▲K10弾薬運搬装甲車(写真左)とK9自走砲(右)。/写真=ハンファ・エアロスペース提供
ハンファ・エアロスペースのK9自走砲を運用する国が世界的に増える中、K9とパッケージの形態で輸出されるK10弾薬運搬装甲車が輸出の隠れた「功臣」として活躍している。K10は、重さ40キロ相当のK9用155ミリ弾薬をK9に自動供給する役割を担うが、ロボット型の弾薬運搬車両の開発に成功したのは世界でもハンファ・エアロスペースが初めてだ。
12月25日に防衛関連業界が明らかにしたところによると、ルーマ..
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▲K10弾薬運搬装甲車(写真左)とK9自走砲(右)。/写真=ハンファ・エアロスペース提供
ハンファ・エアロスペースのK9自走砲を運用する国が世界的に増える中、K9とパッケージの形態で輸出されるK10弾薬運搬装甲車が輸出の隠れた「功臣」として活躍している。K10は、重さ40キロ相当のK9用155ミリ弾薬をK9に自動供給する役割を担うが、ロボット型の弾薬運搬車両の開発に成功したのは世界でもハンファ・エアロスペースが初めてだ。
12月25日に防衛関連業界が明らかにしたところによると、ルーマニアは24年7月にK9自走砲54門とK10弾薬運搬車36両を配備する1兆4000億ウォン規模(現在のレートで約1500億円。以下同じ)の契約を締結した。これでK9配備国は計10カ国に増え、K9と共にK10を配備した国は韓国、ノルウェー、オーストラリア、エジプト、ルーマニアの計5カ国になった。K9配備国の半分はK10を選択したのだ。
ルーマニアの自走砲事業でK9は、ドイツのPzH2000自走砲と競争した。ハンファ・エアロスペースの立場からは「北大西洋条約機構(NATO)加盟国間の武器取引」という長年の慣行を破るために差別化案が必要だったが、そこで「K10弾薬運搬車をK9自走砲と一緒に運用できる」という利点を掲げてルーマニア政府を説得したという。
ハンファ・エアロスペースの関係者は「自走砲は弾薬の円滑な供給が必要だが、兵士が自走砲に弾薬を直接積み込む場合、敵に露出してしまう可能性が生じる」としつつ、「K10はK9と共用のプラットフォームを活用しているので費用、生産、教育訓練、維持・補修・整備(MRO/Maintenance, Repair and Overhaul)部門で互換性が高い、という点も強調した」と語った。
K10は、完全自動化された制御システムを通してK9自走砲の性能を最大化する自動化ロボット型弾薬運搬専用装甲車だ。通常、1門から3門のK9に1両のK10という比率で運用する。K10はK9の基本車体に弾薬補給装置などを組み合わせた形態をしており、K9水準の機動性と防護能力を兼ね備えている。
K10は弾薬104発と装薬94発、併せて198発を搭載できる。これは、K9自走砲におよそ2回補給できる量だ。K10の前方に付いている移送機は、K9の後端に付いている弾薬積載台と結合し、毎分12発以上の弾薬補給ができる。これは、兵士が手で運んで補給するのに比べて補給の所要時間を10分の1に短縮する。K10には自動制御システムも搭載され、弾薬の在庫管理や故障の自己探知・診断等も可能だ。
ハンファ・エアロスペースは、K9の開発が完了した1998年(当時はサムスン・テックウィン)からK10の開発に着手した。国の主導で作られたK9とは違い、K10はメーカー主導の開発事業として進められた異例のケースだ。
K10の開発当時、参考にできる技術は世界的に十分ではなかったことから、ハンファ・エアロスペースは大学と産学共同研究を進め、基礎資料を得て概念研究を行った。また、海外の展示会に通って収集したパンフレットを基に設計を試み、一日数十回の会議を開いて図面を修正したという。こうした努力を通して作られたK10は、2000年代末に韓国陸軍の配備決定を獲得、05年8月に最終開発に成功した。
K10のような弾薬運搬車は米国も開発に成功したが、事業化には失敗した。高価な材料とパーツを用いたことでコストが過度に高くなり、重量まで増加して、事業性が落ちると判断したからだ。
ハンファ・エアロスペースは22年9月に米国アリゾナ州のユマ射撃場で、米陸軍の自走砲事業関係者を招いてK9とK10の運用デモンストレーションを披露した。当時、米陸軍戦闘能力開発コマンド(DEVCOM)のエドモンド・マイルズ・ブラウン司令官(陸軍少将)は、自ら装備によじ登って隅々まで見て回り、「数十年前に米国の大砲をもらって使っていた国が、逆に米国に先端装備を持ってきてこんなイベントをするというのは感激」と語った-と伝えられている。
チョン・ジェファン記者
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
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