▲慶熙大学ソウル・キャンパス本館/慶熙大学
「よう、ジンへ! 元気だった?」
11月27日午後4時30分、ソウル市東大門区にある慶熙大学青雲館620号では、「意味の誕生:言語」と題する講義が始まろうとしていた。ある男子学生が講義室に入ってきたキム・ジンヘ教授(54)の名前を呼びながらあいさつした。キム教授が学生たちに「この前アップした授業の資料見た?」と聞きながら授業を始めると、学生たちは「うん」とため口で答えた。教授と学生の間のため口は..
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▲慶熙大学ソウル・キャンパス本館/慶熙大学
「よう、ジンへ! 元気だった?」
11月27日午後4時30分、ソウル市東大門区にある慶熙大学青雲館620号では、「意味の誕生:言語」と題する講義が始まろうとしていた。ある男子学生が講義室に入ってきたキム・ジンヘ教授(54)の名前を呼びながらあいさつした。キム教授が学生たちに「この前アップした授業の資料見た?」と聞きながら授業を始めると、学生たちは「うん」とため口で答えた。教授と学生の間のため口は授業の間ずっと続いた。
同日の授業は読書討論だった。約70人の学生は何人かずつの輪になって意見を交わした。講義室を歩き回りながら討論を見つめるキム教授に向かって学生たちは「おい、ジンヘ。お前はどう思う?」「俺の説明で合ってると思う?」とためらうことなく、ため口で質問した。
国文学を専攻したキム教授は現在、慶熙大学教養学部フマニタス・カレッジの教授として在職している。学生たちに言語を教えつつ、人々の間の意思疎通について悩んできたという。キム教授が「ため口による授業」を始めたのは昨年秋からだった。2020年に始まったコロナ禍がきっかけだった。オンライン講義が続いたことで、新入生同士が互いに敬語を使っているのを見て衝撃を受けたという。キム教授は「学生たちが相手に対する尊重の意味で敬語を使うというよりは、あなたと私の距離はちょうどここまでと、何だか線引きしているようで残念だった」とし「格式にこだわらず自由に意志疎通を行うために、こうした授業を準備した」と理由に触れた。
児童家族学科のキム・ソヨンさん(19)は「やや面倒臭く感じていた敬語を使わなくなったことで、素直な意思表現ができるようになり、言葉がスラスラと出てくるようになった」という。キムさんは「一度は学校の外で教授と会ったが、私も知らないうちに『よう、ジンヘ』とあいさつしていた」とし「教授との心の距離が明らかに近くなった」と笑みを浮かべた。応用英語通訳・翻訳学科のキム・ユンジさん(22)は「ため口で話すのがとてもぎこちなくて、ため口が使えるようになるまで2カ月かかった。今ではこれが普通になった」とし「ほかの授業で教授に無意識のうちにため口を使ってしまい、お互い驚いたこともあった」という。
授業の中でため口を使うのに最も慣れていないのが留学生たちだ。キム教授の授業の受講生71人のうち外国人は18人で、中国、日本、ベトナムからの学生たちだ。中国出身のチャン・シンチさん(23)は「韓国に来てから敬語で授業を聞き、学校の友人とも主に敬語で話していたので、ため口を覚える機会がなく、この授業に慣れるのが大変だった」とし「授業を受け始めてからため口に慣れてきて、韓国の友人たちとさらに親しくなった」と話した。
コ・ユチャン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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