▲オックスフォード大学アジア中東学部チョ・ジウン教授/チャン・リョンソン記者
英オックスフォード大学が先日外国語教育機関ランゲージセンターの12番目の外国語として韓国語を採択したことが8月21日までに分かった。ランゲージセンターはオックスフォード大学の学生や教職員、一般人の学問やビジネス外国語能力向上を目指しており、毎年数千人が学んでいる。
同センターで指導される外国語は現在フランス語、ドイツ語、スペイン語など欧州8カ国語と日本語、中国語、アラブ語だが、これに早ければ10..
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▲オックスフォード大学アジア中東学部チョ・ジウン教授/チャン・リョンソン記者
英オックスフォード大学が先日外国語教育機関ランゲージセンターの12番目の外国語として韓国語を採択したことが8月21日までに分かった。ランゲージセンターはオックスフォード大学の学生や教職員、一般人の学問やビジネス外国語能力向上を目指しており、毎年数千人が学んでいる。
同センターで指導される外国語は現在フランス語、ドイツ語、スペイン語など欧州8カ国語と日本語、中国語、アラブ語だが、これに早ければ10月から韓国語も組み込まれることになった。
センターで使用される韓国語教材はオックスフォード大学アジア中東学部のチョ・ジウン教授が制作している。チョ教授は8月20日に本紙のインタビューに応じた際「これまでオックスフォード大学が採択した外国語は学生や教職員の生活と密接に関わる欧州の言語、そして学問やビジネスで必要な国の言語が中心だったが、韓国語は純粋に英国のMZ世代(1980~2010年ごろ生まれ)の間で需要が高いため採択に至った。これは非常に異例だ」と説明した。
オックスフォード大学は今年「韓流アカデミー」を開設した。韓国文化や歴史全般を教える教養講座だ。今年6月にはタレントの車仁杓(チャ・インピョ)氏が書いた慰安婦をテーマにした小説「いつか私たちが同じ星を眺めるならば」が韓国学専攻の必読書に選定され、大学構内の全ての図書館に入った。先月は作曲家の金亨錫(キム・ヒョンソク)氏を招いてオックスフォード大学シェルダニアン劇場で特別講演を行った。17世紀に建設されたこの劇場のステージにアジアの大衆音楽家が招かれたのは初めてのことだった。最近のこれら一連の韓国関連のイベントを全て行ったのがチョ教授だ。
オックスフォード大学は最近なぜ韓国に関する教育に関心を持ち始めたのか? チョ教授は「単純にKポップやKドラマなど韓流ブームが理由という次元を超えた」と語る。
-韓流のためだけではないとはどういう意味か。
「英国のMZ世代にとって韓国語はいわゆる『ファンタジー言語』になった。韓国の学生たちは自分たちが行ったこともないしよく知らないフランス語やスペイン語を中学や高校の第2外国語に選択するが、同じように英国の学生たちにとって韓国語は洗練され、クールと感じる言語だ。『韓国語ファンタジー』が生まれているのだ」
-実際に英国の教育現場で韓国語の人気は高まっているのか。
「わずか数年前まで英国の小中高校で韓国語が教えられるとは想像もできなかった。それが正規科目でもない韓国語を放課後に教える学校が出始めた。教育当局に求められてではなく、学生たちが開講を求めたからだ。韓国語を教える学校は2022年は45校、昨年は68校と毎年急速に増えている」
-英国の教育省も韓国語に関心を持っていると聞いた。
「英国の教育で頭が痛いことの一つが学生たちが外国語を学ばないことだ。英語が使われている上に、人工知能(AI)を使った翻訳ソフトも多いので、あえて外国語を勉強する必要がないからだ。しかし学生たちは韓国語は自分から学ぼうとしている。これは奇妙と言わざるを得ない。そのため今年から教育省の依頼を受け関連する研究も行っている」
英国はフランス語やドイツ語など欧州主要国の言語を公教育の正規科目に採択している。英国の中等教育認定制度(GCSE)でフランス語を選択した学生数は2000年には30万人以上だったが、2021年には13万人にまで減った。ドイツ語は14万人から4万人とさらに一気に減った。外国語を勉強する学生は全体的に減少傾向だ」
-英教育省の依頼で行っている研究とは何か。
「韓国語を学ぶ動機を調べている。韓国語を勉強する130人の英国人にインタビューを行った。エジンバラに住む小学1年生のある児童はKポップのファンでもなく、Kドラマを見たこともないが、それでも漠然と韓国に憧れ、韓国語を学ぼうとしている。韓流を楽しむ英国のMZ世代の雰囲気から影響を受け、『韓国語ファンタジー』を持つようになったと分析している」
-英国の学生たちが韓国語を学ぶ何か他の理由はあるか。
「マンチェスターに住む40代の夫婦は中学生の娘のために勉強しているそうだ。韓流にはまった娘と共通の話題を持つため韓国語の勉強を始めたらしい。ウクライナ戦争の影響で難民として英国にやって来た学生は『帰属意識』を持つため韓国語の勉強を始めたと答えた。SNS(交流サイト)で『Kポップのファン』として活動し、失った帰属意識を取り戻したいということだ」
-オックスフォード大学ランゲージセンターで使用する韓国語教材はどのように執筆しているのか。
「難易度別に7冊からなる『アンニョン、コリアン』という教材だ。『韓国語は今や韓国だけのものではない』という前提で書いている。2021年にKポップをテーマとするツイートが世界で78億回に達した。彼らは韓国の大衆文化を通じて広がった『テバク(やばい)』『モクパン(食べる動画)』などの単語を自分の言語と組み合わせて使いながら楽しんでいる。韓流ファン同士でバーチャル『K世界観』を作れば韓国語は遊びの道具だ。彼らの目線に合わせて教育を行うというものだ」
-彼らの目線に合わせた韓国語教育とはどういう意味か。
「韓国語を単なる『韓国で使うための言葉』として教えるのではないという意味だ。韓国の学生に『ソボクソボク』の意味を質問したらほとんど答えられないだろう。英語の韓国語辞典にも出てこないこのような単語を韓国語を学ぶ外国人はみんな知っている。このように『K世界観』の単語を中心に教育するということだ」
「ソボクソボク」とは防弾少年団(BTS)メンバーのジミンが2020年のクリスマスを前に発表した曲「クリスマス・ラブ」に出てくる歌詞だ。英語で「falling falling」と直訳されたが、ファンたちの間でその正確な意味を推測することが当時一種の遊びのように広がった。
-一部では韓流熱風が冷め始めているとの見方もあるが。
「韓流が冷めても韓国語は残ると考えている。1970-80年代に世界的に日本の漫画がブームになった時、日本語を学ぶ外国人が非常に増えた。その後日本の漫画ブームは落ち着いたが、彼らが日本文化を自分の言葉に訳したその遺産は残っていて、これが今も再生産されている。韓流が冷めても今韓国語を学んでいるMZ世代が積み上げた遺産は残るだろう。彼らが社会の中心になる頃には第2の韓流熱風が起こるかもしれない。
ピョ・テジュン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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