▲イラスト=UTOIMAGE
英国全域で8日間続いている反移民暴力デモの勢いは鎮まらず、キア・スターマー首相の労働党政権は発足からわずか1カ月で危機に直面している。今回のデモは、中西部の都市サウスポートで児童3人の命を奪った襲撃事件の容疑者はムスリム(イスラム教徒)の移民だ、という偽情報によって触発された。英国政府が、このうわさは事実ではないことを確認して国民に何度も知らせ、デモ隊も知っているはずだが、それでも暴動は続いてい..
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英国全域で8日間続いている反移民暴力デモの勢いは鎮まらず、キア・スターマー首相の労働党政権は発足からわずか1カ月で危機に直面している。今回のデモは、中西部の都市サウスポートで児童3人の命を奪った襲撃事件の容疑者はムスリム(イスラム教徒)の移民だ、という偽情報によって触発された。英国政府が、このうわさは事実ではないことを確認して国民に何度も知らせ、デモ隊も知っているはずだが、それでも暴動は続いている。積み重なった反移民感情が刺激的な偽情報で爆発した、と分析されている。
BBC放送によるとベルファスト、ダーリントン、プリマスなどの都市で5日の夜まで暴力デモが続いた。一部地域では、鎮圧に乗り出した警察に向かってデモ隊が石を投げ、催涙弾を撃って攻撃した。7月30日から始まった今回の暴動で、現在までに378人が逮捕された。スターマー首相はこの日、緊急事態対策委員会(COBRA)を開いて「これはデモではなく、文字通り暴力であって、われわれはモスクやムスリムのコミュニティーに対する攻撃を容認しない」と述べ「暴動や騒乱の事態に適時対応できるように、公共秩序担当の専門警察官で構成される“常備軍(standing army)”を設立したい」と表明した。
前日には難民収容施設として知られるイングランドのロザラムのあるホテルにデモ隊が集まり、乱入や放火を試みるなど、移民に対する直接的な攻撃も繰り広げられた。7月29日から始まったデモは、モスクを攻撃したり警察署・図書館など公共施設を焼き打ちしたりするなど、ますます暴力的なものに変わっている。英国の裁判所が「未成年者の身元公開」という異例の措置を通して、容疑者はうわさのようなイスラム教徒ではなく、アフリカのルワンダ出身者で、移民ではなく英国生まれだという事実を明らかにしたが、事態は沈静化していない。
現地英国では、2011年に黒人のマーク・ダッガン(Mark Duggan)が警察に銃で撃たれて死亡する事件を契機として引き起こされたデモが全国的な暴動になり、およそ2000人が司法処分を受けた事態以来、13年ぶりの最悪の暴力デモだ-という評価が出ている。英国内の自国民や旅行者に安全上の警報を発令する国も増えている。ロンドンの駐英韓国大使館もホームページに緊急のお知らせを載せ「英国政府の強硬対応方針にもかかわらず、今後も極右暴力デモはいつでも発生し得る可能性が依然として存在するので、英国にいる韓国国民は身辺の安全に留意してほしい」と要請した。マレーシア・インドネシア・ナイジェリア・オーストラリア政府も、暴力デモ発生地域への旅行は避けよ、と案内した。
今回のデモに関連してスターマー首相と、テスラのCEO(最高経営責任者)でソーシャルメディア(会員制交流サイト)のX(旧ツイッター)を所有するイーロン・マスク氏が正面衝突するという事件も起きた。マスク氏は前日、X上で暴力デモの動画をシェアし「英国において内戦は避けられない」と書き込んだ。翌日には、スターマー首相の「ムスリムのコミュニティーへの攻撃を容認しない」という書き込みを自分のアカウントで引用しつつ「(イスラムの共同体のみ保護するのではなく)英国の全ての共同体に対する攻撃を心配すべきではないのか」と書き込んだ。反移民デモ隊の味方をしたのだ。マスク氏は、Xの自分のアカウントに、移民者を攻撃するコンテンツを載せたことが何度もある。
英国政府は反発した。首相室は声明を通して「(マスク氏の書き込みは)決して正当化され得ない発言」だとし「現在、一部地域で起きている暴動は、ごく少数の右翼勢力が主導しているものであって、この勢力は英国社会の世論を代弁する者たちではない」と反論した。その上で、マスク氏を意識して「ソーシャルメディアに乗って暴動をあおる発言が広がり、事態を悪化させている」「ソーシャルメディアを率いる実業家が先頭に立ってこのようなことを言い捨てるのは無責任な行動」と批判した。
リュ・ジェミン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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