▲京畿道城南市盆唐にあるネイバー本社。/チョン・ギビョン記者
ポータルサイト「ネイバー」が、ニュース記事のコメントへの返信にさらに返信を付ける「返信への返信」サービスを開始した。コメントを書き込んだ人同士が活発に意見交換できるようにするというのがサービスの目的だが、実際には特定の人を集中的に攻撃したり、世論扇動に悪用したりするのではないかという指摘が出ている。特に、「ドルイドキング事件(ネット書き込みねつ造事件)」以降、コメントサービスを徐々に縮小してきた..
続き読む
▲京畿道城南市盆唐にあるネイバー本社。/チョン・ギビョン記者
ポータルサイト「ネイバー」が、ニュース記事のコメントへの返信にさらに返信を付ける「返信への返信」サービスを開始した。コメントを書き込んだ人同士が活発に意見交換できるようにするというのがサービスの目的だが、実際には特定の人を集中的に攻撃したり、世論扇動に悪用したりするのではないかという指摘が出ている。特に、「ドルイドキング事件(ネット書き込みねつ造事件)」以降、コメントサービスを徐々に縮小してきたネイバーが、来年4月の総選挙を前にしたこの時期に新たなコメントサービスを導入したという点で「コメント戦争をたきつけてクリック数を稼ぐ戦略ではないか」との批判も出ている。
ネイバーは今月16日、ニュースサービスについてのお知らせを通じ「これからは特定のコメント返信に対して『返信への返信』を作成できるようになる」と告知した。ネイバーではこれまで、ニュース記事のコメントに返信を付けることができたが、その返信にさらに返信することはできなかった。ネットユーザーらはコメントに自身のIDの一部を書き込む形で自身の意見を表明していたが、どのコメントに対するコメントなのか明確には分からなかった。しかし、今回新たなサービスが始まったことで、ネイバーのコメントに付けられた返信のうち特定のユーザーの返信に再び返信を付けることができるようになり、どの書き込みに対する返信なのか元の書き込みまでたどれるようになった。ネイバーの今回のコメント機能強化について、「X(旧ツイッター)やフェイスブックのように、一つの書き込みに返信が延々と続くSNS(交流サイト)スタイルに変わった」と評する声もある。
ネイバーは今回のサービス強化について「コメントの意見交換機能とコミュニティー機能をより強化するため」と説明した。しかし、開始からわずか三日で、ネイバーのコメント欄での対立は以前よりはるかに深刻になっている。特に、特定の書き込みにコメントと返信が延々と付けられるため、かつてネイバーが廃止した「ベストコメント」が復活したようなものだという指摘も出ている。実際に、2024年度の大学修学能力試験(修能、日本の大学入学共通テストに相当)の難易度を分析した記事のコメント欄は、コメントを付けたネットユーザーの政治的性向を批判する返信で埋め尽くされた。IT業界のある関係者は「Xでコメントや返信の多い投稿が人気を集めるように、ネイバーのコメントサービス強化の影響で返信の多い記事が多く読まれるようになり、世論が偏るという結果につながる可能性がある」と指摘した。つまり、目立たせたいコメントや攻撃したいコメントを特定の勢力がコメント欄上段に表示させる、ということが再び可能になるという意味だ。
ネイバーのコメント機能強化は、これまでのネイバーの動きとは正反対だ。ネイバーは2020年、芸能とスポーツ記事のコメント欄を全て閉鎖した。ガールズグループf(x)のメンバーだったソルリさんや、KARAのメンバーだったク・ハラさんなど、悪質なコメントに悩まされていた芸能人やプロスポーツ選手らが相次いで自死したり、苦痛を訴えたりしたことから、悪質な人格攻撃の温床となっていたコメント欄を完全に封鎖したのだ。世論の尺度と考えられていた「リアルタイム検索ワード」についても、特定の勢力によって操作される懸念が高まったことから21年2月に廃止された。そのようなネイバーが、総選挙を前にニュース記事のコメント機能を強化したのだ。この動きをめぐり、「結局はアクセス数を増やしてカネを稼ぐという魂胆なのではないか」と批判が出ている。
ネイバーは、今年上半期にリアルタイム検索ワードの表示を復活させる動きを見せながらも結局白紙に戻したという「前歴」もある。韓国の二大ポータルサイト、ネイバーとカカオは今年4月にそろって「キーワード推薦」サービスの導入方針を打ち出した。人工知能(AI)が、ニュース、ブログ、コミュニティーサイトで短時間に頻繁に言及されるテーマを選び、これをユーザーに提示する機能だった。しかし「リアルタイム検索ワードに似ている」との批判が高まり、導入計画を撤回した。
ネイバーは今回のニュース記事コメント機能強化について「AIをベースにしたフィルタリングシステムで不適切な内容を検出するとともに、コメントと返信(返信の返信を含む)の作成上限数をユーザー1人当たりそれぞれ20件と40件に制限している」と説明している。最低限の安全装置があるため大きな問題にはならないとの立場だ。しかし、専門家らの見方は異なる。中央大(韓国)メディアコミュニケーション学部の劉洪植(ユ・ホンシク)教授は「ポータルサイトのコメント欄が登場してから15年になるが、公的な議論を形成するというよりも、都合の悪い世論を覆い隠したり、感情のはけ口として使われたりすることの方が多い」として「実際には上位5%がほとんどのコメントを書いているのだから、コメント強化がはたして社会のためになるのか疑問だ」と述べた。
アン・サンヒョン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com