▲イラスト=UTOIMAGE
朴槿恵(パク・クンヘ)政権時代の2016年9月、黄海南道青丹郡の保衛部で上尉(大尉)の階級にあったイ・チョルウンさん(当時29歳)は、海を泳いで20時間近い死闘の末に韓国の地へとたどり着いた。イさんはその後、メディアのインタビューで「統一を強調する朴槿恵大統領の8・15慶祝の辞を知った後、脱北すると心に決めた」と語った。当時、朴大統領は慶祝の辞で「北朝鮮当局の幹部と全ての北朝鮮住民の皆さん」とい..
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朴槿恵(パク・クンヘ)政権時代の2016年9月、黄海南道青丹郡の保衛部で上尉(大尉)の階級にあったイ・チョルウンさん(当時29歳)は、海を泳いで20時間近い死闘の末に韓国の地へとたどり着いた。イさんはその後、メディアのインタビューで「統一を強調する朴槿恵大統領の8・15慶祝の辞を知った後、脱北すると心に決めた」と語った。当時、朴大統領は慶祝の辞で「北朝鮮当局の幹部と全ての北朝鮮住民の皆さん」という呼称を用い「統一は、皆さん全てがいかなる差別も不利益もなく同等の待遇を受けて、各自の力量を思うがまま発揮しつつ幸福を追求できる新たな機会を提供する」と語った。
北朝鮮のエリートが海外勤務などをする中で韓国大統領の統一関連メッセージに接する機会は多く、これがエリート層の動揺にかなり作用している、と専門家らは語る。韓国政府の当局者は「韓国国内では、大統領の統一メッセージはその場限りで揮発してしまうケースが多いが、抑圧環境に置かれている北のエリート層にとっては、はるかに大きな意味を持って迫る」と語った。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が主な機会のあるたびに北朝鮮住民に向けてメッセージを発するのも、これが理由だ。尹大統領は今年の三・一節記念の辞で「われわれの統一の努力が北朝鮮住民にとって希望になり、ともしびにならねばならない」とし「政府は北朝鮮住民に向けた助けの手を引くことはないだろう」と述べた。今年初めて「北朝鮮離脱住民の日」を制定した事実も強調した。その後、7月14日の「北朝鮮離脱住民の日」の行事では「大韓民国を訪れる北朝鮮同胞を、どんなことがあろうとも、ただの一人も送り返しはしない」「わが政権は自由へと向かう皆さんの歩みがむなしくならないようにするつもり」と語った。
8・15光復節の慶祝の辞では「3大統一ビジョン」と「3大統一戦略」「7大統一推進案」から成る「8・15統一ドクトリン」を発表した。韓国政府高官は「少し前に、米国で活動している北朝鮮人権団体の人々を通して、北朝鮮住民の間で大統領の三・一節記念の辞と7月14日北朝鮮離脱住民の日の行事における演説がわりと広まっている、という話を聞いた」と語った。
キム・ミンソ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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