▲グラフィック=朝鮮デザインラボ クォン・ヘイン
中国の検閲当局は年の瀬にある作業に追われています。民間の経済専門家が「実体経済は政府統計よりはるかに悪い」と発言し、それがインターネットメディアやソーシャルメディアで急速に拡散すると、関連記事や映像を削除していると言うのです。
中国は12月11日から2日間、習近平主席の主宰で来年の成長率目標や経済政策の方向性を決める中央経済工作会議を開きました。それを前に中国経済に対する悲観論が拡散するのを防ぐ..
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▲グラフィック=朝鮮デザインラボ クォン・ヘイン
中国の検閲当局は年の瀬にある作業に追われています。民間の経済専門家が「実体経済は政府統計よりはるかに悪い」と発言し、それがインターネットメディアやソーシャルメディアで急速に拡散すると、関連記事や映像を削除していると言うのです。
中国は12月11日から2日間、習近平主席の主宰で来年の成長率目標や経済政策の方向性を決める中央経済工作会議を開きました。それを前に中国経済に対する悲観論が拡散するのを防ぐ狙いがあったとみられます。
海外のソーシャルメディアに掲載された講演原稿によれば、中国政府が緊張してもおかしくない内容でした。国有金融機関である国投証券のチーフエコノミスト高善文氏は「この3年間で中国経済成長率が毎年3ポイント、計10ポイントが過大評価された」と述べました。2023年に中国政府が発表した経済成長率は5.2%だったのですが、実際は2.2%程度だったという指摘です。
東北証券のチーフエコノミスト、付鵬氏も「この2年間で配車アプリのドライバーが2000万人増えた。中産階級の没落が本格化している」と述べました。
■「成長率統計、消費・投資の推移と食い違い」
高氏は12月3日、広東省深圳市で開かれた2025年の投資戦略説明会で講演し、今年の中国の経済状況を分析しました。
高氏は中国経済の現状を「活気あふれる老年層、意気消沈した若い世代、希望を失った中年層」と要約しました。老年層が予測可能な老齢年金に期待して安定的な消費生活を送る一方、働き口がなく未来の収入増に対する希望も失った青年層は衣食にかける費用を節約しながら何とか持ちこたえているというのです。中国31省・直轄市の統計によれば、若年層の割合が高い地域ほど消費の伸びが低下しているといいます。
高氏は2020年に不動産バブル崩壊が始まって以降、中国政府が発表した3年間の成長率統計に対しても疑問を提起しました。都市就職人口の推移、投資の伸び、物価指数の変化などとつじつまが合わないというのです。2020年にコロナ禍が始まる前までは、中国は消費と投資の伸びが経済成長率と同じ傾向を示していたそうです。しかし、この3年間は政府が発表する成長率が消費や投資の伸びよりはるかに高いといいます。
高氏はそうした分析を根拠に挙げ、過去3年間、毎年成長率が3ポイントずつ過大評価され、合計すると10ポイントに達すると指摘しました。政府発表数値から毎年3ポイントを差し引けば、消費・投資の伸びと推移が似ているといいます。
■失業人口推定4700万人
就業者数についても同様の分析を示しました。中国の都市部の就業人口は、コロナ流行が始まってから急激に減少し、ゼロコロナ政策が終了した2023年に回復を始めましたが、まだ長期的な増加傾向と一致するほどには増えてはいないということです。それをもとに試算すると、4700万人の失業者がいるというのが高氏の分析でした。これは2023年末現在の中国都市部の就業人口(4億7000万人)の10%に当たる数値です。
高氏は中国国内で屈指のマクロ経済専門家で、国務院発展研究センター金融研究所で勤務した経歴もある人物です。李克強前首相が在任中に開いた専門家座談会にもよく出席していました。
■「日本のように失われた35年が到来する」
付氏は昨年11月24日、HSBCプライベートバンクの主催で上海で開かれた講演での発言が問題になりました。付氏は「中国経済は高齢化などにより、コロナ以前の2019年から既に構造的な需要低迷周期に入った。内需低迷を解決できなければ、中国も日本のように『失われた35年』に直面する恐れがある」と述べたのです。
付氏は「地方の現場に調査に出向くと、過去2年間で配車アプリのドライバーが突然2000万人も増えていたが、彼らはどこから来たのか。答えは中産階級の没落だ」と指摘しました。不動産バブル崩壊、大量失業、給与低下などで没落した中産階級が生計を維持するために配車アプリのドライバーに殺到しているとの分析でした。
付氏は中国政府の景気刺激策についても否定的です。2008年の世界的な金融危機当時は4兆元の大規模な景気浮揚策が需要を創出して効果を上げましたが、今の借金でインフラを建設する方式ではこれ以上消費を引き上げることはできないと語りました。成長期が終わろうとしている中、分配に焦点を合わせるべきだとも提言しました。
■習主席の「貧困層解消」主張も批判
12月7日には中国の経済紙、経済観察報が「中国の低所得層が約9億人に達する」と報じました。
労働経済専門家である李実・浙江大共有発展研究院長は同紙のインタビューに対し、「中産階級の所得水準に達していない低所得層は全体人口の65%で約9億人と推定される」と述べました。
中泰証券のチーフエコノミスト、李迅雷氏も昨年末、「2021年時点で月収2000元(約4万2800円)以下の人口が9億6400万人に上る」と経済誌に投稿し、削除騒動に発展しました。習近平主席は貧困層解消を自身の功績の一つに挙げていますが、専門家がそれを真っ向から批判し始めたのです。
崔有植(チェ・ユシク)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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