▲イラスト=朝鮮デザインラボ・Midjourney
「秘密エージェント」の身元情報などを漏らした疑いが持たれている国軍情報司令部所属の軍務員(軍属)A容疑者について、軍検察が29日、拘束令状を請求した。事件を調べている防諜(ぼうちょう)司令部(防諜司)は勾引令状の発布も受け、容疑者の身辺確保に乗り出したことが分かった。
韓国軍の消息筋が29日に明らかにしたところによると、軍検察は防諜司の申請を受け入れ、A容疑者について軍事機密保護法違反容疑で拘束..
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▲イラスト=朝鮮デザインラボ・Midjourney
「秘密エージェント」の身元情報などを漏らした疑いが持たれている国軍情報司令部所属の軍務員(軍属)A容疑者について、軍検察が29日、拘束令状を請求した。事件を調べている防諜(ぼうちょう)司令部(防諜司)は勾引令状の発布も受け、容疑者の身辺確保に乗り出したことが分かった。
韓国軍の消息筋が29日に明らかにしたところによると、軍検察は防諜司の申請を受け入れ、A容疑者について軍事機密保護法違反容疑で拘束令状を請求した。A容疑者は先月初め、海外で身元を偽装して活動する秘密エージェントの本名や年齢、活動国などの身元情報や情報司全体の部隊員現況などを含む多数の軍事機密を中国国籍者などに渡した疑いが持たれている。
韓国軍当局は、A容疑者が資料を流出させた対象は中国同胞(朝鮮族)であることを把握している。韓国軍は、機密の入ったファイルを受け取った朝鮮族の人物が北朝鮮の偵察総局の情報員である可能性も排除していない。機密が最終的に北朝鮮へ渡った可能性も高い、という話だ。韓国軍でもごく少数しか知らないブラック要員(情報機関とは関係ない身分に偽装して活動する秘密要員)のリストが北朝鮮に漏れた場合、海外の韓国軍情報網が収拾し難いレベルの打撃を受けることは避けられない。流出状況が明らかになるや、中国などで活動している一部のブラック要員は急いで帰国したという。ただし防諜司は、A容疑者に対する令状を申請しつつも、国家保安法違反容疑は適用しなかった。現時点では、北朝鮮との直接的な関連性を確認できていないからだと解釈されている。
先に防諜司は6月末、A容疑者の嫌疑を捕捉した直後、ノートパソコンや携帯電話、および自宅などに対する捜索を行ったことが分かった。この過程で、A容疑者が軍事機密情報をハードコピーに出力した後、ファイルに再加工して朝鮮族に渡した状況が確認されたとのことだ。容疑者が中国旅行に出掛けた出入国記録も確保したという。だがA容疑者は一貫して「北朝鮮によるハッキング」を主張している-と伝えられている。
A容疑者は軍幹部出身で、除隊(予備役へ転役)後に情報司軍務員として再就職した後、海外工作担当部署で勤務したと伝えられている。一部では、防諜司に立件された後もA容疑者が首都圏付近の情報司オフィスでおよそ1カ月近く、普段通り出退勤していたことについて、疑問を提起している。関係当局によると防諜司は、今回の流出事件に関連してA容疑者を助けた情報司内部の協力者がいるのかどうかや、情報流出ルートの全貌を把握するため、時間をかけて調べてきたという。A容疑者には、関連の機密資料を閲覧する権限がなかっただけに、内部協力者がいる可能性に注視したのだ。そうした中、A容疑者が「軍が北朝鮮ハッキング事件を捜査中」という内容をユーチューブ上に流すなど、証拠隠滅の試みと疑われる行動を取ったことから、拘束令状を請求したことが分かった。
韓国軍関係者は「軍事機密保護法に関しては、事前に十分に捜査を行った後、対面で取り調べを行う」とし「2022年に現役の大尉がビットコインを受け取って軍事機密を漏らした事件のときも、対面の取り調べを行うまで時間がかかった」と語った。防諜司はこの日、ショートメールを使った告知で「必要な法と手続きに基づき、正常に捜査を進めている」とし「今後、捜査の進行状況について適切な時点でメディアに説明する案を検討したい」と表明した。A容疑者に対する令状実質審査は、早ければ30日にも軍事裁判所で開かれる予定だ。
軍事機密の流出は、最近になって繰り返し発生している。2017年には国防統合データセンターがハッキングを受け、「斬首作戦」や米国の提供した対北情報など1500万ページ分の機密が北に渡った事実が確認された。18年には情報司の工作班長が中国で活動する秘密エージェントの情報などを1件につき100万ウォン(現在のレートで約11万1000円)で中国・日本に渡した事実が露見した。22年には陸軍特殊戦司令部所属の現役の大尉が、ビットコインを受け取って北朝鮮の工作員に軍事機密を漏らす事件が起きた。
ヤン・ジホ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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