▲イラスト=キム・ソンギュ
大学生のコさん(23)はこのほど、カフェでアルバイトをして稼いだ3カ月分の給料約300万ウォン(約33万円)でK-POPアイドルグループTHE BOYZ(ザ・ボーイズ)のCDアルバム200枚を購入した。CD 1枚につきファンミーティング応募券が1枚もらえるからだ。コさんはファンミーティングに応募して当選するためにCDを買ったが、そのほとんどをゴミ箱に捨てたという。コさんは「一部は中古品取引で売っ..
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▲イラスト=キム・ソンギュ
大学生のコさん(23)はこのほど、カフェでアルバイトをして稼いだ3カ月分の給料約300万ウォン(約33万円)でK-POPアイドルグループTHE BOYZ(ザ・ボーイズ)のCDアルバム200枚を購入した。CD 1枚につきファンミーティング応募券が1枚もらえるからだ。コさんはファンミーティングに応募して当選するためにCDを買ったが、そのほとんどをゴミ箱に捨てたという。コさんは「一部は中古品取引で売ったり、周りの人たちに配ったりしたが、あまりにもたくさん買ったので、約80枚は開封もしないで捨てた。罪悪感はあったが、他に方法がなかった」と話した。
K-POPファンの間で最近、CDを大量購入して捨てる、いわゆる「アルバム・カン」という風潮が広がっており、これに伴いゴミが大量に増えていることが分かった。「アルバム・カン」とは、特定の歌手の同じCDを大量に購入することを意味する。ファンがCDを「カン(unboxing=開封)」するのは、CDに同封されているフォトカードやサイン会応募券を手に入れるためだ。フォトカードとは、アイドルグループのメンバーの顔写真がプリントされている紙製のカードだ。1枚のCDにフォトカードが2-3枚ずつランダムに入っているため、ファンは好きなメンバーのフォトカードが出るまでアルバムを購入する。サイン会の応募券はCD 1枚につき通常1枚ずつ入っている。ファンはサイン会に参加できるよう、CDを複数枚買って確率を上げようとするという。
フォトカードを手に入れたり、サイン会に応募したりした後に残ったCDやパッケージなどはほとんど捨てられる。K-POPアーティストが新しいCDを出す時は、芸能事務所近くの路上や地下鉄などに「歌手のCDがそのまま数十枚ずつ捨てられている」という目撃談が出る。ソウル市内のあるCDショップの関係者は「有名アイドルが新アルバムをリリースする時期になると、ショップの前にはパッケージを開封もされていないCDが数百枚ずつ積み上げられる。特に、空のスーツケースを持って段ボール入りのままCDを買い、サイン会の応募だけして捨てる海外ファンをよく見た」と話す。共に民主党の禹元植(ウ・ウォンシク)議員室が韓国環境部(省に相当)から提出を受けた資料によると、韓国の芸能事務所がCD製造に使用したプラスチック廃棄物は2017年の55.8トンから昨年は801.5トンへと約14倍も増えたという。
購買力のない10代たちもCDの複数買いをしている。Aさんの高校2年生のいとこは最近、男性アイドルグループNCT(エヌシーティー)のアルバム20枚を購入するため、お小遣いを50万ウォン使ったそうだ。Aさんは「フォトカードのためにアルバムを50万ウォン分買ったといういとこの話にショックを受けた。写真はインターネット上で見せてもいいのに、紙のフォトカードだけでしか見られない写真を封入してCDを買わせるのは行き過ぎた商法だ」と言った。
K-POPファンたちのCD複数買い・大量廃棄をあおっているのは芸能事務所だという見方が多い。各芸能事務所はCD大量廃棄の元凶とされるフォトカードをさまざまな方式で販売している。特定のCD販売先でしか入手できないフォトカードを作ったり、同じCDが入っているアルバムをさまざまなバージョンで作ったりして複数買いを誘導しているということだ。
K-POP人気で「アルバム・カン」がさらに広がった側面もある。イ・ハウンさん(25)は「新型コロナ流行前はCDを20-30枚ほど買えばサイン会に当選できたが、最近は海外ファンも加わり、わずか数年でK-POPファンが数倍は増えた。名前が少しでも知られているアイドルの場合、CDを100枚以上買わなければサイン会は行けないと考えていい」と語った。
捨てられるCDなどはリサイクルされない場合が多いという。大学生のパク・チェウォンさん(19)は「最近のアルバムは単純に紙やプラスチックで作られているわけではなく、コーティングされた写真やさまざまな材質が混ざったハガキなど、分別・リサイクルできない構成品が多いので、従量制のゴミとして捨てる」と話した。
しかし、環境部はCD廃棄物について他と分けて管理する考えはないとの見解を示している。同部関係者は「プラスチックおよびリサイクルが難しい製品群を包括的に規制するだけで、芸能事務所およびCD製造業者と別途に連絡を取り合ったり、協議したりしたことはない。これまでK-POPアーティストのアルバムは環境部が指定した過剰包装規制対象になったことがない」と述べた。ある大手芸能事務所の関係者は「CD製作で環境にやさしい材料の使用を拡大するなど、改善策を講じる」と話した。
パク・ヘヨン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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