▲グラフィック=李撤元(イ・チョルウォン)・Midjourney
韓国警察が、韓国各地の警察関連施設でハッキングの脅威に対して脆弱(ぜいじゃく)な中国製監視カメラ667台を交換することとした。こうした中、公共・民間を問わず「雨後のたけのこ」のように設置される中国製監視カメラの管理が不十分だという懸念が韓国で広がっている。最近3年間で、韓国製に偽装した中国製監視カメラが韓国軍・警察はもちろん韓国各地79の自治体、道路・鉄道・港湾などインフラを管理する公企業、国策..
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▲グラフィック=李撤元(イ・チョルウォン)・Midjourney
韓国警察が、韓国各地の警察関連施設でハッキングの脅威に対して脆弱(ぜいじゃく)な中国製監視カメラ667台を交換することとした。こうした中、公共・民間を問わず「雨後のたけのこ」のように設置される中国製監視カメラの管理が不十分だという懸念が韓国で広がっている。最近3年間で、韓国製に偽装した中国製監視カメラが韓国軍・警察はもちろん韓国各地79の自治体、道路・鉄道・港湾などインフラを管理する公企業、国策研究機関などにおよそ3万台設置されていたことが判明した。米国・英国・オーストラリアなど主要国では政府機関などから中国製カメラを撤去する中、韓国でも監視カメラ管理に対する政府の積極的な対処を求める声が強まっている。
10月11日の朴沖綣(パク・チュングォン)議員=保守系与党「国民の力」所属=のオフィスの資料によると、最近3年間で主要公共機関や学校・病院・オリニチプ(民間保育施設)といった公共施設に、韓国製に偽装した中国製監視カメラ2万9962台が設置されたことが確認された。これは中国・大華社製の特定の機種の監視カメラが設置されたケースを対象にした数値で、他の輸入品の監視カメラや韓国製未認証製品はさらに多い可能性がある。
韓国製に偽装した中国製監視カメラの設置が確認された公共機関の対処も「てんでんばらばら」な状態だった。中央政府で定めたマニュアルがないからだ。本紙の取材の結果、一部の機関は既に韓国製の監視カメラに交換したが、一部は「情報流出の危険はなく、交換計画はない」と表明した。韓国政府は昨年3月から、公共機関に設置する監視カメラは必ず韓国情報通信技術協会(TTA)のセキュリティー認証を受けたものにするようにしているが、専門家らは「認証製品もハッキングを安全に遮断することはできない」と語る。
韓国国内の監視カメラ(2732万台)のうち93.5%(2556万台)を占める民間設置のカメラは、何のセキュリティー検証手続きもなく、ハッキングに対して事実上無防備にさらされているのが実情だ。
業界では、年に少なくとも100万台以上の中国製監視カメラが韓国国内に輸入され、市場全体の40-50%を占めているものとみている。世界各地で中国製監視カメラを通した情報流出の問題が浮上している状況の中、輸入量が年々増えている中国製品に対する管理がきちんと行われていないことが問題として指摘されている。いわゆる「タグ替え」で韓国製を装った監視カメラが主要公共施設に納品されているのだ。
■韓国製を装った監視カメラ、主要公共機関に計3万台
韓国製に偽装した中国製監視カメラは、広範囲にわたって公共機関に設置されていることが判明した。韓国警察庁(590台)と陸・海・空軍など軍部隊(131台)、大法院=最高裁に相当=および裁判所(107台)など中心的な国家機関でも見つかった。また公共住宅(韓国土地住宅公社・4095台)、道路(韓国道路公社・348台)、鉄道(韓国鉄道公社・303台)、空港(仁川国際空港公社・320台)、港湾(港湾公社・358台)など、国の基幹施設を管理する公企業にも数千台が納入され、使用が続いていることが明らかになった。調査では科学技術情報通信部(省に相当。以下同じ)傘下の韓国原子力研究院(202台)、基礎科学研究院(309台)に中国製監視カメラが設置されていることも分かり、技術情報流出の懸念が浮上している。
一部の機関は素早く措置に乗り出した。仁川国際空港公社と韓国原子力研究院は昨年、国家情報院(韓国の情報機関)から中国製監視カメラ設置の事実を通知され、すぐに韓国製監視カメラに交換した。逆に韓国土地住宅公社・韓国地域暖房公社などは「被害の通報を受けていない」「情報流出の可能性はない」として交換せずにいることが分かった。
韓国各地の79の自治体にも1万4495台の中国製監視カメラが設置されていることが発覚し、行政安全部=行安部=は10月中に全数調査を行うこととした。行安部では、中国製品を韓国メーカーのものに偽装した監視カメラがあるかどうかも併せて点検する計画だ。現在、韓国各地の自治体の管制センターには推定でおよそ60万台の監視カメラがあるという。
■「米国・英国から追い出された中国製カメラ、韓国では至る所に設置」
中国製監視カメラを韓国製に偽装する手口が登場した背景を巡っては、公共機関に対して韓国の中小企業だけから監視カメラを調達するよう定めた2007年の制度が影響を及ぼした、という指摘もある。大企業や中堅企業の製品を公共機関に納品することが不可能になり、技術力や資本力の低い零細業者が低価格の中国製を韓国製に偽装する誘惑にはまったのだ。ある業界関係者は「低価格の中国製品は韓国製に比べ6分の1か7分の1という安さで、ハイスペックのものでも中国製のほうが少なくとも20-30%廉価」と語った。
民間市場では、中国製監視カメラが一般化した状況だ。あるセキュリティー企業の代表は「地下鉄の駅や高速道路などで公共機関が管理している製品も、米国・英国といった先進国の市場から追い出された中国製を、商標だけをすり替えて設置したものが相当数」と語った。
イ・サンジン高麗大学デジタル・フォレンジック・センター長は「ハッカーは新たな方法を探し出し続け、監視カメラのセキュリティー上の弱点に食い込んでいくが、TTAの認証は既知の問題に対する対応を点検するやり方で、弱点がある」と語った。
ソ・ユグン記者、ソ・ボボム記者、パク・チンソン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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