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米国の第47代大統領に当選したドナルド・トランプ氏が来年1月に発足する内閣とホワイトハウスに自分に対する忠誠心の高い人物を大挙抜てきしていることを全世界が警戒している。次期政権の国務・国防長官をはじめとする主要人物がトランプ氏の指示を積極的に実行する役割にとどまるとの観測が高まっている。結局各国首脳がトランプ次期大統領とどうやって友好的な関係を築くかによって、国益が左右される時代へと巻き込まれて..
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米国の第47代大統領に当選したドナルド・トランプ氏が来年1月に発足する内閣とホワイトハウスに自分に対する忠誠心の高い人物を大挙抜てきしていることを全世界が警戒している。次期政権の国務・国防長官をはじめとする主要人物がトランプ氏の指示を積極的に実行する役割にとどまるとの観測が高まっている。結局各国首脳がトランプ次期大統領とどうやって友好的な関係を築くかによって、国益が左右される時代へと巻き込まれているのだ。
とりわけ日本の警告音は大きい。トランプ政権1期目の当時、安倍晋三元首相はトランプ氏と「ブロマンス(ブラザーとロマンスの造語で、男性同士の独特の友情を指す)」の関係を結び、日米同盟を格上げしたのに対し、今の石破茂首相はトランプ氏の優先順位で後回しにされているからだ。トランプ氏が大統領選挙の勝利直後、各国首脳と通話した際、石破首相の順番は韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の後だった。通話時間も尹大統領が12分だったが、石破首相は5分だった。石破首相は南米で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する機会に米国に立ち寄り、トランプ氏と会おうとしたが、それも実現しなかった。
このような現状から安倍元首相の「トランプ攻略法」が再び注目を集めている。トランプ氏は1期目の大統領選遊説当時、ツイッターに日本の真珠湾攻撃で数千人の米国人が命を失ったことを強調する投稿を行い、韓国だけでなく、日本の米軍駐留費分担問題を集中的に取り上げるなど、日本にはそれほど友好的ではなかった。安倍氏とトランプ氏は、2016年11月にトランプ氏が第45代米大統領に当選するまで面識もなかった。
しかし、トランプ勝利が確定した直後、安倍氏はトランプ氏と電話会談し、9日後の11月17日、ニューヨークのトランプタワーを訪れた。日本の首相が次期米大統領を就任前に訪ねたのは非常に異例だった。安倍氏はトランプが全世界に数十個のゴルフ場を所有する「ゴルフマニア」であることに注目し、本間ゴルフの最高級ゴルフクラブをプレゼントした。当時日本の外務省は、任期が2カ月残ったオバマ政権から「報復」を受ける可能性があると言ったが、安倍氏は気に留めなかった。トランプ氏は自分が欲しがっていたプレゼントを差し出し、「一緒にゴルフをしたい」と言った安倍氏に好感を抱き始めた。
トランプ氏は就任直後の2017年2月、安倍氏をワシントンに招待。首脳会談後に大統領専用機「エアフォースワン」に同乗させ、自分の別荘があるフロリダ州パームビーチに招待した。翌日両氏は朝食後、一緒にゴルフを楽しんだ。18ホールに続き、午後に予定になかった9ホールを追加した。夕食も共にした。2度目の出会いで、1日3回の食事を共にし、27ホールのゴルフをしながら意気投合した。1980年代のレーガン元大統領と中曽根康弘元首相による「ロンヤス関係」の再現だという観測も出た。
安倍氏は2019年5月、天皇の生前退位に伴う現天皇の即位で令和の時代が始まることをトランプ氏との関係をさらに強化する上で活用した。
とても自慢好きのトランプ氏に最高の「おもてなし」を提供することにしたのだ。トランプ氏は2019年5月26日に国賓として訪日。千葉県のゴルフ場にヘリを着陸させた後、安倍氏とゴルフをした。続いて二人は令和になって初めて行われた大相撲で再会した。トランプ氏は現職の米大統領として初めて大相撲夏場所の千秋楽を東京の両国国技館の特別席で観覧した。続いて土俵に上がり、優勝力士を「大相撲グランドチャンピオン」と呼び、米国で特別に製作してきた「日米友好のためのトランプ杯」を授与した。
安倍氏は客の前でシェフが直接焼いてくれる有名な和食レストランで夕食をもてなした。トランプ氏の好みに合わせ、米国産牛肉を入れた特製ハンバーガーを作って出したこともあった。
安倍氏の細やかな準備に感動したトランプ氏は、天皇主催の晩餐会で両国関係を一層格上げし、「日米関係は宝のような同盟だ」と最高の賛辞を送った。翌日日本を発つ前に神奈川県横須賀市の海上自衛隊基地を訪れ、いずも型護衛艦「かが」に乗船したことで、日米同盟が絶頂に達したことを示した。
安倍氏はトランプ氏に儀礼面だけでアプローチしたわけではない。安倍氏はトランプ氏が中国けん制に乗り出すことを重視し、自分がかなり以前から考案していた「インド太平洋戦略」を提案した。安倍首相は2006年、著書「美しい国へ」で米国、日本、オーストラリア、インドを結ぶ同戦略の構想を発表している。その影響もあり、トランプ政権は2017年10月から「アジア太平洋」を「インド太平洋」と呼び始めた。続いて米ハワイ州の太平洋軍司令部も2018年5月、インド太平洋軍司令部に名称が変更された。
安倍氏はトランプ氏が1期目に3回、北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)氏と首脳会談をする際にも、水面下で北朝鮮関連情報を提供してアドバイスした。安倍氏がトランプ氏の耳目をつかんだ結果、トランプ氏は事あるたびに「日本人拉致被害者」問題に貢献すると約束した。トランプ氏と親しい関係を構築した安倍氏は2019年2月、ハノイでの米朝首脳会談が決裂する可能性を事前に把握していた。
安倍氏はトランプ氏と2020年4月まで首脳会談14回、電話会談35回を行い、トランプ氏の就任後毎月少なくとも1回以上電話会談を行うという記録を打ち立てた。韓国国防外交協会会長で日本通のクォン・テファン氏は「安倍氏がトランプ1期目に前例のない緊密な米日関係を構築し、国益を増進した事例を参考にする必要がある」と話した。
李河遠(イ・ハウォン)外交安保エディター
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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