▲米国のジョー・バイデン大統領と日本の岸田文雄首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領(写真左から)が19日、G7首脳会議の日程の一環として広島平和記念公園を訪れ、原爆犠牲者のための献花式に出席した。/写真=聯合ニュース
米国のジョー・バイデン大統領が今月19日、広島への原子爆弾投下の惨状を記録した広島平和記念資料館を訪れると、韓国国内の一部から「日本が米国に原爆の謝罪を要求している」「原爆の被害を浮き彫りにするもの」という主張が出た。
韓国の公共放送局MBCは「日本は、自分たちも『第2次大戦の被害者だった』という点を強調する雰囲気」「日本の右翼陣営からは、バイデン大統領は日本に謝罪すべきだという主張も出た」と報..
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▲米国のジョー・バイデン大統領と日本の岸田文雄首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領(写真左から)が19日、G7首脳会議の日程の一環として広島平和記念公園を訪れ、原爆犠牲者のための献花式に出席した。/写真=聯合ニュース
米国のジョー・バイデン大統領が今月19日、広島への原子爆弾投下の惨状を記録した広島平和記念資料館を訪れると、韓国国内の一部から「日本が米国に原爆の謝罪を要求している」「原爆の被害を浮き彫りにするもの」という主張が出た。
韓国の公共放送局MBCは「日本は、自分たちも『第2次大戦の被害者だった』という点を強調する雰囲気」「日本の右翼陣営からは、バイデン大統領は日本に謝罪すべきだという主張も出た」と報じた。その上で、「広島のある放送局」や産経新聞、「日本の大物政治家」などの見解だとしてこれを引用した。
さらに「世界の注目が広島に集中する状況で、日本は原爆の被害者だったという点を成功裏に浮き彫りにした」「強制動員や慰安婦問題など、日本が犯した蛮行はできる限り覆い隠そうとする外交とは対照的な姿」と伝えた。
だが、米日両国政府の公式発表文などによると、日本は今回の平和記念資料館訪問など先進7カ国(G7)首脳会議の期間中、米国側に対し78年前の原爆被害関連の謝罪要求を行っていないことが判明した。岸田文雄首相はバイデン大統領との2国間首脳会談を行いながらも、過去の原爆問題については言及しなかった。バイデン大統領も、会談のほか、別の席でも関連の発言を行わなかった。
日本専門家の趙真九(チョ・ジング)慶南大学教授は「日本が米国に原爆の謝罪を要求する可能性は“ゼロ”に近いと見ていい」とし「日本の一部にそうした声があるかもしれないが、日本の政治や日本・米国の2国間同盟の発展史、あるいは第2次世界大戦の背景を少しでも分かっていたら、『原爆謝罪』関連の話題を無理に取り上げることはできないだろう」と語った。
米国大統領の被爆地関連施設訪問は、今回のバイデン大統領が初めてというわけでもない。7年前の2016年5月のG7首脳会議も日本で開催されたが、当時のバラク・オバマ大統領は会議を終えた後、5月27日に、安倍晋三首相と共に米国大統領として初めて広島を訪れた。オバマ大統領も、今回のバイデン大統領のように原爆関連の謝罪については立場を表明せず、平和記念資料館を見て原爆死没者慰霊碑に献花した。当時オバマ大統領は、原爆によって日本人だけでなく韓国人や米国人捕虜も犠牲になったと言及しつつ「広島と長崎が核戦争の夜明けではなく、われわれ自身の道徳的な目覚めの始まりとして知られる未来」を語り、「核なき世界」のための勇気を強調した。演説を終えたオバマ大統領は、8歳のときに被爆した森重昭さんを抱擁し、背中をたたいていたわりもした。
専門家らは、米国大統領の広島訪問を「日本の謝罪要求の契機」と関連付けるのは実際の意図から外れた解釈だと指摘している。外交消息筋は「米国大統領が被爆地を訪れるのは、当時敵対国だった日本に対して戦争に関連して謝罪するという意味ではなく、人道的観点からのいたわりを基に、敵対国から最大の友邦へと転換した両国の同盟を拡大発展させようという未来志向的政治行動」だと語った。日本国内に「謝罪要求」はあり得るものの、それを拡大解釈して報じるのは、むしろ韓国国民の米日情勢解釈を誤導しかねないのだ。
韓国外交部(省に相当)元次官のある人物は「日本は現在、米国との同盟強化にオールイン(ポーカーで、手持ちのチップを全部賭けること)している」とし「そんな日本が、自国内でも『かつて戦争を起こしたことについて反省しよう』という空気が圧倒的なのに、これに逆行する謝罪要求をやるというのは、状況を正反対に読んでいるか、もしくは反日扇動をやろうという悪意ある解釈」と指摘した。
趙教授は「オバマ大統領の被爆地訪問の後、安倍首相がどこに行ったかを知れば、両国関係がどのようなものかがはっきりする」とし「サミットから7カ月後の12月27日、安倍首相は、1941年12月に日本の奇襲攻撃で沈んだ米戦艦アリゾナの上に作られた、ハワイのパールハーバーの記念館を訪れて献花した」と語った。ここから、岸田首相も今後数カ月中にパールハーバーを再訪問するだろうとの見方もある。今回のバイデン大統領の平和記念資料館訪問も、かつて互いに戦争をした米日両国が、互いに対する痛みをかばいつつ前へ進んでいこうという意味で解釈するのが適切-という趣旨だ。
さらに岸田首相は21日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と共に、広島平和記念公園内にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れた。広島の原爆犠牲者の中には、強制徴用された韓国人被害者も含まれている。韓日両国首脳が共同で韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れるのは今回が初めて。元駐日大使のある人物は「岸田首相が韓国人原爆犠牲者慰霊碑に頭を下げるのは、強制徴用韓国人に頭を下げるという意味にもなる」と語った。その上で「両首脳が韓日関係における胸の痛む過去を直視して癒やしのために共に努力するのは、まだ足りない部分はあるけれど少しずつ進んでいるという前向きなシグナル」と述べた。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
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