スケジュールを消化し、各空港に駐機する時間は1時間ほどにすぎなかった。乗客の乗降時間を考慮すると、航空業界では整備士が操縦席に入り警告灯がついていないかをチェックし、機体の内部と内側を目視する形で整備時間の最低基準である28分を満たしていた可能性が高いと話す。航空業界関係者は「法的要件を守らない航空会社はない。ただ、整備士数人でどれだけ余裕を持って点検作業を行うかという点で差がある」と話した。整備士は不足し、仕事量は多いため、インターネット上には「チェジュ航空での整備で2年耐えられれば、どこでも耐えられる」と指摘する書き込みも見られた。
独自の整備・修理・オーバーホール(MRO)施設を備えたレガシーキャリアとは異なり、LCCにはそうした施設がなく、重要部品の手間がかかる整備は海外の整備業者に依存している。LCC1位のチェジュ航空が今年、航空機の整備・修理・改造に計上した予算は2209億ウォンにとどまる。1機当たり約53億8700万ウォン(約5億7500万円)で、大韓航空(127億ウォン)、アシアナ航空(138億ウォン)の半分以下だ。
朴淳燦(パク・スンチャン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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