▲世界の自走砲市場の半分以上を占めるK9-。2000年からの20年間で世界の自走砲新規市場の半分以上を占め、「21世紀のベストセラー」に挙げられるハンファ・エアロスペースのK9自走砲が射撃訓練を行っているところ。/写真=ハンファ・エアロスペース
世界最大の防衛産業展示会「米陸軍協会年次総会・展示会2023(AUSA Annual Meeting and Exposition 2023/AUSA 2023)」が始まった10月9日(現地時間)、米国ワシントンの「ウォルター・E・ワシントン・コンベンション・センター」前。午前9時から、制服を着た軍関係者数百人が長い列を作った。最強の軍事力を持つ米国の陸軍協会が毎年主催するこの行事は、防衛産業界..
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▲世界の自走砲市場の半分以上を占めるK9-。2000年からの20年間で世界の自走砲新規市場の半分以上を占め、「21世紀のベストセラー」に挙げられるハンファ・エアロスペースのK9自走砲が射撃訓練を行っているところ。/写真=ハンファ・エアロスペース
世界最大の防衛産業展示会「米陸軍協会年次総会・展示会2023(AUSA Annual Meeting and Exposition 2023/AUSA 2023)」が始まった10月9日(現地時間)、米国ワシントンの「ウォルター・E・ワシントン・コンベンション・センター」前。午前9時から、制服を着た軍関係者数百人が長い列を作った。最強の軍事力を持つ米国の陸軍協会が毎年主催するこの行事は、防衛産業界ではIT・家電関連最大の展示会「CES」と同格の存在として知られている。
年間1000兆ウォン(現在のレートで約115兆円。以下同じ)台の国防予算を執行する米国の心臓部で開かれるこの行事には、米国・ドイツ・英国など世界およそ80カ国、650社あまりの防衛関連企業からやって来た関係者3万人以上が参加する。防衛産業各社が、それまで隠してきた秘蔵の新型兵器を一斉に披露する「銃声なき戦場」でもある。特に今年は、長期化しているロシアのウクライナ侵攻に加えて、開会直前に発生したハマスのイスラエル攻撃で前例のない規模の関心が集中した。
6・25戦争当時は小銃一つ作れず、その後も米国が提供する軍事援助装備に依存していた韓国だが、この日は世界最強の軍事大国・米国にまで武器を売るため、会場中央に230平方メートル(約70坪)規模のブースを構えた。このブースを、多数のグローバル防衛産業の関係者がひっきりなしに訪れた。
「K防衛産業は既にメジャーリーグ入りした」(2022年、CNNテレビ)という評価を受けている。韓国政府は今年、6大防衛産業輸出国、自由陣営に限れば米仏独に次ぐ4位を目標にしている。貿易順位よりも高い数値だ。韓国の防衛産業は昨年、過去最大となる173億ドル(約2兆6200億円)の輸出を記録し、現在の受注残高は100兆ウォン(約11兆5000億円)に達する。
核武装した120万の北朝鮮軍と向き合わねばならない特殊な安全保障環境の影響で、K防衛産業は陸海空全ての分野で急成長した。地上軍向けの兵器である装甲車・戦車・火砲は国内独自開発や生産可能な水準にとどまらず、世界でも上位のレベルに跳躍した。航空分野は、1970年代からの戦闘機・ヘリの技術移転生産を基に、今では高等練習機(T50)、韓国型機動ヘリ(スリオン)、次世代戦闘機(KFX)にまで技術が向上した。艦艇分野も、世界最高水準の造船技術を基に韓国国内での独自建造が可能で、戦闘性能を左右する戦闘システムも地道に拡充している。
AUSA 2023展示場のハンファ・エアロスペースのブースには、世界の自走砲市場の半分以上を占めて「21世紀のベストセラー」に挙げられるK9自走砲と砲弾の自動移送装置を取り付けたK56弾薬運搬車など、最先端の自走砲パッケージが展示された。米軍関係者らは、ハンファのブースを訪れて「K56は米国の自走砲と何らかの互換が可能なものなのか、既存の武器システムと比べてどのようにして投入人員を3分の1に減らせるのか」などを尋ねた。世界トップクラスの米国のある防衛関連企業関係者がハンファのブースを訪れて、自らの経歴を紹介しつつ転職の可能性を尋ねるという一幕もあった。
ハンファの関係者は「2017年に初めてAUSAに参加したときは、認知度の低い韓国の技術で作った兵器システムを果たして防衛産業大国に輸出できるかどうか、半信半疑だった」としつつ「今年は『戦車の名家』ドイツを抑えてオーストラリア向けの輸出を勝ち取り、今では世界で認められた武器を、防衛産業最先進国の米国や北大西洋条約機構(NATO)に市場拡大するのが目標」と語った。ハンファ・ディフェンス米国法人を率いるジョン・ケリー氏は「韓国防衛産業界は、今やまさに成人(coming of age)した段階」と述べた。
K防衛産業は中小・中堅の防衛関連企業にまで拡大した。無人機・艦艇のステルス性能を高める塗料(ペイント)を開発したイーティーエルは、今回のAUSAのイベントで技術力を認められ、米陸軍の研究機関、米国の防衛関連企業と技術協力契約を結んだ。輸出品目も、これまでの航空(KT1練習機)、艦艇(軍需支援艦)、弾薬類にとどまらず、誘導兵器(天弓II)、機動兵器(装甲車)、オーバーホール作業に至るまで多様化した。ある防衛産業界関係者は「防衛産業は原子力発電のように、ひとたび事業を確保しさえすれば後続モデルの受注を数十年継続でき、機械・電子・航空・通信など周辺産業への波及効果が大きい」と語った。
イ・ジョング記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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