▲グラフィック=ペク・ヒョンソン
ウォンの対ドル為替レートが15年ぶりに1ドル=1450ウォン台を付け、想定外に急騰したウォン安が長期化の兆しを見せている。そのため、韓国は中小企業だけでなく、大企業も為替対策の準備に乗り出すなど「超緊張モード」に突入した。
今年初め時点で1300ウォン台だったウォン相場は米国の利下げ期待からウォン安傾向が一時的に鈍ったが、トランプ氏が米大統領選で勝利して以降は再びウォン安が進んだ。非常戒厳宣言と..
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▲グラフィック=ペク・ヒョンソン
ウォンの対ドル為替レートが15年ぶりに1ドル=1450ウォン台を付け、想定外に急騰したウォン安が長期化の兆しを見せている。そのため、韓国は中小企業だけでなく、大企業も為替対策の準備に乗り出すなど「超緊張モード」に突入した。
今年初め時点で1300ウォン台だったウォン相場は米国の利下げ期待からウォン安傾向が一時的に鈍ったが、トランプ氏が米大統領選で勝利して以降は再びウォン安が進んだ。非常戒厳宣言と大統領弾劾訴追など不安な韓国政局と米国の金融政策転換が重なり、12月19日には1451ウォンを割り込んだ。
貿易への依存度の高い韓国経済は、とりわけ為替相場に敏感だ。為替相場がウォン安に振れると、輸出大企業は収益が増え業績改善につながるが、最近韓国の大企業の多くは米国に生産拠点を移しており、為替レートが変動するほど大きな影響を受ける。巨額の先行投資を行ったため、ウォン安が進めば債務負担も増え、営業利益が減少する企業が多い。
当面韓国企業は生き残りの岐路に立たされている。今年初め時点にはウォン相場を1300ウォン台と想定して経営計画を立てていたが、急に1450ウォンまでウォン安が進むと、原材料価格だけで10%余計に払わなければならなくなった。さらにウォン相場が来年には1500ウォンまで下落するとの見方も示され、一部からは「このままでは大企業も持たない」という懸念の声が出始めている。
韓国で製造業界の中小企業による営業利益率は通常4~5%で、ウォン相場がここまで下落すると為替差損が増え、一部の小規模企業は営業利益が最大20%減少するところも出そうだ。産業研究院はウォン安が10%進めば、大企業の営業利益率は0.29ポイント低下するとの見方を示した。事前にこれほど急激にウォン安ドル高が進むと予想するのは容易ではなく、準備できなかった上、ウォン安で増収効果も消えるためだ。
予想外のウォン安を受け、大手企業と中堅企業は相次いで事業計画を見直している。石油化学、鉄鋼、航空など一部の企業は、リストラのスケジュールを繰り上げることなどを検討しているという。
■ウォン安、中小企業にまず打撃
京畿道義王市でステンレス部品を販売するH社は最近、ニッケルの国際相場がやや低下したにもかかわらず、急激なウォン安で利益を上げられずにいる。H社の経営者は「ウォン安がとんでもなく進み、昨年のニッケル価格急騰局面よりも原材料費用がかさんでいる。営業利益も30%以上減ったが、周辺で営業利益が半減したと泣いている企業もあり、どこにも文句は言えない」と話した。別の中小企業社長は「いくら政治が混乱しても、経済は回復させなければならない。このままでは中小企業は連鎖倒産が懸念される状況だ」と話した。
実際に韓国の中小企業でウォン安に為替差益を得ているケースは全体の10%程度にすぎない。残りの90%は原材料を輸入し、加工した製品を韓国国内の大企業に納入したり、国内に出荷したりしているが、そうした企業ほどウォン安が進めば原材料コストが増大し、大幅な減益で揺らぐことになる。
中小企業中央会が12月18日、韓国の輸出中小企業513社を対象に実施した緊急アンケートでも、3割が「最近国内外の情勢で売り上げが被害を受けている」と答えた。「ウォン高による困難に直面している」との回答は22%だった。
中小ベンチャー企業研究院が9月に発表した「中小企業為替リスク分析研究」によると、韓国の中小企業の相当数はウォン相場が1%下落するごとに約0.36%の損失となることが分かった。
中小企業の相当数は原材料を購入する際、半年または3カ月後に決済代金を銀行にウォンで返済するユーザンス取引を活用しており、被害はさらに拡大しかねない。中小企業中央会のチュ・ムンガプ経済政策本部長は「中小企業にとってはウォン安で原材料を購入した時点よりも負担がさらに増えることになる」と説明した。
中小企業の多くが為替ヘッジすら考えられずにいるという現実も、為替被害を広げている。為替ヘッジを行う自主管理する能力もなく、そのための専門人材を確保できずにいるためだ。最近中小企業中央会が会員企業304社を対象に実施した調査によれば、半数近い49.3%が為替リスクを全く管理できておらず、最大の理由は「管理人材不足」という結果が出た。
■大企業も緊張
短期間で急激にウォン安が進み、緊張しているのは大企業も同様だ。かなりの大企業は為替変動保険に入るなど為替ヘッジで積極的に損失を補てんしようとしているが、為替変動が予想外に拡大すれば、それでも安全圏を外れてしまうため、敏感に状況を注視している。
韓国経済人協会が12月22日、売上高上位1000社を対象に実施した「2025年輸出見通し調査」でも、回答企業は来年の輸出伸び率が前年比で1.4%にとどまると予想していることが分かった。輸出減少の主因としては、「ウォン安による原材料・原油価格の上昇で価格競争力が低下する」(11.1%)が挙げられた。
業種の特性上、外貨建て債務が多い企業は特に心配だ。LGエナジーソリューションは第3四半期(7~9月)決算でのドル建て債務が6兆8283億ウォン(約7400億円)に達することを明らかにした。当時同社は「ウォン安が10%進めば、税引き前利益が2388億ウォン減少する可能性がある」と開示した。
鉄鋼、石油化学業界などは、ただでさえ世界市場で中国の安値攻勢に苦しむ中、ウォン安で大きな負担を強いられている。原材料の輸入割合があまりに高いためだ。
宋恵真(ソン・ヘジン)記者、鄭漢国(チョン・ハングク)記者、キム・ヒレ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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