▲裁判所を出る際に記者団から質問を受けるコーロングループの李雄烈(イ・ウンヨル)名誉会長。李会長は関節炎治療薬「インボサケイジュ」の認可を受ける際に虚偽の資料を提出した容疑で裁判を受けた。29日撮影。/news1
退行性関節炎の遺伝子治療薬「インボサケイジュ(インボサ)」の成分を偽って政府の認可を受けたとして起訴されたコーロングループの李雄烈(イ・ウンヨル)名誉会長に対し、一審で無罪が宣告された。最初に起訴されてから今回の判決までなんと4年4カ月もの時間がかかった。インボサはコーロンが2017年に世界で初めて関節炎の遺伝子治療薬として販売した製品だ。ところが2019年に米食品医薬局(FDA)が臨床試験を行..
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▲裁判所を出る際に記者団から質問を受けるコーロングループの李雄烈(イ・ウンヨル)名誉会長。李会長は関節炎治療薬「インボサケイジュ」の認可を受ける際に虚偽の資料を提出した容疑で裁判を受けた。29日撮影。/news1
退行性関節炎の遺伝子治療薬「インボサケイジュ(インボサ)」の成分を偽って政府の認可を受けたとして起訴されたコーロングループの李雄烈(イ・ウンヨル)名誉会長に対し、一審で無罪が宣告された。最初に起訴されてから今回の判決までなんと4年4カ月もの時間がかかった。インボサはコーロンが2017年に世界で初めて関節炎の遺伝子治療薬として販売した製品だ。ところが2019年に米食品医薬局(FDA)が臨床試験を行ったところ、その主成分は当初韓国の食品医薬品安全処に報告されていた「軟骨細胞」ではなく、腫瘍を誘発する可能性が指摘されている「腎臓由来細胞」だったことが分かり問題となった。その後食品医薬品安全処はインボサの韓国国内での認可を取り消し、検察は李雄烈会長を在宅起訴した。当時韓国では「第二の黄禹錫(ファン・ウソク)事件」とまで言われた。しかし裁判所は全て無罪と判断したのだ。
無罪とされた理由は何よりも意図的ではなかったという点だ。インボサが食品医薬品安全処から販売許可を受けたのは2017年だが、コーロンが問題を把握したのは米FDAに最終検査結果を報告した2019年3月以降と考えられる。裁判長は「開発過程でのミス」というコーロン側の主張を受け入れたのだ。
裁判長は捜査と裁判による問題点にも言及した。食品医薬品安全処の認可取り消しでインボサの韓国での製造販売は5年にわたり中断した。これとは対照的に米国ではインボサの主成分が問題となった際に直ちに安全性を確認する検査を行い、1年後には最終段階となる第3相臨床試験の再開を決めた。第3相臨床試験は販売許可を出す前の最終段階だ。裁判長は「米FDAは科学的な観点からじっくりと検討し、安全性の問題が解消されたと判断して臨床試験を承認したが、これに対して韓国では認可が取り消された後に数年にわたり刑事裁判が行われた」と指摘した。その上で裁判長は「(無罪判決が確定すれば)数年にわたり多くの人員が投入されたこの訴訟の意味、あるいは科学分野に対する司法による統制についても深く考えねばならない」との考えも示した。
バイオ産業は安全性を無視することはできない。しかし新薬の開発から商用化には10年以上は掛かり、巨額の研究開発費も必要になる。問題があるなら科学的に対応すべきだが、韓国では最初に捜査から行う。こんな状況で科学が発展し、新しい産業が起こるだろうか。裁判長の指摘に共感した関係者は多いはずだ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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