▲イラスト=UTOIMAGE
50万キロ・3000万キロ・1億キロ-。
韓国、米国、中国の自動運転の実力を象徴する数値だ。韓国の自動運転業界1位のスタートアップ企業「オートノマスa2z」は、都心での自動運転の累積走行距離が50万キロ。米国ウェイモの自動運転タクシー「ロボタクシー」は3000万キロ。それも人間が乗っていない完全自動走行だ。しかし、この数字も中国の前では全く歯が立たない。中国バイドゥ(百度)の累積走行距離は1億キ..
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▲イラスト=UTOIMAGE
50万キロ・3000万キロ・1億キロ-。
韓国、米国、中国の自動運転の実力を象徴する数値だ。韓国の自動運転業界1位のスタートアップ企業「オートノマスa2z」は、都心での自動運転の累積走行距離が50万キロ。米国ウェイモの自動運転タクシー「ロボタクシー」は3000万キロ。それも人間が乗っていない完全自動走行だ。しかし、この数字も中国の前では全く歯が立たない。中国バイドゥ(百度)の累積走行距離は1億キロを超える。中国にはこのような自動運転関連企業が60社以上あるという。中国の武漢などでは通勤・帰宅時間になると、人間が運転する車に混じって自動運転の車が多数走っている。しかも事故を起こさずスムーズに進んでいるのだ。今年に入り、中国の自動運転の技術力には米国までもが驚いている。自動運転は未来カー(次世代自動車)を巡る競争で究極の勝者になるだろう。しかし自動運転は自動車に限った問題ではない。ロシアとウクライナの戦争は人類の戦争史で初めてドローン(無人機)戦争として記録されそうだが、その後は自動運転による武装ロボットたちの戦争という時代が幕を開けるはずだ。このような先端競争で韓国の成績表はみすぼらしい限りだ。現代自動車と起亜は自動運転による累積走行距離などの情報を公開していない。ただし最近、これらの企業の最高位経営陣からこんな話を聞いた。「米国の自動運転が免許取り立ての1年目だとすると、中国は10年目というレベル。その差は今後さらに急速に開いていくと思われ、そうなった場合に我々は何をすべきか考えると不安になってくる」
2015年からソウルや済州島などで自動運転の車437台が運行を始めたが、安全性などの理由で運行時には必ず人間が乗らなければならなかった。今年に入り、ようやく「運転手のいない」完全自動走行が可能になった。これまでの10年間は自動運転が急成長すべき最も重要な時期だったにもかかわらず、このように各種の規制に阻まれていたのだ。果たしてこれは自動運転だけに当てはまることだろうか。
産業革命、情報革命をしのぐAI革命の時代に突入し始めた今、世界のトップ企業や先進各国は「規制削減」どころか「規制なし」の競争を繰り広げている。ところが韓国は、障害物で埋め尽くされた道路で車を走らせているような状態だ。
最近、ある会合で「韓国では人間の出生率は底を突き抜けるほど下落しているが、一方で天井知らずで急上昇している出生率がある」という話が出た。それはまさに「規制」の出生率だ。かつて「経済の司令塔」を務めたことのあるA氏は「新たな規制を作る場合には別の規制を撤廃するという規制総量制までできたのに、全く役に立たなかった」として「ここには国会議員の立法による規制が含まれていない上に、規制を数える基準もあいまいで、実効性が乏しい」と嘆いた。果たしてそうなのだろうか。詳細を調べてみた。
韓国政府の規制情報ポータルで集計された「行政規制」の数はおよそ1万5000件。しかし、この数値を追跡し続けるのは実際には不可能に近かった。1997年から法に基づいて登録された規制の現況を公開してきたが、2015年に登録の単位を規制事務から規制条文に変更してしまった。同じ尺度でのモニタリングが困難になったのだ。最近AIを使って集計したところ、韓国の規制の数は8万8003件だという分析結果も示された。
国会の立法によって生まれる規制はここには含まれないわけだが、それはどのようなものなのか。前国会(第21代国会)を通過した法案約2900件のうち、規制法案は1973件(69%)、支援法案は890件(31%)だった。
実際に分析してみると、規制に関する法令なのか、支援に関する法令なのかあいまいなものも多数あるという。規制の削減を避けようという手口にも見える。
韓国は「規制ポピュリズム国家」だ。まず過剰なレベルの規制を定めておいて、当事者たちが懇願してきたら「規制を緩めてやる」という方式だ。こんな状態でも未来の競争で生き残れたとしたら、それはまた別の「奇跡」と呼ばれるだろう。
イ・インヨル記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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