▲グラフィック=ペク・ヒョンソン
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が今月3日に宣布した非常戒厳に伴い、戒厳軍には韓国軍の指揮官らが参加することになった。こうして戒厳軍に参加した主な指揮官らが10日、韓国国会の国防委員会に出席して「上層部の指示を受けただけ」という趣旨の答弁を行った。指揮官らは、尹大統領の戒厳宣布が違憲的だということに共感するという趣旨の発言も行った。検察・警察などの内乱捜査につながった今回の事態が韓国国民に放った..
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▲グラフィック=ペク・ヒョンソン
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が今月3日に宣布した非常戒厳に伴い、戒厳軍には韓国軍の指揮官らが参加することになった。こうして戒厳軍に参加した主な指揮官らが10日、韓国国会の国防委員会に出席して「上層部の指示を受けただけ」という趣旨の答弁を行った。指揮官らは、尹大統領の戒厳宣布が違憲的だということに共感するという趣旨の発言も行った。検察・警察などの内乱捜査につながった今回の事態が韓国国民に放った衝撃はすさまじく、主な戒厳軍参加者らは、捜査が進んでいる状況でも公に告白に乗り出した-という声が上がった。しかも、一部の将官クラスを含む戒厳軍指揮官は、先を争ってユーチューブの配信やメディアのインタビューに登場し、自分の立場を表明している。戒厳軍将校団のこうした行動を巡り、韓国軍内外では「政治に巻き込まれた過去のトラウマのせい」という声が聞かれた。
韓国軍が抱える政治トラウマに関して、軍内外では、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の国軍機務司令部(現在の防諜〈ぼうちょう〉司令部)解体の影響を挙げる人が多い。文在寅政権は、「セウォル号」遺族の動静監視や戒厳準備文書の作成などを口実として機務司を解体し、この過程で関係者およそ200人を取り調べた。その多くは裁判所で無罪判決を受けたが、数年にわたって捜査と裁判に縛られ、苦しめられた。機務司縮小の過程で、各軍で原隊復帰となった人の一部は自ら命を絶った。軍統帥権者と上官の命令には絶対的に従わなければならない軍人だが、政治権力の浮沈に伴って高級将校団が政治的判断を強要される環境に陥った、という指摘がなされている。
高位の韓国軍関係者は「多数の軍幹部には、機務司解体のトラウマがかなりある」とし「そのせいで、大統領や長官の命令であっても、違法性についての認識故に命令の履行に各所で抵抗の動きがキャッチされた」と語った。また、別の高位の関係者は「軍が平素準備した通りに、電光石火のごとく命令のみを履行していたら、戒厳が本当に成功していたこともあり得る」としつつ「だが逆説的に、軍人らが過去の経験に照らして適法な命令かどうか確信が持てないと命令の履行で手抜きをするようになったことが、むしろ非常戒厳の解除を可能にしたという側面がある」と語った。
12・3非常戒厳発動当時、指揮ラインにいた軍当局者らの証言を総合すると、今回の戒厳はこのようなトラウマ性の抵抗故に失敗したという側面が大きい-という分析が出ている。戒厳当時、韓国国会に投入された陸軍特殊戦司令部隷下707特殊任務団のキム・ヒョンテ団長(陸軍大領=大佐に相当)は、記者会見で「10時にヘリのパイロットに退勤の指示を出し、ヘリが遅くなった」「それで、(隊員らは)11時前に集結したが、一番早いヘリは11時20分過ぎにやって来た」と語った。さらに「人員がみんな集まった状態でTMAP(地図アプリ)を動かして、国会がどういうふうになっているのか構造を確認した」「TMAPをキャプチャーしてタッチペンで建物を表示した」「部隊員ごとに無線機はあったが、もみ合いをする状況でおよそ100人に全部伝わるかどうかは疑問だった」「(国会の正門を破るため)窓の所で集合と言ったが、集まったのはおよそ30人で、残りの50-60人はうまく交信できなかった」とも説明した。部隊員らを対象にした緻密な準備もなく、戒厳に対する共感も低く、命令システムの一糸乱れぬ作動は実現できなかった-という意味だ。
問題は、このような政治的命令と指示が繰り返される中で、韓国軍は実際の安保危機においてきちんと作戦を遂行できないかもしれない、という懸念が強まったことだ。韓国軍関係者は「予想外の戒厳宣布があり、命令があったからこれを履行しようとしたが、出退勤問題のせいで履行が遅くなった…というのは目まいがするような話」と語った。キム・ヒョンテ707団長もまた「部隊員を死地に追いやり、戦闘でこんな無能な命令を下したら、全員死亡しただろう」と語った。
戒厳関連の指揮官クラスの人物による、いわゆる「良心告白」が、保身のためだという誤解を受けかねないという指摘も出ている。軍人らが公式な席を通してではなく、ユーチューブの配信や記者会見で自分の立場を公にするのは、原則的には軍人服務基本法違反になることもあり得る。郭種根(クァク・ジョングン)前特殊戦司令官やキム・ヒョンテ707特任団長は、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の勧誘を受けて公益通報の手続きを取ったという。
梁昇植(ヤン・スンシク)記者、ヤン・ジホ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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