▲グラフィック=キム・ハギョン
米政府は過去1年間、エヌビディアを対象に中国に流出した半導体に関する調査に実施してきた。エヌビディアは人工知能(AI)開発に欠かせない「AIアクセラレーター」という半導体チップを生産している。米国は過去2年間にわたり、エヌビディアのAIチップが中国に輸出されることを防ぐために規制を強めてきた。しかし、中国が第三国経由のう回ルートと密輸を通じ、エヌビディアの先端AI半導体を確保していることが判明す..
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▲グラフィック=キム・ハギョン
米政府は過去1年間、エヌビディアを対象に中国に流出した半導体に関する調査に実施してきた。エヌビディアは人工知能(AI)開発に欠かせない「AIアクセラレーター」という半導体チップを生産している。米国は過去2年間にわたり、エヌビディアのAIチップが中国に輸出されることを防ぐために規制を強めてきた。しかし、中国が第三国経由のう回ルートと密輸を通じ、エヌビディアの先端AI半導体を確保していることが判明すると、直接同社を対象に調査を行うことにしたのだ。IT専門メディア「インフォメーション」は12月19日、米商務省がエヌビディアに対し、自社半導体が中国でなぜ使用されているのか最終販売経路に関する内部調査を行うよう指示し、半導体商社を対象にした調査が行われていると報じた。
米国がエヌビディアのAI半導体に対する規制を強化するのは、技術面だけでなく、戦略的重要性のためだ。米国は2022年10月以降、AIチップの対中輸出規制を発表するたびに「軍事転用の可能性」を主な理由の一つとして言及している。専門家は中国がエヌビディアのAIチップを超音速ミサイルなど先端兵器を開発する過程で使用していると推定している。高性能のAIモデルでシミュレーション(仮想実験)を行いながら、兵器の性能を急激に向上させる狙いだ。韓国科学技術院(KAIST)の金楨浩(キム・ジョンホ)教授は「先端兵器開発でAIモデルはますます重要になり、エヌビディアのAIチップが中核的役割を果たす。エヌビディアのチップが核兵器の原料であるウランのような役割をすると言っても決して誇張ではない」と述べた。
■米、エヌビディアのAIチップに戦略的規制
実際に中国軍と関連研究機関はエヌビディアのチップを大量に備蓄している。ジョージタウン大安全保障・新興技術センターが米国による規制が本格化する以前の2020年、中国軍の調達契約2万1088件を分析した結果、確保したAI半導体は全てエヌビディアなど米国製だった。ニューヨークタイムズは「米国製チップが核兵器や魚雷をモデリングしたり、ステルス戦闘機のレーダー信号を分析したりするのに使われた」と報じた。また、AIチップで構築した指揮統制体制は、人間より早く正確な判断を下すことができる。AIドローンのように従来の兵器体系とも融合できる。複雑な計算が必要になるだけに、高性能のAIチップが必要だ。中国経済金融研究所のチョン・ビョンソ所長は「AIが実際に軍事用として活用されたウクライナ戦争を見た米国は、中国がそれを現実化することを防ぐために制裁レベルを高めるはずだ」と話した。
米国の制裁を受け、エヌビディアは中国に性能を抑えた製品を販売している。しかし、中国は闇市場を通じ、先端AI半導体を買い集めている。ウォールストリートジャーナルによると、中国最大の核兵器開発研究所である中国工程物理研究院をはじめ、10カ所以上の国家研究機関が闇市場でエヌビディアの半導体を購入したことが分かった。
米国は自国企業によるAIチップの販売をさらに規制するする方針だ。第三国を通じた「う回調達」を防ぐため、中東、東南アジアへの輸出量を制限するなど新たな規制導入を計画している。ニューヨークタイムズは12月19日、米政府が同盟国には制限なくAIチップを購入することを認め、敵国による購入を完全に阻止するとみられると報じた。事実上、エヌビディアのAIアクセラレーター販売を国家安全保障上の理由で制限する格好だ。トランプ次期大統領が1期目の当時、華為(ファーウェイ)に対する制裁と先端半導体生産設備の対中輸出規制を実施したことを考えれば、来月発足する2期目でも対中半導体制裁を強化する可能性が高いとみられる。
■中国、エヌビディアに対する独禁法調査で反撃
中国も反撃に出た。12月初め、中国政府はエヌビディアが2020年にイスラエルの半導体設計会社メラノックスを買収したことに関連し、独禁法違反の調査に着手した。今回の措置は米国による対中半導体追加制裁発表から1週間後に発表された。中国はエヌビディアの売上高全体の約12%を占め、無視できない市場だ。ウォールストリートジャーナルは「中国が貿易・技術の制裁対象になった際、中国も黙ってはいないというメッセージだ」と分析した。チョン・ビョンソ所長は「米国が半導体装備メーカーを中心に140社を追加で対中規制企業リストに含めると、中国も警告の意味で調査に着手したものとみられる。エヌビディアを皮切りに中国での生産・販売比率が高いアップル、テスラなどに調査対象を拡大する可能性がある」と話した。
柳智漢(ユ・ジハン)記者、李海仁(イ・ヘイン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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