▲イラスト=UTOIMAGE
年末年始を控えて中国でさまざまな公演が開催される中、K-POPコンサートも人気を集めている。ただし、韓国のアーティストが出演して歌うのではなく、中国のアーティストたちが韓国の歌を無断で利用する形の公演だ。「限韓令(韓流禁止令)」の影響で韓国のアーティストによる中国本土での公演が禁止されているため、K-POPの著作権が十分に保護されていないだけでなく、これに伴う収益も中国が懐に入れている状況だ。た..
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年末年始を控えて中国でさまざまな公演が開催される中、K-POPコンサートも人気を集めている。ただし、韓国のアーティストが出演して歌うのではなく、中国のアーティストたちが韓国の歌を無断で利用する形の公演だ。「限韓令(韓流禁止令)」の影響で韓国のアーティストによる中国本土での公演が禁止されているため、K-POPの著作権が十分に保護されていないだけでなく、これに伴う収益も中国が懐に入れている状況だ。ただし、限韓令が解除された後に中国市場に進出するためにはK-POPの人気が続いている必要があるため、違法だからといって根絶するのが正解とは言えないとの意見も聞かれる。
中国最大の公演チケット販売サイト「大麦」によると、来年1月8日には北京市朝陽区の朝陽劇場で「K-POPライブ巡回コンサート」が開催される。今月初めに天津でスタートし、山西省西安を経て北京でファイナルを迎える公演だ。韓国の有名アイドルNewJeans(ニュージーンズ)、aespa(エスパ)、BLACKPINK(ブラックピンク)、EXO(エクソ)などの曲に合わせて一緒に踊りながら歌うという公演だが、韓国アイドルのかわりに中国人のグループが歌と演奏を担当する。チケットは42-580元(約890-12200円)で販売されている。
K-POPをテーマにした公演は中国本土で頻繁に開催されている。今月だけで北京はもちろん山東省済南、山西省太原、天津などでK-POPの公演が予定されている。やはり中国人アーティストが歌うか、曲だけ流す形だ。これらの公演は観客が曲の振り付けを熟知しているため、公演中に一緒に踊れるようあらかじめセットリスト(曲順一覧)を提供している。観客も多数入っており、人気の高さがうかがえる。今月8日に天津で開催されたK-POPコンサートに行ってきたというある中国人は「微博(ウェイボー、中国版X〈ツイッター〉)に「ボーカルは歌が上手だったしダンスもうまくて独自のスタイルを見せてくれた。全員で一緒に踊ったのですごく盛り上がったし、自然と歓声が出た」と書き込んだ。
このように、中国では盛んにK-POP公演が開催されているが、実際にその曲を歌った韓国のアーティストたちはステージに立つことができない。中国は2016年、韓国の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に対する不満の表明として、17年に「限韓令」を出した。これにより、韓国のアーティストによる中国国内での公演や映画、ドラマなど韓国コンテンツの中国国内での流通が全て禁止された。本土ではなく香港やマカオ、台湾などでは可能だが、これも限韓令の影響で大幅に減少している状態だ。中国の公演企画会社が主催するK-POPコンサートは、中国の文化当局がK-POP消費を完全に取り締まることが難しい上に、公演に出演するのが韓国人ではないため可能となっているとみられる。
問題は、中国人によるK-POP消費から得られる利益を韓国がまったく享受できていないという点だ。本来ならば、中国でK-POPの楽曲が流れるたびに、作詞家や作曲家などに著作権料が支払われなければならない。しかし、コンテンツの正式な輸入が遮断されているため、中国側は無断でK-POPを利用するばかりか、それに伴う収益まで手にしている。韓国国内のエンターテインメント会社もこのような問題を認識しているが、法的対応が容易ではなく、事実上手をこまねいている状況だという。
中国で活動している韓国のエンターテインメント関係者は「違法ではあるが、『まさか見つからないだろう』と考えて、著作権料を払わずにK-POPを流しているようだ」とした上で「最近開催されたK-POPダンス競演大会では、中国の主催側が韓国の大手エンターテインメント会社のロゴを無断で使用し、ブースまで設置して展示したため、著作権侵害だとして抗議を受けたと聞いている」と話した。また、別の文化界関係者は「中国側は単に公演を行うだけでなく、違法にダウンロードした韓国の映像コンテンツをステージの背景で流したり、グッズを制作して販売したりもしている」と指摘した。
ただし、これらの行為が違法だとしても、中国人によるK-POP消費を完全に遮断することには慎重であるべきだとの意見もある。現時点では限韓令が出されたままであるため韓国の芸能人が中国国内で公演を開催することは不可能だが、今後状況が正常化した場合に備え、K-POPに対する一定の需要を維持しておく必要があるという側面からだ。中国在住の文化界関係者は「違法だからといってK-POPの消費を全面的に遮断するのではなく、ある程度自由を許し、ファン層を維持する必要がある」とした上で「著作権収益という観点だけで問題にアプローチすることが必ずしも正解とは限らないだろう」と指摘した。
一方、文化界では来年以降に限韓令が徐々に緩和されるのではないかという期待が広がっている。先月、中国の孫業礼・文化観光部部長(大臣)が韓国の柳仁村(ユ・インチョン)文化体育観光部(省に相当)長官と会談し「コンテンツなどの分野で韓国の成功事例を学びたい」と述べたため、限韓令解除への期待感が広まった。その後は韓国の非常戒厳などの影響で議論が一時中断している状態だが、来年11月に慶州で開催されるアジア・太平洋経済協力(APEC)首脳会議を契機に習近平中国国家主席が来韓する際、韓国が最も望んでいる「限韓令解除」というプレゼントを持参するのではないかという見方もある。文化界関係者は「中国は自国の若者層に与える影響を最小限に抑える形で、大衆文化を段階的に開放していくとみられる」と話した。
北京=イ・ユンジョン特派員
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
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