▲写真=UTOIMAGE
6月に入り、西側メディアは新型コロナウイルスの起源についての報道であふれかえりました。米国連邦議会上下両院は今年3月、政府が新型コロナウイルス関連の機密情報を90日以内に公開するように定める「コロナ19起源法」を通過させました。予定されていた90日終了の時点が過ぎ、あちこちから報道が湧き出たのです。
最も目を引いたのは、英国日刊紙「タイムズ」の週末版「サンデー・タイムズ」に載った6月10日付調査..
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▲写真=UTOIMAGE
6月に入り、西側メディアは新型コロナウイルスの起源についての報道であふれかえりました。米国連邦議会上下両院は今年3月、政府が新型コロナウイルス関連の機密情報を90日以内に公開するように定める「コロナ19起源法」を通過させました。予定されていた90日終了の時点が過ぎ、あちこちから報道が湧き出たのです。
最も目を引いたのは、英国日刊紙「タイムズ」の週末版「サンデー・タイムズ」に載った6月10日付調査報道でした。「新型コロナ問題が起きる前、武漢研究所の中で実際には何が起きていたのか(What really went on inside the Wuhan lab weeks before Covid erupted)」というタイトルの長文の記事で、中国軍と武漢ウイルス研究所が生化学兵器として新型コロナウイルスを開発したものの、管理が不十分だったため流出した、というのが内容の核心です。
米国内ではこれまで、研究所流出説と自然発生説の対立が続いていました。米国エネルギー省と連邦捜査局(FBI)は研究所流出説を支持する一方、中央情報局(CIA)など情報機関は自然発生説の方に重きを置いていました。「サンデー・タイムズ」は、情報公開請求で確保した米国の情報機密文書や各種の科学論文、関係者の間でやりとりされた電子メールなど数百件の資料を検討した末、「研究所流出説」の方に軍配を上げました。
■米国の研究者がウイルス操作技術を支援
武漢研究所が新型コロナウイルス研究を始めたのは、SARS(重症急性呼吸器症候群)問題が終息した直後の2004年からだといいます。その中心にいた人物が、同研究所のウイルス専門家、石正麗博士です。
SARSウイルスも新型コロナと同様、コロナウイルスです。石博士は研究に必要なウイルスの確保のため、中国南西部の雲南省にある、コウモリの洞窟を隅々まで探し回ったといいます。長期間の探査の末に2012年、昆明付近の山で「SHC014」というウイルスを見つけ出すことに成功します。
ウイルスを大量に培養する技術を欠いていた石博士は、この分野のベテランである米国ノースカロライナ大学のラルフ・バリック博士に助けを求め、支援を得たといいます。英国のコウモリ専門家、ピーター・ダサック博士は「エコヘルス・アライアンス(EcoHealth Alliance)」という非営利団体を立ち上げ、米国政府から数百万ドル(100万ドル=現在のレートで約1億4300万円。以下同じ)の研究資金を得て、そのうち65万ドル(約9300万円)を石博士に分配したといいます。研究結果を共有し、その情報を米国政府に報告するという条件でした。
コロナウイルス退治のため米中間で研究協力が行われたわけですが、この過程で、人間に感染させることができるようにウイルスの遺伝子を操作し、その操作された遺伝子を実験用のマウスに注入してウイルスの致命度を引き上げる危険な技術が、そっくりそのまま中国に渡ったといいます。
■厳重に秘匿された「墨江洞窟プロジェクト」
石博士の研究チームは2012年、雲南省南部の墨江という場所にある閉鎖された銅鉱山で、また別のコロナウイルスを発見したといいます。ここで9種類のウイルスを抽出することに成功したということです。研究チームはウイルス確保の事実そのものは公開しましたが、その前後に起きた重要な事実を一つ隠していました。
銅鉱山に入ってコウモリのふんなどを採取していた6人の男性作業員が、その後、高熱やせき、肺炎など新型コロナに似た症状を示し、病院で治療を受けたものの、そのうち3人が死亡した-という事実を公開しなかったのです。
米国務省の調査チームは、情報当局が確保した通信傍受資料やハッキング資料などを基に新型コロナの起源を調査し、これらの男性を治療した医療陣が書いた論文などを通して、作業員らの死亡の事実を確認したそうです。
この鉱山で見つかったウイルスのうちの一つが、世界で700万人以上の命を奪った新型コロナウイルスと遺伝子構造が非常に似ていたといいます。
■中国軍介入、バイオ兵器として開発
サンデー・タイムズは「武漢研究所は少なくとも2017年から、中国軍事医学科学院と共同で秘密裏にコロナウイルス研究を行ってきた」と記しました。
墨江の廃鉱で確保したウイルスを組み合わせるやり方で、ウイルスの人間に対する伝播(でんぱ)力と致命度をできる限り引き上げ、これを実験用マウスに注入し、確認する実験を行っていたのです。新たに作られたウイルスに合わせてワクチンを開発する作業も進めたといいます。
米国務省調査チームは、石博士の確保した米国の技術を基に中国軍が生化学戦用ウイルスを開発しようとした、と判断しているそうです。中国軍事医学科学院のある研究員が2015年に書いた本には「ウイルスを操作して人間に感染しやすいようにできる点で、SARSウイルスは生化学戦の新たな時代を開いた」という内容が載っているといいます。
同科学院所属の周育森博士が、新型コロナ問題の起きた直後の2020年2月にウイルスワクチンの特許を電撃出願したのも、事前に研究がなされていたから可能だったといいます。
■研究員3人の感染から始まった
新型コロナウイルスが流出した時期は2019年11月だそうです。武漢で新型コロナウイルスが本格的に広まる直前です。30-40代の研究員3人が感染して病院で治療を受け、ある研究員の家族が感染して亡くなったということです。生物安全等級(バイオセーフティー・レベル)2の衛生環境で危険な研究作業を行っていて起きた事件だといいます。
こうした調査結果にもかかわらず、米国政府内では、まだ最終結論を出せずにいるといいます。ニューヨーク・タイムズは「CIAは依然として、確実な物証(smoking gun)はないとする立場」だと報じました。中国当局が外部の調査を遮断し続けてきた上、決定的な物証になり得る資料も全て廃棄し、証拠の確保が容易ではないのです。それでも、米国政府が確保した機密資料が大挙公開されれば、中国の新型コロナ責任論は世界で再び強まるものとみられます。
崔有植(チェ・ユシク)東北アジア研究所長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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