▲グラフィック=ヤン・インソン
米中の半導体覇権争いが、先端半導体から旧来の技術で生産されるレガシー半導体へと広がっている。米通商代表部(USTR)は12月23日、中国の半導体支配に向けた行為と政策、慣行に対する調査を開始すると発表し、「まず中国のレガシー半導体生産に注目する」と説明した。今回の調査は米通商法301条(スーパー301条)に基づくものだ。同条項は、相手国の不公正な貿易行為に対し、報復関税など制裁を課すもので、米国..
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▲グラフィック=ヤン・インソン
米中の半導体覇権争いが、先端半導体から旧来の技術で生産されるレガシー半導体へと広がっている。米通商代表部(USTR)は12月23日、中国の半導体支配に向けた行為と政策、慣行に対する調査を開始すると発表し、「まず中国のレガシー半導体生産に注目する」と説明した。今回の調査は米通商法301条(スーパー301条)に基づくものだ。同条項は、相手国の不公正な貿易行為に対し、報復関税など制裁を課すもので、米国の通商政策で最も強硬なカードとして挙げられる。半導体業界関係者は「これまで米国の対中制裁は先端半導体分野で技術、製品輸出、投資を規制するレベルだった。今回は制裁対象をレガシー半導体にまで拡大し、制裁手段として報復関税まで持ち出した」と指摘した。米政府の発表を受け、中国は「米国こそ(自国の半導体産業振興を目的とした)CHIPS法で自国の半導体産業に巨額の補助金を支給している」と強く反発した。
■米、中国のレガシー半導体に制裁関税も
USTRは調査を行う理由について、「中国はシェア目標を設定した後、不公正で非市場的な手段を使った」と主張した。中国の半導体メーカーが巨額な政府補助金を受け取り、ダンピング水準の低価格で半導体を販売し、世界市場を侵食していることで、半導体のサプライチェーンに悪影響を与えているとの立場だ。
家電製品などに使われるシステム半導体やパソコン用DRAMなどのレガシー半導体市場で中国のシェアは最近急激に上昇している。市場調査会社トレンドフォースによると、中国のレガシー半導体シェアは2023年の31%から2027年には39%へと主要国の中で唯一上昇が見込まれている。
米国は制裁手段も強化した。これまで米国の対中半導体制裁は、大半が国家安全保障への脅威に着目して行われた。今回は通商法301条でより直接的に打撃を与えることができる「報復関税」のカードをちらつかせた。 祥明大システム半導体工学科のイ・ジョンファン教授は「中国製レガシー半導体は、今のところほとんどが中国内需向けにとどまっているが、最近急成長を始めた。米国にとっては、手遅れになる前に関税などさまざまな措置を通じてけん制せざるを得ない状況だ」と分析した。
■中国「米国は自己矛盾だ」と強く反発
調査に数カ月かかるだけに、米国が最終的に制裁を課すかどうかはトランプ政権発足後に決定される。今回の動きは短期的にはサムスン電子やSKハイニックスなど韓国企業に影響を与えることはない見通しだ。韓国企業はレガシー半導体をほとんど生産していないためだ。半導体業界関係者は「中長期的に米中対立が激化し、原材料などに飛び火すれば、世界のサプライチェーン自体が不安定になる可能性は高い」と語った。
中国はUSTRの発表に直ちに反発し、報復措置の可能性を示唆した。中国商務省報道官は談話を通じ、「米国は巨額の補助金を支給し、米国企業が世界の半導体市場の半分近くを占有している。中国の脅威を誇張することは明らかな自己矛盾だ」と反論した。
一部には米国が実際に報復関税を課す可能性は低いとの見方もある。中国経済金融研究所のチョン・ビョンソ所長は「通商法301条(の適用)は不公正行為が明らかになる必要がある。米国が中国製品を使っていなければ証拠をつかむことができないが、中国は現在米国はもちろん韓国にもレガシー半導体をほとんど販売していない」と指摘した。トランプ政権1期目は2018年、通商法301条を根拠に半導体など中国製品818品目に5%の関税を課したが、市場に大きな影響はなかった。このため、今回の措置も中国との覇権争いで優位に立とうという交渉カードではないかとの分析が聞かれる。
ユン・ジンホ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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